少年・少女時代を思い出す小説10選!後編〜「あの頃」の気持ちを呼び覚ます名作選〜

こんにちは、ブクログ通信です。

今回は、少年・少女時代を思い出す作品の中から、後編として5作を紹介。ブクログの皆さんから高い評価を受けている作品、メディア化された作品、人気作家の作品を中心に集めました。ぜひチェックしてみてくださいね。

6.『ネバーランド』 誰にも邪魔されない、少年たちの7日間

ネバーランド (集英社文庫)
恩田陸さん『ネバーランド (集英社文庫)
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あらすじ

年の瀬も迫る頃、伝統ある男子校の寮「松籟館」では、4人の少年が寮への居残りを決めていた。それぞれに事情を抱えており、古びた寮で自由な休暇を過ごすことにしたのだ。クリスマスイブの夜、面白半分で始めた「告白ゲーム」をきっかけに、思わぬ事件が起きてしまう。日ごと深まる「謎」、徐々に明らかになるそれぞれの事情……。7日間を共に過ごした4人が出す結論とは——。

オススメのポイント!

恩田陸さんならではの、ミステリーとホラー要素のある青春ストーリーが楽しめます。年末、人気のない寮で気楽に過ごす男子高校生4人、という設定も魅力的です。大人の管理下にない少年たちが、思わぬ秘密を共有し、互いの関係性を変化させていく様子に惹き込まれます。少年時代だからこそ持つ自由さと、子供ゆえの不自由さが絶妙なバランスで描かれ、読み進めるほどに登場人物に感情移入してしまうこと必至です。本作は、2001年にテレビドラマ化され、今井翼さんと三宅健さんがダブル主演を務めました。

恩田陸さんの作品一覧

切ないけどいいなぁ、と思わせる永遠の少年期の冬休みの物語。キラキラヒリヒリした物語の世界にどっぷり浸かれます。少年たちの物語であり、かつて少女や少年だった大人たちの過ちのその後の物語でもあるかもしれません。こんな素敵な物語を書いてくれてありがとう、と言いたいです。冬休みに温かい部屋でゆっくり読みたい本でもあります。

rinkotobabelさんのレビュー

7.『悲しみよ こんにちは』 少女が持つ純粋な残酷さを描いた世界的名作

悲しみよ こんにちは (新潮文庫)
フランソワーズ・サガンさん『悲しみよ こんにちは (新潮文庫)
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あらすじ

もうすぐ18歳になるセシルは、プレイボーイの父とその恋人・エルザと共に、南仏の海辺にある別荘でバカンスを過ごすことになった。大学生のシリルと出会い、恋に落ちるセシル。そこへ、父のもう1人の恋人であるアンヌが合流する。父とアンヌが再婚するつもりだと知ったセシルは、ある計画を思いついて——。

オススメのポイント!

セシルの抱く葛藤、怒り、憂いといった心模様を、大胆かつストレートに描いた作品です。セシルの父親への想い、アンヌに抱く複雑な感情は、国境を越えて誰もが共感できるものでしょう。思春期の少女ならではの残酷な素直さも、みずみずしく描かれています。世界的に有名な作品ですが、まだ読んだことがない人はぜひ手に取って欲しい名作です。1958年に公開された映画版もおすすめです。

フランソワーズ・サガンさんの作品一覧

熱く照りつける太陽と、青い空に浮かぶ薄い白い雲、穏やかに、そして時に激しく波打つ海…
南仏の空気を感じながら、18歳の子供らしく大人びた一夏を追体験する。
この本の中には色んな感情がある。喜び、悲しみ、妬み、絶望、快楽、後ろめたさ。
その感情1つ1つに名前を付けるのは難しい。
でもサガンは19歳で、あらゆる感情を紐解いて言葉にすることに成功していることに驚く。
私は父への深すぎる愛も、愛人に対する憐れみと親しみも、これから母となる人への敬意と軽蔑も、恋人への個人に拠らない愛も感じたことがないのに、私は深く納得して共感した。この物語は至極象徴的で、誰の心にもすっと入り込んでくる。
また読みたくなる名作。

こなつさんのレビュー

8.『檸檬のころ』 あの頃の、何気ない日々を思い出させてくれる名作

檸檬のころ (幻冬舎文庫)
豊島ミホさん『檸檬のころ (幻冬舎文庫)
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あらすじ

山と田んぼに囲まれた、北高校。通っているのは、どこにでもいる普通で地味な高校生たちだ。保健室登校の女の子、同級生となじめない音楽ライター志望の女子、片思いに揺れる野球部男子——特別な才能も力もない、ありふれた高校生たちの日常を切り取った連作短編集。

オススメのポイント!

収められた7つの物語の中で、きっと誰もが「これはあの頃の私だ」と思う人物に出会えることでしょう。読み進めるうちに、つい自身の高校時代を思い出し、甘酸っぱくもほろ苦いような気持ちになれる作品です。高校生ならではの恋愛模様や将来への不安、勉強の悩みなどを、みずみずしく描いています。大きな事件は起こらない物語ですが、だからこそ、自分の中の過ぎ去りし時を思い出し、「あの頃」が懐かしくなってしまうのです。こちらの作品は2007年に映画化され、榮倉奈々さんら実力派若手俳優が主演を務め、話題を集めました。

豊島ミホさんの作品一覧

年を重ねるにつれ、青春時代ってなんとなくきらきらしいものに記憶が美化されていくものだけど、綺麗なだけじゃなかった、さかむけみたいな些細な感情の揺れも、丁寧にすくいあげて言葉にできるのがすごいなぁと思った。18歳のあの頃の感受性のつよさをいつまでも忘れないでいられる、すてきな作家さん。

motoko915さんのレビュー

9.『しずかな日々』 少年のひと夏を描いた、野間児童文芸賞・坪田譲治文学賞ダブル受賞作


しずかな日々 (講談社文庫)
椰月美智子さん『しずかな日々 (講談社文庫)
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あらすじ

小学5年生の少年「えだいち」は、母と2人で暮らしている。ある夏、家庭の事情で祖父と同居することになった。祖父の家は平屋で全て和室だ。朝は雨戸を開ける音で目覚め、庭木に水をやり、近所の人と交流する。そんな静かな日々の中で、「えだいち」はかけがえのない夏休みを過ごすことになるのだった。

オススメのポイント!

こちらの作品は、第45回野間児童文芸賞と第23回坪田譲治文学賞をダブル受賞し、大きな話題となりました。「えだいち」がおじいさん、友人たちと過ごす時間が、とてもキラキラと美しく感じられる物語です。少年時代にしか過ごすことのできない夏の日々が、作者のみずみずしい表現力で、鮮やかに描き出されています。読み進めるうちに、誰もがかつて過ごした夏休みの思い出が、次々と呼び覚まされてくることでしょう。作中では、明るく、まぶしく、静かで穏やかな時間が流れていきます。読後は、古い友人や遠く離れた家族に会いたくなるかもしれません。

椰月美智子さんの作品一覧

読み終わったあと、胸がきゅうんとして少し泣いた。
もう戻れない、苦しいほど眩しくて暑くて無我夢中だったあの頃、小学生だった私はどこかでこのキラキラの終わりを予感してたようなきがする。
あの頃には戻れないけど、このキラキラは確かに自分の中に息づいて、今の自分を形作っている。そんなことをふと思った。

しそさんのレビュー

10.『少年時代』 12歳のコーリーと共に、ひと夏の冒険に出る物語

少年時代〈上〉 (文春文庫)
ロバート・R.マキャモンさん『少年時代〈上〉 (文春文庫)
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あらすじ

アメリカ南部の小さな町で暮らす少年・コーリー。ある朝、父と一緒に出かけたコーリーは、湖に沈んでいく車を発見する。運転席には殺された男の遺体が、ハンドルにつながれていた。湖に沈んだ車は引き上げることが難しく、事件は謎のままとなる。殺された男は誰だったのか、犯人は誰なのか——。12歳のコーリーを取り巻く、謎の事件と個性豊かな人間関係を描いた長編小説。

オススメのポイント!

物語の舞台はアメリカですが、12歳のコーリーの思考や感情は、遠く海を隔てた私たちの少年・少女時代にも通じるものがあります。コーリーの目線を通して、もう一度少年・少女時代を過ごしている気持ちになれる1冊です。ミステリ、ファンタジー、ヒューマンドラマといった、多面的な魅力が詰まった物語なので、ぜひ手に取ってみてください。日本冒険小説協会大賞受賞作です。

ロバート・R.マキャモンさんの作品一覧

ミステリーの要素はあるものの、少年達の成長を描いた郷愁の物語です。
1960年代のアメリカの田舎町を舞台にした話ですが、国や文化を超えて誰もが共感できる作品だと思います。
全編に渡って瑞々しさが迸ります。読者それぞれが自分の子供時代に思いを馳せることでしょう。きっと心に残る一冊になりますよ。

afokenさんのレビュー

珠玉の物語を読むことで、いつの間にか忘れていた少年・少女時代の気持ちを、もう一度思い出してみませんか?懐かしさで胸がキュンとなる、おすすめの作品ばかりです。ぜひ手に取ってみてください。前編はこちら!