出版社の垣根を越えた!講談社タイガと新潮文庫nexで共同開催!東大 京大 慶応 早稲田 4大学「ミス研」対抗ミステリ・ビブリオ!イベントレポート

さる7月8日(日)、「4大学『ミス研』対抗ミステリ・ビブリオ」が開催されました。今回、講談社タイガ編集部と新潮文庫nex編集部が出版社の垣根を越えて共同主催。企画には京都大学、慶應義塾大学、東京大学、早稲田大学の名門4大学が参戦。それぞれ「京都大学推理小説研究会」「慶應義塾推理小説同好会」「東京大学新月お茶の会」「ワセダミステリ・クラブ」と、歴史あるミス研の猛者たちが火花を散らす、史上初のミステリ・ビブリオバトルです。

審査委員、司会進行、審査員をつとめるのは、講談社タイガ編集長・河北壮平さんと、新潮文庫nex編集長・高橋裕介さん。特別審査員にミステリ評論家の千街晶之さん、「ミステリ偏愛書店員」ときわ書房本店・宇田川拓也さんとそうそうたるメンバーです。豪華すぎますね…。

今回参戦する4大学ミス研の皆さんと審査員の皆さん

ミステリ・ビブリオ対象作品4タイトル!

今回の「ミステリ・ビブリオ」は、事前にプレゼンする作品が決められています。知念実希人さん『幻影の手術室: 天久鷹央の事件カルテ (新潮文庫nex)』『甦る殺人者: 天久鷹央の事件カルテ (新潮文庫nex)』と青崎有吾さん『アンデッドガール・マーダーファルス 1 (講談社タイガ)』『アンデッドガール・マーダーファルス 2 (講談社タイガ)』です!

今回の勝負タイトルはこちら人気の4作品!

医療ミステリの新たな牽引者であり、今年の本屋大賞ノミネートで話題となった知念実希人さん代表作と、「平成のクイーン」とも称される本格ミステリ界気鋭の若手、青崎有吾さんのこれもまた代表作での「ミステリ・ビブリオ」!

今回の「ミステリ・ビブリオ」は、ビブリオバトル正式ルールとは異なる独自ルールで進められます。ルールはシンプル。審査員4名と各ミス研4大学の投票計8票。さらにYoutube視聴者による投票が講談社タイガと新潮文庫nexでそれぞれ1票の計2票。合計10票で争われます。勝者には豪華賞品として図書カード2万円分が!そしてイベント第2部では、知念実希人さんと青崎有吾さんの公開ナマ対談も!その第2部対談の模様は新潮社電子書籍の総合文芸誌『yomyom』で後日公開されます。こちら刺激に満ちたお二人の対談もブクログ通信で展開予定です。乞うご期待!

また特別に、対象シリーズ第一作『幻影の手術室: 天久鷹央の事件カルテ (新潮文庫nex)』と『アンデッドガール・マーダーファルス 1(講談社タイガ)』を著者サイン本のプレゼント企画も用意していますので、最後までお見逃しなく!

著者:知念実希人(ちねん・みきと)さんについて

1978(昭和53)年、沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。2004(平成16)年から医師として勤務。2011年、「レゾン・デートル」で島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞。2012年、同作を『誰がための刃』と改題し、デビュー。2018年、『崩れる脳を抱きしめて』で広島本大賞、沖縄書店大賞を受賞。同作は本屋大賞にノミネートされる。他の著書に「天久鷹央」シリーズ、『螺旋の手術室』『優しい死神の飼い方』『仮面病棟』『時限病棟』『あなたのための誘拐』『祈りのカルテ』などがある。

知念実希人さんのブクログ作品ランキングはこちら

著者:青崎有吾(あおさき・ゆうご)さんについて

1991年神奈川県生まれ。明治大学文学部卒業。2012年、『体育館の殺人』(東京創元社)で第22回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。続く『水族館の殺人』が第14回本格ミステリ大賞(小説部門)の候補となる。同シリーズは、短編集の『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』へと続き、「裏染天馬」シリーズとして人気となる。平成のクイーンと呼ばれる端正かつ流麗なロジックと、魅力的なキャラクターが持ち味で、新時代の本格ミステリ作家として注目される。

青崎有吾さんのブクログ作品ランキングはこちら

ついに開催!「大学『ミス研』対抗ミステリ・ビブリオ」

審査員の紹介と参加大学の紹介、ルールの説明の後、新潮文庫nex編集長・高橋さんから開会の言葉(23:06)がありました。

新潮文庫nex編集長・高橋裕介さん

「『出版が厳しい』『本が売れない』と言われて久しいが、未だに1兆円規模の出版市場がある国は世界的にみてもまだまだ珍しく、昔より読まれなくなったといっても本が好きな人の力は、まだまだすごいと僕は思っています。その1兆円規模の市場の中でミステリが好きな人の割合も高い。そのミステリ好きの中で、今回最精鋭の学生さん4団体が来てくれている。また審査委員にはミステリ評論家のカリスマと書店員のカリスマが来てくれている。その意味でミステリに関しては、今日の『ミステリ・ビブリオ』は「世界で一番熱い戦い」が繰り広げられるのではないか。僕自身がすごい楽しみにしてこの場に座っています」。

講談社タイガ・河北編集長がそれを受けて「高橋さんが全方位にハードルを上げてくるのが気になる(笑)」と回答して会場の笑いを誘います。

高橋さんの横で「全方位にハードルを上げてくるのが気になる」と回答する講談社タイガ編集長・河北壮平さん

ついに火ぶたが切られた「ミステリ・ビブリオ」。決戦を制し初の栄冠に輝くのはどの大学でしょうか?

東京大学新月お茶の会:青崎有吾さん『アンデッドガール・マーダーファルス1』

トップバッター東京大学新月お茶の会は「かぶりもの」でプレゼン!

トップバッターは東京大学新月お茶の会のメンバー。髙嶋亮佑さん、藤村敦さん、中村友香さんが登壇。初回から「かぶりもの」の飛び道具でプレゼン開始です(27:19)。青崎有吾さん『アンデッドガール・マーダーファルス1』を紹介します。

作品紹介

青崎有吾さん『アンデッドガール・マーダーファルス 1 (講談社タイガ)
ブクログでレビューを見る

吸血鬼に人造人間、怪盗・人狼・切り裂き魔、そして名探偵。
異形が蠢く十九世紀末のヨーロッパで、人類親和派の吸血鬼が、銀の杭に貫かれ惨殺された……!? 解決のために呼ばれたのは、人が忌避する”怪物事件”専門の探偵・輪堂鴉夜と、奇妙な鳥籠を持つ男・真打津軽。彼らは残された手がかりや怪物故の特性から、推理を導き出す。
謎に満ちた悪夢のような笑劇(ファルス)……ここに開幕!

「ミステリ・ビブリオ」動画(27:19 ~)

審査員講評は?

講談社河北さんが「立て板に水のごとく流暢にこの盛り沢山の小説を紹介してくれて、担当編集者として幸せな時間でした」と感謝。千街さんも情報量が多い作品をきちんとまとめて紹介した点を評価。お面をつけてのプレゼンに対して「青崎さんも雑誌のインタビューで仮面をつけて登場されたりすることもあるので、青崎さんの本の紹介らしい」とも評しました。宇田川さんは「一発目で飛び道具(笑)」と「かぶりもの」の仕込みに笑いながらも、実際のプレゼンは正攻法であり、「作品の魅力に触れながらうまく興味もたせつつ、この作品の肝となる部分は『ネタバレ』しないように紹介している」点を指摘。それを受けて河北さんから作品の紹介で難しかった点を問われて、新月お茶の会の髙嶋さんは「吸血鬼の設定、人造人間の設定、それぞれ活かしたトリックが魅力的な作品なので、その設定を紹介しすぎるとネタバレになる可能性がある。そういう部分をいかにばらさないようにするかを苦労しました」と回答しました。

「通常のビブリオバトルに比べてミステリはネタバレしないようにすることは難しい。痒いところに手が届き、気を使っていただいているありがたい発表でした」と河北さんが最後に締めました。なお「お面」は100均で買ったものに手を加えたものだそうです。

京都大学推理小説研究会:知念実希人さん『幻影の手術室: 天久鷹央の事件カルテ』

関西から一人で参戦!京都大学推理小説研究会・伊地知寛温さん

京都大学推理小説研究会は今回京都から一人で乗り込んできた伊地知寛温さん(37:52)。知念実希人さん『幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ』を紹介します。

作品紹介

知念実希人さん『幻影の手術室: 天久鷹央の事件カルテ (新潮文庫nex)
ブクログでレビューを見る

手術室での不可能犯罪。なぜ麻酔医は死んだのか。手術後のオペ室で起きた医師死亡事件。記録用のビデオに録画されていたのは、一人の麻酔医が「見えない誰か」と必死に格闘し、その末に絶命する場面だった。手術室は密室。容疑者は全身麻酔で身動きのとれない患者のみ。西東京市・清和総合病院で起きた不可能犯罪に対し、天才女医・天久鷹央は独自の捜査に乗り出すが……。事件に隠された“病”を解き明かす、本格医療ミステリ。

「ミステリ・ビブリオ」動画(37:52 ~)

審査員講評は?

新潮社高橋さんから開口一番「出だしでいきなりつかみ、『密室』の講釈が始まると聞き入ってしまいました。素晴らしかったです」と絶賛。千街さんは「フィクションの中の存在である『天久鷹央』という名探偵とご自身の大学の世界との距離感というものを縮めていって非常に聞きごたえあった」と評価、宇田川さんは「専門知識の扱いと、『天久鷹央シリーズ』としての魅力で下地を作ってから、この作品の魅力を築きあげた」点を評して「すごくプレゼンうまいなあ。こころの中で拍手して拝聴していました」とそのプレゼン力も称えました。高橋さんは『天久鷹央』というシリーズの特徴として「ミステリーとしての魅力」「シリーズとしての魅力」「作品としての魅力」の三つが入り混じっている点に触れて、「キャラがいいから面白い、専門知識やトリビアがあっておもしろいとか、個別の感想に行きつきがち。それは編集として原稿をもらったときであっても、そう知念さんに伝えがちであるところを、全てを網羅した上に、その三つ全てを織り込んでいるプレゼンが本当にすばらしかった」と改めて絶賛。河北さんも「聴いてて編集者ってなんだろうと考え始めてしまって」と自らを問い直しつつも、「伊地知さんの感想を編集者として作家に伝えたら、作家はすごい喜ぶだろう。ゴーストライターをやってほしいくらい(笑)」と笑いを誘います。また

「物語の面白さを、編集者がうまく作家さんに伝えること、また読者に届けることは、僕たちの仕事です。このプレゼンは読者として物語の中に入って、キャラクターやミステリの面白さを伝えるだけでなく、評論的に『探偵の在り方』について触れられるというのがすごいテクニックだなと思いました」と評価。

伊地知さんはどんな探偵が好きなのかという問いに、「日常の謎が好きで主人公をぐいぐい前に連れていってくれる。また後ろから支えるような存在の探偵です。北村薫『空飛ぶ馬』ですとか加納朋子『ななつのこ』だとか、これら作品の探偵たちが好きでした」と回答しました。

慶應義塾推理小説同好会:青崎有吾さん『アンデッドガール・マーダーファルス 2』

禁断の「続刊」について触れた!?慶応大学推理小説同好会・土谷浩之輔さん

続いて慶應義塾推理小説同好会からは土谷浩之輔さん(52:17)。青崎有吾さん『アンデッドガール・マーダーファルス』第2巻の紹介。

作品紹介

青崎有吾さん『アンデッドガール・マーダーファルス 2 (講談社タイガ)
ブクログでレビューを見る

1899年、ロンドンは大ニュースに沸いていた。怪盗アルセーヌ・ルパンがフォッグ邸の宝石を狙うという予告状を出したのだ。警備を依頼されたのは“鳥籠使い”一行と、世界一の探偵シャーロック・ホームズ! さらには保険機構の用心棒に、鴉夜たちが追う“教授”一派も動きだし……。怪物だらけの宝石争奪戦を制し最後に笑うのは誰か? 加速する笑劇、五つ巴の第二幕!

「ミステリ・ビブリオ」動画(52:17 ~)

審査員講評は?

河北さんから「続刊の話(※しばらく続刊が出ていないため)が出たので、あとでいろいろ青崎さんを問い詰めたい(笑)」と会場は笑いに包まれます。青崎さんからプロットもらった時に「これが一冊の本で完結するはずがない。登場人物が多すぎるから減らしましょう、いくらなんでもまとまらないですよと言ったんですが、『なんとかなる』『ミステリとしてもおもしろくなると思います』」と回答をもらったエピソードに触れて、「結果、上がった原稿は素晴らしいミステリで、傑作小説でした。そういうミステリが大学のミス研に届いているのが嬉しくて感動しています」と喜びを述べました。千街さんは「2巻目に絞った内容の説明、とにかくこの作品の魅力を説明する、楽しく勢いよく説明されていて、この作品の『勢い』ともリンクするのではないかと思いました」と評価。宇田川さん「控室で『3巻目について絶対聞かれるのではないか』とみなで話していたら案の定聞かれました(笑)」と続刊の話で改めて笑いに。また「僕は、キム・ニューマン『ドラキュラ紀元』が好きで、こちらもいろいろなキャラクターが出てくる話なんですけれど、あれを迎え撃つ日本代表の作品がこの青崎有吾さんの作品だと思う」と評し、「本格ミステリー度だけではなく、その充実したキャラクター性を光らせるプレゼンをしてくれた」と喝采を送りました。

さらに高橋さんは「青崎さんは『平成のクイーン』とも称され、ロジック・ミステリの強度が強いと言われていますが、この作品には『会話劇の魅力』もあって、僕はその会話劇が読めることがすごい幸せだったんですね。今回、青崎さんが乗り移っているかのようにプレゼンの歯切れがよくて、千街さんが言っていたように内容自体もトークが作品とシンクロしていて、これぞ『アンデッドガール・マーダーファルス』の『ミステリ・ビブリオ』だなと思いました」。

河北さんから「雰囲気も青崎さんとも少し似ているよね」と再び笑いを誘います。

ワセダミステリ・クラブ:知念実希人さん『甦る殺人者: 天久鷹央の事件カルテ (新潮文庫nex)』

「この中にお医者さんいらっしゃいませんかー?」のパフォーマンスも飛び出した
ワセダミステリ・クラブのみなさん

トリを飾るのはワセダミステリ・クラブから芳仲宏暢さん、宮原七々夏さん、長田直華さん(1:04:42)。白衣姿で知念実希人さん『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ』(新潮文庫nex)を紹介します。

作品紹介

知念実希人さん『甦る殺人者: 天久鷹央の事件カルテ (新潮文庫nex)
ブクログでレビューを見る

殺人鬼は、何者なのか。戦慄の医療ミステリー! 都内近郊で若い女性が次々と首を絞められ、惨殺された。警察は現場に残された血痕のDNA鑑定を行い、容疑者を割り出すが、それは四年前に死んだ男だった……。止まない殺人劇。メディアに送りつけられる犯行声明文。これは死者の復活か。あるいは、真犯人のトリックか。天医会総合病院の天才女医・天久鷹央は事件の裏に潜む“病”を解き明かし、シリアルキラーに“診断”を下す。

「ミステリ・ビブリオ」動画(1:04:42 ~)

審査員講評は?

プレゼンでの「医者≒名探偵」の話から、担当編集である高橋さんは「これに近い話は知念さんもされていた」というエピソードに触れます。「医師は『患者さんのどこに問題があるのか?』を自分の知識や経験から見つけていく。これはきわめて探偵に近い行動なんだと知念さんも仰っていて、『天久鷹央』はそういう風に形づくられているキャラクターなんだなと。それが8作のシリーズを重ねていく、大きな要素であり大きな魅力であり、そこを冒頭からびしっと指摘してされていて感動した」と評しました。千街さんは「今回のプレゼンの中で一番客席を巻き込んでいて、それが『天久鷹央』シリーズの軽快な言い回しに繋がっている」と指摘。「普通あまり触れられない『表紙』に触れていただいたこともよかった」と評価。宇田川さんは書店員業務としての売り場でのPOP作りに触れて「表紙で手にとってもらうのもありだなってちょっと教えられた感じもするので勉強になりました」と評しました。

河北さんは「本の外側についてまで触れるというのは、『そこにひょっとしたら謎がないかもしれないのに謎に思ってしまう』ってミステリマニアとしてはよくわかる感覚」だと共感を示し、「よく作家さんにこれはきっと伏線ですねとかいうとそれはとくに関係ありませんとか言われる(笑)」と笑いを誘います。そして「ミステリとして天久鷹央シリーズを読む楽しさをよく捕まえている」と評しました。

高橋さんは「イラストレーターのいとうのいぢさんする方がちゃんと作品を読んでから『これが象徴だと思います』と着想を得て装画を決めているので、読みとしても非常に優れています」と保証しました。

ついに結果発表

「ミステリ・ビブリオ」を終えて「やりきった感をすごい感じる(笑)」と述べる河北さん

「僕の目から各ミス研のみなさんのやりきった感をすごい感じる(笑)」と河北さん。休憩を挟んで結果発表(1:29:38)です。

一票づつ数え上げられる各大学得票!ついに集計結果(1:32:25)が発表されました!

  • 京都大学推理小説研究会 6
  • 慶應義塾推理小説同好会 2
  • ワセダミステリ・クラブ 2
  • 東京大学新月お茶の会 0

初の出版社をまたいだ初の試みミステリ・ビブリオを制したのは京都大学推理小説研究会!蓋をあけてみれば圧勝でした。堂々の1位!

審査員・宇田川さんから商品を受け取る伊地知さん

続いて慶應義塾推理小説同好会とワセダミステリ・クラブが同2位。東京大学は惜しくも票を得られず残念!閉会に際して各審査員の皆さんからのコメントです。

ミステリ評論家・千街晶之さん

千街さん「ビブリオバトルは初めて体験するものでして、Twitterでも『そろそろ白黒つけようぜ』と果し合いをするかのようなやりとりを見て、『尾張柳生』と『江戸柳生』の戦いみたいなものなのかなとドキドキしながら来たんです。実際に体験してみて非常に楽しかったですね。優勝された京大さんおめでとうございます。非常に密度が濃くて、客席のみなさんにも物語の内容、あるいは理系といったものに興味を持ってもらった語り口だったと思います。また他の三大学の皆さん方も、プレゼン力といいますか、トーク力といいますか、今の私のトークが恥ずかしく思うような非常に聞きごたえのあるトークだったと思います。みなさんのますますのご発展、そして知念実希人さんと青崎有吾さんのご活躍を期待したいと思います」。

ときわ書房・宇田川拓也さん

宇田川さん「ミステリが好きで普段売り場で一冊でも手にとっていただきたいという気持ちで本屋の店員をやっているんですけれども、やっぱりいいミステリを紹介して拍手されているのを見ていいなあって思って、改めて僕も今日は熱意というかミステリ愛を持って売り場でがんばろうかなと思います」。

新潮文庫nex編集長・高橋裕介さん

高橋さん「みなさん4大学がプレゼン・トークが本当にうまかった。このプレゼンをやられた方々に僕らの司会の一切合財を任せたいとずっと思っていました。東京大学さんは残念ながら票がなかったんですが、始まった瞬間に「やばい!うまい!」と思って、どんなにハードルを上げるんだろうと思ったら、後の三大学も負けず劣らず素晴らしかったというのが僕の率直な感想で、こんなに本が愛されているということと、その愛されていることをこんなにうまく伝えるプレゼンを、こんなに長い時間聴けることは編集者としてなかった経験だったので、非常に嬉しく楽しい時間でした」。

講談社タイガ編集長・河北壮平さん

河北さん「甲乙つけがたいというのは本当にこういうことを言うのですね。最近のミス研のみなさんは「読む」「書く」だけでなく「喋る」能力も高いんですね。ミステリについて当然詳しいし、僕らよりも全然喋るのうまいし、この人たちがいてくれるのであれば日本のミステリはまだまだ大丈夫だ!と思うくらい。ぜひこういうイベント自体もまたやっていきたいですね。もっと各大学のミス研ともお話していきたいし、そういう方たちから物語の面白さとか、ミステリの面白さというのを広く伝えてもらえれば、こんなに編集者としてもうれしいことはないなと思える。すごい幸せな時間をすごさせてもらいました」。

今回は初の試みであるにもかかわらず、参戦者の各大学ミス研皆さんのプレゼン力・トーク力に驚かされ作品の魅力が大きく伝わったのではないかと思います。ぜひ2回、3回と続いてほしいものですね。

最後、「この図書カードで何を買いたいですか?」の河北さんからの問いに「もちろん新潮文庫nexと講談社タイガの本です」と伊地知さんが答え会場は笑いに包まれました。改めまして、京都大学推理小説研究会・伊地知寛温さん、初の栄冠おめでとうございます!

対戦後に各大学ミス研からのコメントももらいました!

京都大学推理小説研究会

京都大学推理小説研究会・伊地知寛温さん

―優勝おめでとうございます!今回一番遠くから参戦ですね。お一人で来たんですね。

二人までいいと講談社さんに言われたんですけれど、研究会から一人で行ってこいと言われて。

―学部は理系で生物学だということで知念さんの医療ミステリはやはり好きですか?

本当幅広く読むので学部とはあまり関係ないですね。他の講談社タイガ・新潮文庫nexから海外の作品もよく読むので。

―今回、書評を聞いているかのような素晴らしいプレゼンで感銘を受けましたが、こういうバトルははじめてですか?

中学校のビブリオバトルをやったくらいですがもうだいぶ前なので。

―サークルの中でやることはないのですか?

あまりそういう機会はないですね。

―もったいないですね。またのこういう機会ありましたらぜひ。また関西地区でもこういう企画があると面白いですね。応援しております!

慶應義塾推理小説同好会

慶應義塾推理小説同好会・土谷浩之輔さん

―慶応さんも今回のこういうバトルははじめてですか?

そうですね。はじめてですけれど、青崎さんの元からファンだったので(笑)。

―すばらしいですね。じゃあ「どんぴしゃりで来たぞ」と。

そうですね。
―今回慶応さんが「続刊が出ないのか」と問い詰めたことで近いうち3巻目を刊行することを青崎さん自身が明言しましたね。

楽しみですね(笑)

―ミステリ研究会では主にどんな活動をされているんですか?

ミステリ研究会はやっぱり読むことが多いですね。例会を毎週やっているんですけれど、そこでも好きな本を勧めるようなことをやってます。

―サークル活動=ビブリオバトルみたいな感じなんですね。こういう形で他大と話すこともあまりないのではないですか?

全日本ミステリ連合という会合はあるんですけれどもあまり交流することもないので、他大の皆さんの発表の仕方とか勉強になってすごい楽しかったです。

―続けて次会次々回も雄姿を期待しております!がんばってください。

ワセダミステリ・クラブ

ワセダミステリ・クラブ
左から宮原七々夏さん、芳仲宏暢さん、長田直華さん

―こういうバトルは初めてですか?

個人としても初めてですし、ワセダミステリ・クラブとしても聞いたことないので初めてだと思います。

―今サークルはどれくらいの規模ですか?

各学年20名くらいいて全体で80名くらいですね。

―ああそんなにいらっしゃるんですね!選抜で3名が勝ち抜いて。

いや勝ち抜いたというか僕が声かけて(笑)

―プレゼンの中で「お医者様にいますか?」のパフォーマンスは確かに私も一度も使ったことがない台詞で面白かったです。今後もこういう企画があれば出てみたいですか。

機会あればぜひ。

―大学のミステリサークルがこうやって今後もおもしろい作品を広められるといいですね。本日はお疲れ様でした!

東京大学新月お茶の会

東京大学新月お茶の会
左から髙嶋亮佑さん、中村友香さん、藤村敦さん

―東大新月お茶の会さんのサークルで何名くらいでやられているんですが?

十数名です。

―今回のようなバトルは始めてですか?

初めてです。

―初めての経験なのに結構仕込みされていて面白かったです。一発目から大変だったと思います。実際やってみていかがでしたか?

やっぱり自分の思ったこと自分なりに考えた言葉を出すというのがビブリオバトルかと思っていたので、そこが大変でした。

―ネタも仕込んで流暢に話されていて、結構準備に時間をかけたんでですか?

原稿を練り合わせて練習したり事前の準備はしたつもりです。

―今回残念ではありましたがぜひ雄姿をまた見せてください!ありがとうございました。


皆さんお疲れ様でした!河北さんの「日本のミステリはまだまだ大丈夫だ!」の言葉深く頷ける素晴らしいイベントでした。第2回、3回と引き続き開催されることを期待しております。

それでは!このイベントを記念して知念実希人さん『幻影の手術室: 天久鷹央の事件カルテ』青崎有吾さん『アンデッドガール・マーダーファルス 1』サイン本を各5名計10名様へプレゼントいたします!

こちらも奮ってのご応募もお待ちしております!

4大学『ミス研』対抗ミステリ・ビブリオ第二部
知念実希人さん青崎有吾さん公開対談の模様は後日お届けします!乞うご期待!

関連リンク

【サイン本プレゼント】知念実希人さん『幻影の手術室: 天久鷹央の事件カルテ』青崎有吾さん『アンデッドガール・マーダーファルス 1』各5名計10名様へ!