お題は「平成」!たった3日で書きあげて売る――小説ハッカソン「NovelJam2018」イベント潜入レポート!

Noveljam主催・日本独立作家同盟理事・部会長江口晋太朗さんインタビュー

NovelJam主催の日本独立作家同盟理事・編集者の江口晋太朗さんにお話しをお伺いしました!

―この度は2回目のNovelJam開催おめでとうございます。前回はこの合宿缶詰方式では実施されていなかったですよね。

そうですね。第1回は2017年2月4日・5日ブックウォーカーさんの市ヶ谷オフィスでやりました。会場の都合で22時までしかいられなかったので、夜いったん解散して、翌日また再結集という形で実施しました。

―今回は完全合宿形式なんですね。

はい。前回は2日間なので制作期間も半日ないし1日くらいしかなかったのですが、今回は2泊3日なので2日ないしは1日半くらいの制作期間が持てたと思います。

―それは前回の反省を含めて宿泊形式にしたんですか?

いえ反省というよりも、前回は小説の「お題」は事前に出す方式だったんです。今回は当日初日10日に「お題」を発表することにした点と、チームビルディングも前回は事前に決めていたものを、今回はその場でやることにしたので、前回とは枠組みが大きく違うんですよ。当日出会ったメンバーとの情報整理とか「お題」をどういう作品に昇華するのかの検討工程は、2日はないと苦しいかな?ということで2泊3日の合宿式にしたんです。

―そのチーム編成も含めて即興性を今回は全面に出したと。

そうですね。そのチームビルディングが肝でもあるので詳しく説明しますと、編集者1名、著者2名、デザイナー1名の構成ですが、各編集者が最初に3分の自己アピールとしてプレゼンしてもらい、それに対して著者・デザイナーがドラフト式に指名していく形式にしました。運よく相思相愛になればそのままチームが決定し、複数指名があった場合はじゃんけん。誰も指名しないことももありにもしたので、じゃんけんで敗れた人や無指名の人でガラガラポンで決めました。

―今回3000字以上書くことがルールになっていますが、皆さん1万字くらい書かれていますよね。そのせいか、作り上げるだけでいっぱいいっぱいで、他の作品は読めてないともおっしゃってましたね。

そうですね(笑)。前回もそうですけども自分の作品を完成させることにいっぱいいっぱいになって、他のチームの状況までは追えないというところが本音のようです。まあ「NovelJam」の精神は制作工程もオープンにしていくということでありますので、プロットとか初稿をGoogle Driveに上げていってもらいますが、今回も参加者より外の人が盛り上がってくれたみたいですね(笑)。ここにいる32人が面白がることも大事なんですけども、参加していない外の人たちも一緒になって面白がってもらえたのは今回の収穫ですね。

―ニコニコ生放送でライブで流れていたんですよね。

はい流れています。先ほどのみんなのプレゼンの様子も流れていますから。Twitterで実況している人もいました。

―「ジャム」ならではのアクシデントもあり。

はい。ポジティブなアクシデントであれば美味しい(笑)。プレゼンはなんでもありなので、編集者が軸となれば、編集者が無理にプレゼンしなくてもいいので、作家が喋るとか、喋るだけでなくパフォーマンスするとか、なんでもありです。プレゼン自体も作品の一つとしてチームで決めてもらっています。その中でランディングページを作成してWebプロモーションに命をかける人もいれば、チラシを作成して配るチームもいたり、作品の持っていき方も、その戦略も、チームによってさまざまだなって感じますね。

―ビブリオバトルの制作版って感じですものね。著者・デザイナー・編集が一丸となって1冊の本を完成させ、戦う。

Noveljam2018のルールを説明する江口さん

そうですね。それと同時に、こういうイベントならではのチャレンジングなことをやることも大事で、いい作品を出すことも大事なんですけれども、ここで生まれた繋がりが、次の創作の種になったり、ここでの出会いが、次なる大作を生まれる契機になった、とか。作品自体の著作権も著者に属していますので、書いたものを長編で書きなおしたいとか、そういうのもOKなので。普段編集をやっているのだけれども、著者で参加したとか、普段作家として活動しているけれども、今回はあえて編集的立場でやってみるとか、デザイナー的立場で関わるとか。ある種の「演劇空間」みたいな形でそれぞれ関わってもらえるといいのかなと思っています。

―「NovelJam」のイベント自体をさまざまな形で配信をされてますよね。

はい。BCCKSさんで今回の「NovelJam2018」で全頁まとまってます。これの合本をBCCKSさん経由で出します。あとはチーム個々にそれぞれLPを作ったりしています。

―これが終わったあとは、NovelJam2018を振り返るような記事も出るんですか?

3月26日(月)にグランプリが発表されますので、その模様のレポートは出ますね。

―なるほど。そのグランプリについて詳しく教えてください。

今回は「当日審査」という形で作品自体は読み込むのですが、たとえばプロモーションに関する評価だったり、クリエイティブ要素、LPを作っただとか、チラシをまいただとか、いろんなクリエイティブの評価とか、それを含めた総合評価です。やはり本は作って終わりではなくて、作ってからが本番なので、1か月後の2018年3月26日(月)グランプリは、その時期までの販売実績とか、盛り上げ方であるとか、本を取り巻く環境、その作家と著者を含めた、本自体の世界観のコミュニケーションの作り込みを総合評価します。

―なるほど。今回は2回戦なんですね。

そうですね。そこでグランプリが選出されて、改めてグランプリ審査員の藤井太洋賞とか鈴木みそ賞とかそういう各賞も設けられます。

グランプリ審査員は作家・藤井太洋さん、マンガ家・ 鈴木みそさんがマンガ家 / イラストレーター山田章博さん!

―今日はあくまで本日の賞が決まるけれども、あくまで今回だけの話で。

そうです。あくまで今回の優秀賞、各審査員賞です。各審査員賞も各審査員の独断と偏見なので。

―今日はわりと勢いでの判断にもなるけれども、1か月置いて頭が冷えるとまた違った評価も出来たりするでしょうね。

2回目は今日いない審査員も参加することになるので、また違った角度から判断されると思います。今日はプレゼン込みのライブ感のいい意味でバイアスがかかった評価をするので、当日審査という形での評価ですね。もっともどういう評価がというよりも作品を作った、作品が生まれたという過程そのものに価値があると思ってますので、賞をとってもらうことも大事ですけれども、その過程の中で今回参加の32人がどういう経験値を積んだかってのが重要な価値なのかなと思いますね。

―今日のプレゼンは参加者の皆さんの勢いがすごかったですが、皆さん寝てないんですよね。

そうそう寝てないんですよ(笑)。2日間でもいっぱいいっぱいですからね。でもお互い助け合いながらチームを回していったのではないでしょうか。今回チームは著者と編集とデザイナーですけれども、全員はそのスキルセットを持っているわけではないので、相互関係の中で、編集がデザインを組んで、デザインの人がイラストをガリガリ描いて、著者がマンガ家の人もいるので、著者がイラストを書いて挿絵に入れたりとか、そういうチームもあったりとかですね。

―なるほど。チームセットされているからこそ、足りないところがあればそれぞれ補い合い。

そうですね。著者2名、編集1人、デザイナー1人でチームなので、編集デザインのペアに対して二つの作品が生まれるということですね。

―各チームがそれぞれ「小さな出版社」ですね。

そうです。なので作風が違う著者がいるとデザインテイストが変わるのでそれをチームでどう吸収しているのかは見どころですね。それってまた作家同士のコラボレーションにもなるんですよ。普段SFやっている人とラブコメやっている人が出会うことはないじゃないですか。こういう場でたまたまチームがいっしょになったからこそ、互いの作品の作り方とか、テーマに対する向き合い方とか作家同士の中で、「なるほどなあ」と学びがあったり、発奮したりと、そこの競争関係もあるなあと思います。

―今後は3回4回と引き続き実施されますか。

そうですね。前回と今回は、2回とも東京で実施しましたけれど、第3回は地方でやるとかいろんな可能性があるなと。同人誌もそうですけれど地方でやっている方もいますので、その表現の場がコミケのような場しかないというのであれば、少しでも現状を打開できれば。リアルな場所での出会いが大事ですし、この形を使って、その町の新し文学作品を作るとかいうこともやっていただいてもいいのかなと。ローカルさをテーマに盛り込むとか、我々の企画もオープンソース的に使っていただいて

―「NovelJam」という看板も貸してそれぞれの地域の主催がリードしてくれると。

そうですね。そういう各地の開催状況をNovelJamで一覧で載せるとかですね。展望の一つなのでできるかどうかはまだわからないけれども、そういう可能性としてあるのかなあと思っています。

―いいですね。今後の展開が楽しみです。ありがとうございました!


興味のある方はぜひ、3月26日(月)のグランプリ発表前にBCCKSで展開されているNovelJam作品チェックしてみてください!

関連リンク

NovelJam公式サイト

BCCKS:NovelJam特設サイト