本を通して青春時代を追想する、オススメ学校小説5選!

こんにちは、ブクログ通信です。

学生時代というのは、一度通り過ぎてしまうともう、二度と戻ることのできない一方通行の時代です。大人になっても折に触れて懐かしむ、思い出の宝庫である学生時代にタイムスリップするような小説を集めました。

ブクログのみなさんに人気の学校を舞台にした小説のなかから、とくにオススメの作品を5作紹介いたします。多数の作品の中から、人気の作家さんの作品や、知名度の高い作品を中心に集めました。読めば自分の学生時代を思い出すこと間違いなしの名作ぞろいです。ぜひ参考にしてみてくださいね。

1.重松清『青い鳥』完璧じゃない、だからこそ愛が生まれる

青い鳥 (新潮文庫)
重松清さん『青い鳥 (新潮文庫)
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あらすじ

中学校で国語科の非常勤講師をしている村内先生には、吃音があった。生徒たちにもそれぞれ、辛い胸のうちがあった。父親の自殺、いじめへの加担、傷害など、一人では抱えきれない闇に苦しむ生徒たちに、村内先生はそっと寄り添う。うまく話せない、だからこそ、言葉に想いを込め、大切に使う。人はだれも完璧ではなく、社会のなかで戸惑う子どもたちにとって、村内先生の存在は一条の救いとなる……。

オススメのポイント!

理不尽な大人たちに振り回される、思春期特有の繊細で複雑な子どもたちの心が、驚くほど真摯に書かれた作品です。昔、中学生だったすべての人に懐かしく、まさに今、苦しいなかを生き抜いている若者にとっては深く共感できる内容になっています。短編集のため気軽に読めますが、泣ける話ばかりなので、読む場所は選んだ方がいいかもしれません。心が洗われます。2008年には阿部寛さん主演で映画化も果たしました。

重松清さんの作品一覧

吃音がある国語教師である村内先生と様々な問題を抱える中学生たちの話。先生の使命は生徒たちの側にいてあげること、ひとりぼっちにはしないこと、という村内先生の信念には心を打たれる。決して全てのケースがうまくいくわけではないところも現実感があり共感できた。悩んでいる中学生に是非読んでもらいたい作品である。

hiroki-musashinoさんのレビュー

2.灰谷健次郎『兎の眼』教育とはなにか?児童文学の金字塔

兎の眼 (角川文庫)
灰谷健次郎さん『兎の眼 (角川文庫)
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あらすじ

大学を出たばかりの新任教師・小谷芙美は、大阪の工業地帯にある町の小学校に配属となった。受け持つことになった1年生のクラスには、決して心を開かず、暴力的な生徒・鉄三がいた。個性豊かな生徒たちや、「ヤクザ教員」の異名を持つ先輩教師との対話のなかで、小谷先生は少しずつ鉄三と向き合い、鉄三の秘めた才能に気づき始めていく。若い女教師の変容とクラスの成長がたくましい、感動の灰谷健次郎デビュー作。

オススメのポイント!

1974年に刊行された作品ですが、少しも古さを感じさせず、むしろ現代にこそ必要な真の教育が切実に書かれています。人間はすぐに答えの出ることを求めてしまいがちですが、この作品を読むと、向き合いつづける強さに気づかされます。「なんとなく」読まずにいる人にはぜひ手に取ってほしい一作です。第8回日本児童文学者協会新人賞、第1回路傍の石文学賞受賞作品。映画化、ドラマ化もされました。

灰谷健次郎さんの作品一覧

「人生の10冊」に入る本。
何度読んでも、淳ちゃんの言葉と、鉄三ちゃんの作文に声を出して泣いてしまう。
生きていく中で、正しい道を見失いかけたとき、この本に帰ってきたい。
人として忘れてはいけない、「本当の正しさ」が詰まっている本だから。

めずあんさんのレビュー

3.瀬尾まいこ『図書館の神様』文学の持つ力の偉大さにハッとされられる秀作


図書館の神様 (ちくま文庫)
瀬尾まいこさん『図書館の神様 (ちくま文庫)
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あらすじ

バレーボールで国体にも出場経験がある早川清は、赴任先の高校で文芸部の顧問になってしまった。ただ一人の部員である垣内君との図書館での部活動は、清にとっては退屈なものだったが、垣内君は文学に大きな可能性を感じている。学生時代の辛い経験から屈折した恋愛に引きずられる清だが、垣内君との部活を通して少しずつ心に変化が現れる。誠実であたたかみのある文章が心地よく染みわたるハートフル小説。

オススメのポイント!

垣内君の芯の通った人物描写がすがすがしく、どちらが先生かわからなくなるような清との対話が面白く読ませます。人は、人との関わりのなかで傷つくことがあります。ですが一方で、人との関わりのなかでその傷を癒やし、再生していきます。垣内君をはじめ、恋人や家族との関係のなかで成長していく清の姿に心があたたまります。敷居が高いと敬遠されがちな文豪たちの作品にも触れられる、本好きがもっと本を好きになれる一作。

瀬尾まいこさんの作品一覧

主人公と文芸部の唯一の部員の男の子との掛け合いが楽しく、ニタニタしてしまう。
また作中に出てくる文学作品を考えながら読むと、二重に楽しめる。

roccoさんのレビュー

4.湊かなえ『告白』デビュー作にして累計358万部超えのベストセラー

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)
湊かなえさん『告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)
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あらすじ

3学期の終業式の日、1年B組の担任である森口悠子はホームルームで、ある告白を始めた。それは自分が教師を辞めること、そしてその理由が、一人娘・愛美の死に関係しているということ。事故死として片付けられた愛美の死の真相は、クラスに在籍する2名の生徒の殺人によるものだと、森口は続ける。衝撃の告白と復讐の宣告。犯人、家族、級友の心のうちが描かれ、次第に事件の全貌が浮かびあがってくる——。

オススメのポイント!

語り手が章ごとに異なり、それぞれの人物の心情が手に取るようにわかります。告白に次ぐ告白に、息つく暇もありません。文章に引きこまれたまま、最後まで読み切ってしまうでしょう。「イヤミスの女王」と呼ばれるゆえんがわかる、苦虫を噛みつぶしたような後味の悪さをぜひ一度味わってみてください。2009年には本屋大賞を受賞。2010年、松たか子さん主演で映画化され、第34回日本アカデミー賞では4冠を達成しました。

湊かなえさんの作品一覧

まさに衝撃的なラスト。
決して救われることのないそれぞれの立場の登場人物の告白。
文は読みやすく、展開も早く一気に読み終えました!
おそらく何度読み返しても飽きないと思います。

舞さんのレビュー

5.恩田陸『夜のピクニック』ただ、歩く。それだけで青春

夜のピクニック (新潮文庫)
恩田陸さん『夜のピクニック (新潮文庫)
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あらすじ

全校生徒が24時間耐久で80キロを歩く「歩行祭」。3年生の甲田貴子は高校生活最後の行事となるこの日、ある賭けをしていた。それは、クラスメイトの西脇融に声をかけること。二人には一筋縄ではいかない関係性があった。仮眠や食事をとりながら夜を徹して歩く非日常のなかで、登場人物たちは秘めた想いを静かにぶつけあい、溶けあっていく。ノスタルジアの魔術師と称される著者が、母校の名物行事をモデルに創作した異色作。

オススメのポイント!

大きな事件が起きるジェットコースターのような作品ではありませんが、登場人物たちの心情の豊かさが闇夜に浮かびあがってくる、奥行きのある作品です。青春の苦さや友人との心の通いあいなど、だれもが後になってかけがえのないものであったと気づく、人生の大事な時間が穏やかに描かれています。本作は第2回本屋大賞、第26回吉川英治文学新人賞を受賞し、多部未華子さん主演で映画化、舞台化も果たしました。

恩田陸さんの作品一覧

ピクニックって、昼にやるもんでしょ?夜徹し?とにかく読んでみた。・・あぁ甘酸っぱい感じが心地よい。あの頃に戻りたい。いや、学生時代にこんな素敵なイベントなかった。多分あったとしても、照れて一緒に歩く事すらしなかっただろうな。思い出と妄想を掻き立ててくれる一冊。

bookdogさんのレビュー

甘酸っぱかったりほろ苦かったりと、楽しいだけではない青春時代。本のなかで追体験をしたり、学生時代を思い出しながら読んでみてはいかがでしょうか。とくに気になった1冊をぜひ手に取ってみてくださいね。