『本屋の新井』発売記念!新井見枝香さん×伊野尾宏之さんトークイベント

三省堂書店新井見枝香さん、伊野尾書店伊野尾宏之さんトークイベント・鏡開き

3. 新井さんの糧:好みのタイプ

新井見枝香さん
新井見枝香さん

新井さん:幻冬舎のカリスマ編集者、箕輪厚介さんって顔めっちゃかっこいいよね。

伊野尾さん:会ったことあるんですか?

新井さん:ない!たまたまTwitterで見て「すごい好きな顔だ!」って。どストライクでした。悪っそーな顔してて。

伊野尾さん:「一秒で進化してる」って言われるような顔が好きなんですね。ほか、どういう顔が好きなんですか?

新井さん:顔か。なんだろうな。こけし顔が好き。目が細い感じが。

伊野尾さん:こけし顔……どういう顔ですか。芸能人で言うと?

新井さん:いないですね。あんまりいないです。

伊野尾さん:謎に包まれてますね。これまでの彼氏はみんなこけし顔なんですか。

新井さん:いや、これまで好きな人と付き合えたことがないので……

伊野尾さん:それこそ人生だよね。人生だいたいそんなもんだよね。

新井さん:そんなもんですよ。伊野尾さんはどうなんですか。

伊野尾さん:俺が始めて女の人と付き合ったのは18の頃なんですけど、新井さんがこないだAbemaTV「7.2 新しい別の窓」に出てるのを見て、元彼女がずっと草彅くんのことを「ツヨシ」って呼んでたことを思い出したよ。

ちなみに付き合ってる僕のことは「伊野尾さん」って呼んでた。なんか完全に僕のほうが呼び方的に下なんですよ。そのトラウマを思い出したのは新井さんのせいですね。

ちなみにその次に付き合った人は香取くんのファンで、「シンゴちゃん超いいよね」って言うのを「そうだね」って気の抜けた返事をするのが定例会話だったんだけど。うん。そんな人と新井さんが並んで写真写ってるからね。

司会:好きな芸能人と現実の彼氏の問題ですか……

新井さん:そういうところってみんなうまいこと処理するじゃないですか。好きな芸能人がいるけど、実際は手ごろな人と付き合うっていう。

伊野尾さん:手ごろって言葉は変えろ!(笑)

新井さん:そこをうまくできるかできないかって分かれ目ですよね。うまく折り合いつけられない人が身近に多いんですよね。

伊野尾さん:ちなみに新井さんは折り合いつけられたの?

新井さん:つけられない。

伊野尾さん:つけられないままここまで来ちゃったかー。

新井さん:そういう人いっぱいいるんだと思うよ……。

4. 新井さんの得たものと成長:メディア出演

本屋プロレスの原点・伊野尾書店・伊野尾宏之さん
本屋プロレスの原点・伊野尾書店・伊野尾宏之さん

伊野尾さん:新井さんはテレビやラジオにたくさん出てますよね。

新井さん:そうなんですよね。

伊野尾さん:こないだのAbemaTV「7.2 新しい別の窓」の件も。

新井さん:あのテレビ、生放送ですごかったですね。本屋になって色んな面白い人と出会えるってすばらしいですよね。

伊野尾さん:いや、それ新井さんだけですよ。「新しい地図」の人たちと一緒にテレビに映るなんて新井さんしかいませんよ!そういえば以前某有名グループの人にタメ口使ったことで話題になりましたね……。

新井さん:そうですね。ある映画の試写会があって、その日直前までレジに入ってたんですけど関係者の人に「まあまあ」って丸め込まれて、連れてかれたんですね。それで着いたら有名映画の舞台挨拶壇上で、有名グループの人がいた。

伊野尾さん:おかしいだろ!その流れ明らかにおかしいよ!

新井さん:会場もテンション上がってるから「わーっ」って私に声援くれるんですよ。

伊野尾さん:よくわかんない人が来てるけど、盛り上がってるわけですね。

新井さん:そこで自分は1000人の前でも平気なんだなって思いました。その映画、事前に別の会で観た直後だったんで、感極まって話してたら「だったよね!」ってタメ口言っちゃって……。

伊野尾さん:「なんだあの女は」という流れですね。

新井さん:でもファンのみなさんは総じて優しかったですよ。みなさんがお店にきて、「あっ、いるいる!」って話してるのを聞くんですよ(笑)。

伊野尾さん:最近テレビ・ラジオ出演増えてますけど、握手をお願いしてくるお客さんとかはいます?

新井さん:それはありますよ。遠方からきた方とかもいて、「本選んでください」って。話しかけられない日はないんじゃないかな。

伊野尾さん:新井さんアイドルになるといいと思うよ。向いてるよ。

新井さん:ほんと?

伊野尾さん:講談社さんぜひお願いします。

新井さん:でもそれで本が売れるなら何でもしたいです。

5. オススメの本を聞かれること

三省堂書店新井見枝香さん、伊野尾書店伊野尾宏之さんトークイベント・鏡開き

司会:個人の書店主さんだと他のチェーン系書店より属人性が強いから、お客さんが店長目当てで来て、話しかけてくることも多いですよね。

新井さん:でしょうね。伊野尾さんもお客さんと喋ったりするでしょ?

伊野尾さん:そうですね。本当に商店街のお店なので7~8割は地元のお客さんなんです。日常的に普段から会話してますね。さきほど「本を選んで」ってお客さんの話が出ましたけど、そういう常連さんっているじゃないですか。

新井さん:「本のオススメないですか」って聞かれると売場にあって目に付いた、読んでる本を薦めちゃいますね。その人が何を読んできたかってことは、私から聞かないんですよ。

司会:伊野尾さんはオススメを聞かれるケースが多いんじゃないですか?

伊野尾さん:お客さんとの距離が近いんで、聞かれることはちょくちょくありますね。最初のうちは自分が読んでよかった本を薦めてたんですけど、やっぱり打率が悪いんですよ。買った人に「あれ、どうでした?」って聞くと「うん。うーん、まあ、ねえ……まだ読んでない」って(笑)。要するにあんまり興味がわかなかったんでしょう。それが申し訳なくて。

よくよく聞くと、僕が熱心に窪美澄さんの本を勧めてた人はミステリ好きだったんですよ。そういうのがあると(あかんかったな)って思って、「今日出た横山秀夫の本素晴らしいですよ」って、まだ読んでないけど勧めちゃう。

司会:なるほど。

伊野尾さん:結構みなさん、興味のある世界内で「オススメありますか?」って聞いてくるんですよね。興味ある世界、ということを略して質問されてるんです。

新井さん:うん、うん。

6.『本屋の新井』について

司会:そろそろ今回の本の話をしましょうか。今回刊行された『本屋の新井』の経緯を聞いてよろしいですか。

新井さん:今回の『本屋の新井』は、前著『探してるものはそう遠くないのかもしれない』って本を出す前に頂いてた話なんです。出版業界の専門紙「新文化」のコラム「こじらせ系独身女子の新井ですが」をまとめませんか、って。今回の本は3年くらい隔週で連載した内容を元にした本です。

発売順が前後した理由の一つは、本屋が本屋の話を書くってことにちょっと抵抗があって。いい話とか、頑張ってる話とか、本屋ってすばらしいよね!とか……

伊野尾さん:マーケットはそういうものを求めてるよね!

新井さん:それはやめてくれ、って感じなんですよ。だから時間がかかったね。

司会:書店員の書いた本っていっぱいありますが、新井さんが参考にしたものはありますか。

伊野尾さん:最近本屋が出す本は多くなってきてるよね。

新井さん:正直あまり読まないですね。本屋さんが書くもので最近面白かったものでは、花田菜々子さんの『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』ですね。これは異端。最高に面白かったですよ。

伊野尾さん:あれは本屋が書いた本と言うより「花田さんが書いた」話だからなあ。

新井さん:うん、あれは小説として読みましたね。今朝も読んで「マジいいな……」と思って。すっげえ、と。

司会:新井さんの今回の本に話を戻しますが、ウネウネした文章の一冊目『探してるものは~』に比べて今回きっちりしたコラムですよね。新井さんの考えてることがクリアに出ています。新井さんがこういう人なんだよ、って示すのにオススメできる本じゃないかと。

新井さん:うん、そこは考えて書いてますね。

伊野尾さん:よくネタが出てくるな、と正直思うね。

新井さん:いや、毎回「ネタはない」んですよ。締め切りの日に「ヤバい締め切りだ!」って原稿を思い出して、今一番考えてること、心を占めてることを書くから、ネタが切れないんですよ。貯めてもいないから。

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