読書で旅した気分になれる小説10選!後編〜行先は実在地から幻想世界まで〜

こんにちは、ブクログ通信です。

今回はブクログから非日常の世界を旅した気分になれる10作品の中から後編5作品をご紹介いたします。実在の土地はもちろん、現実とも夢ともつかない幻想世界まで、さまざまな世界で旅行気分を味わえる作品をご用意しました。本の世界へ旅したくなったときは、ぜひ手に取ってみてください

6.『夜間飛行』 夏の夜、プロペラ機でめぐる夜間の特別遊覧飛行はいかが?

夜間飛行 (河出文庫―文芸コレクション)
長野まゆみさん『夜間飛行 (河出文庫―文芸コレクション)
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あらすじ

ミシエルとプラチナはある日、不思議なものを見つけた。雷卵石と呼ばれるそれを使い、2人はハルシオン社の特別な遊覧飛行のチケットを手に入れたのだった。2人が参加したのは、夏の夜に開催される不思議な遊覧飛行。少年たちが出会うのは、流星群や潜水艇、花々に囲まれたホテル、きらめく飲み物にお菓子……。ここでしか味わえない、幻想的な夜間飛行に誘われる珠玉の物語。

オススメのポイント!

幻想的で魅惑的な物語をいくつも生み出している人気作家・長野まゆみさんの初期作品の一つです。とにかく、登場するものすべてが美しくきらめいて、思わずうっとりしてしまうこと間違いなし!こんな旅行に行ってみたい、こんな島に行ってみたい、こんなものを食べてみたいと思わせるシーンの連続です。長野さんならではの独特な文字表現も、作品世界をより魅力的に際立たせています。夜間にだけ開催される遊覧旅行という、なんとも秘密めいた旅行をぜひ体験してみてください。

長野まゆみさんの作品一覧

少年達の冒険の物語。
雷卵石を手に入れたミシエルとプラチナは特別なチケで、夜間飛行の旅に出る。
始終、キラキラとつかの間のファンタジーを奏でてくれる。
お気に入りの一品である。

edenさんのレビュー

7.『夢より短い旅の果て』 知るほどに奥が深い鉄道の旅に、いざ出発進行!

夢より短い旅の果て
柴田よしきさん『夢より短い旅の果て
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あらすじ

上京し大学生になった四十九院香澄は、有名な鉄道同好会に入会した。鉄道に興味のない香澄が鉄道同好会に入ったのは、ある理由があったからだ。この線路の向こうには、きっとあの人がいる――そう信じているから。急行能登に飯田線、沖縄都市モノレール・ゆいレール、こどもの国……いくつもの線路、いくつもの駅でさまざまな出会いを経験する香澄。鉄道で旅するうちに、香澄の心にも少しずつ変化が生まれて——。

オススメのポイント!

鉄道旅の魅力がいっぱいに詰まった作品です。実際に旅に出られなくても、物語を読むうちにさまざまな路線を旅する気分を味わえます。鉄道好きはもちろん、主人公の香澄のように鉄道に詳しくない人も楽しめる物語です。ミステリ要素もあるので、先が気になりどんどん読めてしまいます。また、作品中にいろいろな「鉄オタ」が登場するシーンも必見です。写真を撮る「撮り鉄」や乗車メインの「乗り鉄」、「駅マニア」「時刻表マニア」など、奥深い鉄道の世界を垣間見ることもできます。

柴田よしきさんの作品一覧

四十九院香澄は“その道では有名な”鉄道旅同好会に入会した。鉄道に興味はなかったが、彼女には同好会に絶対に入らなければいけない理由があった。急行能登、飯田線、沖縄都市モノレールゆいレールに、こどもの国、越後湯沢、雨晴、日光…。一つの線路、一つの駅に集う多くの人々、様々な人生と交錯する中、彼女自身も自分のレールを敷きはじめていく。ありふれた日常をちょっぴり変える、珠玉の鉄道ロマン。

kumiko-cooさんのレビュー

8.『旅屋おかえり』 あなたの旅行、代理します。人気作家が贈る、「誰か」のための旅物語

旅屋おかえり (集英社文庫)
原田マハさん『旅屋おかえり (集英社文庫)
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あらすじ

売れないアラサータレントの丘えりかは、周囲から「おかえり」と呼ばれている。スポンサーの名前を間違えて看板番組が打ち切りになり、32歳にして無職になった。そんな「おかえり」は、ひょんなことから難病の女性・真与の代わりに旅行に行くことになる。旅先では悪天候に見舞われ、目的達成が危ぶまれるが——。崖っぷちタレントだった「おかえり」が依頼人の代わりに思い出の地をめぐる「旅行代理業」、ここに開業!

オススメのポイント!

「旅行代理業」という珍しい視点での旅物語です。素直でまっすぐな「おかえり」と一緒に、さまざまな土地をめぐる楽しさを味わえます。各地の風景描写も見事ですが、人情味あふれる人々との出会いも旅の醍醐味の一つです。本作を開けば、自宅に居ながらいろいろな土地を訪れ、現地の人々と触れ合った気分になれます。自分のためではなく、誰かのための旅行というのも素敵だなと思える作品です。

原田マハさんの作品一覧

心が緩まり、ホロホロと出る涙。
登場人物に悪役なし。
全員ただただいい人。
キネマの神様と感覚的には似たものを感じた。
こんな風に自分を成長させられる
一人旅がしてみたいなあ。

美紗希さんのレビュー

9.『愉楽の園』 バンコクで始まる大人な恋の物語。旅と恋の両方を楽しみたい人に!


愉楽の園 (文春文庫)
宮本輝さん『愉楽の園 (文春文庫)
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あらすじ

舞台はタイの首都・バンコク——。政府高官のサンスーンと、その愛人として暮らす日本人女性・恵子、恵子と偶然の出会いを果たすバックパッカーの野口。立場も価値観も文化も異なる男女が、運河の町・バンコクで恋に落ちた。もつれあう人間関係、めくるめく陶酔、嫉妬と愛情の果てに待つものは何か。熱気と喧騒に満ちたバンコクを舞台に繰り広げられる、男と女の物語。

オススメのポイント!

バンコクの町並みが濃密に描写され、現地の空気さえ感じられるようなじっとりとした雰囲気が魅力です。宮本輝さんならではの筆力を堪能でき、本当にバンコクにいるような気分を味わえます。恋愛小説ではありますが、大人な雰囲気たっぷりの恋愛が描かれているので、覚悟の上で読み始めることをおすすめします。熱帯の空気に包まれた異国の地で、熱い恋に身を焦がす男女の姿から目が離せなくなる作品です。旅行先でしか味わえない熱烈な体験をしてみたい人に読んでほしい一冊だといえます。

宮本輝さんの作品一覧

この小説を読んでタイで過ごした気分になり読み進むのが楽しみでしょうがなかった。
タイの暑さや湿度や匂いまでも感じられるような気がした。
単なる恋愛小説かと読んでいると不思議な人物や出来事などミステリーにも思えてくる。

miyagawamさんのレビュー

10.『キノの旅―The beautiful world』 シリーズ累計820万部を超える、超人気ラノベ作

キノの旅―The beautiful world (電撃文庫 (0461))
時雨沢恵一さん『キノの旅―The beautiful world (電撃文庫 (0461))
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あらすじ

人間・キノと言葉を話す二輪車・エルメスは世界中を旅している。旅のルールは、「一つの国に滞在するのは三日以内」だ。キノはエルメスを運転し、護身のために銃やナイフを使いこなす。そんな1人と1台が訪れるのは、文化も風習も異なるいくつもの国々……。キノはどの国にもどの人にも干渉はしない。ただ3日以内にその地を去るだけ——。謎めく1人と1台が世界中をめぐる孤高の旅の物語。

オススメのポイント!

キノが訪れる国々が1章につき1国描かれており、本書では6つのお話(国)を知ることができます。国々がそれぞれに抱える事情は、現実世界の私たちとリンクしている物も多く、読後はほろ苦い余韻を残す作品です。旅によって得るものは決してハッピーエンドだけではないと、改めて知らしめてくれる作品だともいえます。2003年と2017年にテレビアニメ化され、2005年には映画化されました。2011年には『角川つばさ文庫版 キノの旅』が刊行されています。

時雨沢恵一さんの作品一覧

物語は時系列もばらばらの短編集。物語は哲学的なものが多いでしょうか。
キノが一国旅するのに1話ずつという短編集です。
人は儚い。醜い。それでも美しい。そんなお話。

chipaさんのレビュー

旅をテーマにした作品は多数ありますが、ここでご紹介したものはどれも格別の旅した気分を味わえる名著ばかりです。なかなか旅行に行けないときには、ぜひ読書を通じて心の旅に出発してみてくださいね。