米澤穂信さんオススメ5選!〜「日常の謎」をめぐるミステリが大人気!〜

こんにちは、ブクログ通信です。
2001年に『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞し鮮烈なデビューを飾った米澤穂信さん。「<古典部>シリーズ」が人気を博し、シリーズ3作目の『さよなら妖精』でその名を広く知られるようになりました。2014年には『満願』で山本周五郎賞を受賞し、作家としての地位を確立します。「日常の謎」を扱う青春ミステリの名手であり、ダークミステリや人間ドラマにも定評のある作家の一人です。
ブクログから米澤さんのオススメ作を5作紹介いたします。多数の作品の中から、ぜひ一度は読んでほしい名作ばかりを集めました。ぜひ参考にしてくださいね。

『米澤穂信(よねざわ ほのぶ)さんの経歴を見る』

米澤穂信さんの作品一覧

1.『氷菓』

米澤さんのデビュー作かつ代表作です。2001年に第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞し、角川スニーカー文庫から刊行されました。本作をはじめとする「<古典部>シリーズ」は米澤さんの作品の中でも特に高い人気を誇ります。2012年にアニメ化、2017年に実写映画化されました。

米澤穂信さん『氷菓 (角川文庫)
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あらすじ

何事にも積極的に関わらない奉太郎が、姉の命令で入部させられた古典部で、部員の少女の叔父が関わった三十三年前に起きた事件の真相に迫る。省エネ少年と好奇心少女が繰り広げる青春ミステリー。

オススメのポイント!

この作品の見どころは、高校の<古典部>を舞台に繰り広げられる軽妙な謎解きと主要キャラ4人の人間模様です。高校生が主人公なので、殺人や窃盗といった大きな事件は起こりません。しかし、だからこそ高校生を取り巻く日常や学校生活のリアリティが引き立ち、作品世界に惹き込まれます。青春と謎解き、この2つを素直に楽しめる名作です。

高校入学したての主人公の日常ミステリー。人が死んだりとかは無い、ほんの些細な謎を解いていくミステリー。でも高校時代ならそんな出来事が大きなことだし、人を変えていくのだと思う。 些細と書きましたが、氷菓にまつわる話は全然些細ではなく胸が締め付けられる様なストーリーです。

Los Xotosさんのレビュー

2.『Iの悲劇』

2019年に刊行され、人口過疎地のIターンをテーマにした社会派ミステリという点で注目を集めた作品です。連作短編集ですが、全体を通して一つの物語でもあります。住民が居なくなった集落に人を呼び戻す「甦り課」と一癖ある移住者たちをめぐる「謎」という、ありそうでなかった着眼点がユニークなミステリ作品です。

米澤穂信さん『Iの悲劇
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あらすじ

一度死んだ村に、人を呼び戻す。それが「甦り課」の使命だ。山あいの小さな集落、簑石。六年前に滅びたこの場所に人を呼び戻すため、Iターン支援プロジェクトが実施されることになった。業務にあたるのは簑石地区を擁する、南はかま市「甦り課」の三人。彼らが向き合うことになったのは、一癖ある「移住者」たちと、彼らの間で次々と発生する「謎」だった–。

オススメのポイント!

一見、限界集落の公務員が村を甦らせるという熱意のある物語に見えますが、良くも悪くも期待を裏切られること必至です。読む前と読後では、作品に対する印象が180度変わることでしょう。米澤さんの作品の醍醐味である「日常の謎」とそれを解決する登場人物たちの見事な手腕、ぜひ本作を通して味わってみてください。

社会派ミステリと呼んだら良いかもしれない。
過疎問題を解決させるべく、Iターンを狙う市長直属の甦り課の課長・西山、主人公の万願寺、学生の雰囲気の抜けない新人・観山。それに蓑石に引っ越してきたあくの強い住民たち。
面白くなる要素満載の題材を、米澤さん上手に描いています。一つ一つのエピソードもミステリ仕立てで解決が図られますが、全体のストーリーにも謎が。この作品で終わりにするのは勿体ない。ぜひ続きが読みたいです。

takep07さんのレビュー

3.『満願』

2014年に刊行された推理小説短編集です。同年、早川書房の「ミステリが読みたい!」、文芸春秋の「週刊文春ミステリーベスト10」、宝島社の「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し史上初の3冠を達成しました。2018年にNHKでテレビドラマ化されています。

米澤穂信さん『満願 (新潮文庫)
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あらすじ

人生を賭けた激しい願いが、6つの謎を呼び起こす。人を殺め、静かに刑期を終えた妻の本当の動機とは―。驚愕の結末で唸らせる表題作はじめ、交番勤務の警官や在外ビジネスマン、フリーライターなど、切実に生きる人々が遭遇する6つの奇妙な事件。入念に磨き上げられた流麗な文章と精緻なロジック。「日常の謎」の名手が描く、王道的ミステリの新たな傑作誕生!

オススメのポイント!

6編の物語が収録されており、各話ごとに全く違った雰囲気を楽しめます。米澤さんは「日常の謎」や「青春ミステリ」の名手として有名ですが、そのイメージを覆す新たな魅力に出会える作品ばかりです。米澤さんの確かな筆力に圧倒されること間違いなしの一冊となっています。

何かの事件や犯行を引き起こす動機やこだわりは、100人いれば100通りある。「そんな理由で……!?」と驚くような動機も、けっして突飛だとは感じずに深く納得させられるものばかり。人間の持つ執念の深さのようなものが、丹念に描かれている。

hiroki2833さんのレビュー

4.『本と鍵の季節』

2018年に刊行されました。男子高校生2人が放課後の図書室でさまざまな謎に挑む「図書室ミステリ」です。米澤さんならではの、爽やかでほろ苦いストーリーが6編収録されています。読み進めるほどに物語の奥深さに気づかされる展開で、刊行直後から続編を望む声が相次ぐほど人気の作品です。

米澤穂信さん『本と鍵の季節
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あらすじ

堀川次郎は高校二年の図書委員。利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門(しもん)と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。そんなある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、その鍵の番号を探り当ててほしいというのだが……。

オススメのポイント!

高校の図書室、図書委員の男子2人、友情、という舞台設定だけでも惹かれる人は多いのではないでしょうか。しかし、それだけで終わらないのが米澤さんの作品です。大事件が起きるわけではないものの、一つ一つの謎が気づけば大きな波紋となっていくストーリー展開の妙を楽しめます。魅力的な登場人物と楽しい会話描写にも注目です。

図書委員の男子高校生二人が、日常のミステリとも言えるちょっとした謎を紐解いて行く短編集。
明るく爽やかさいっぱいで解決かと勝手に想像していたので、この展開は戸惑いつつも逆に意表を突かれた気分で楽しめた。二人の推理トークはバランスが良く、読んでいて気持ちがいい。最後の二話は何とも読み応えあり。友を想う気持ち……それこそ鼻の奥をツンとさせながらビターチョコレートを口にしたような読後感。

くるたんさんのレビュー

5.『儚い羊たちの祝宴』

2007年から2008年にかけて『小説新潮』に掲載された4編と書き下ろし1編を収録した短編集です。「最後の一撃」にこだわって書かれており、推理小説の1ジャンルである「奇妙な味」と背徳感を味わえる一冊となっています。癖のあるストーリーですがそれゆえに魅力も強く、多くの読者を虜にしている作品です。

米澤穂信さん『儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)
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あらすじ

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。

オススメのポイント!

この本を一言で表すなら、「衝撃」です。ページを開いてから読み終わるまで終始漂う不穏で得体の知れない雰囲気をぜひ一度体験してください。読書の醍醐味は現実では味わえない体験を疑似体験できることですが、この本はまさにそのためにあると言っても過言ではありません。ダークで甘美、ホラーでファンタジック、一筋縄ではいかない魅力に搦め取られる一冊なので覚悟して読むことをおすすめします。

横溝正史的な世界観の中で語られる、本格ミステリの骨子をもったスリラーというべきか。
周到に張り巡らされた伏線、巧みなミスリード、ラスト一行の衝撃。
どれを取っても良く練り込まれている。
甘美な五人のお嬢様たちの物語。しかし結末はどれも黒く苦い。
読み進めるうちに募る不吉な予感。それは当たる場合もあれば外れる場合もある。だが、どちらの場合もその奥にもうひとつ扉があるだろう。

kwosaさんのレビュー

米澤さんの作品は、爽やかな青春ものから重厚なミステリまで幅広い世界観が魅力です。「日常の謎」はミステリが苦手な人にもおすすめできます。米澤さんの作品をまだ読んでいない人は、ぜひ一度その世界観に触れてみてはいかがでしょうか。