優しく心をほぐしてくれる、「家族の絆」がテーマのおすすめ5作!

こんにちは、ブクログ通信です。

時にわずらわしく、時に鬱陶しく、けれどもいざとなったら心を支えてくれるものは、家族の絆かもしれません。離れて暮らしていても、家族とのつながりは常にそこにあるのです。もしみなさんが、特に理由もなく心細くなったときやぬくもりが恋しくなったときは、読書を通じて家族の絆を感じてみませんか?

ブクログから家族の絆を感じられるオススメ作を5選紹介いたします。家族をテーマにした作品の中から、さまざまな家族の形を描いた名作を選びました。読めば心が温かくなる、深い絆の物語たちをぜひ手に取ってみてくださいね。

1.『重力ピエロ』ミステリーの名手が描く、強い絆の物語

2003年に新潮社から発行された、人気作家・伊坂幸太郎さんの小説です。第129回直木賞候補作で、2004年版『このミステリーがすごい!』では第3位を獲得しています。2009年には映画化されました。映画では加瀬亮さんと岡田将生さんが主演を務め、その繊細な演技が話題を集めました。

伊坂幸太郎さん『重力ピエロ (新潮文庫)
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あらすじ

泉水と春の兄弟は、優しい父と美しい母と共に暮らしている。一見、普通の幸せな家族だが、春の出生には悲しい秘密があった——。やがて兄弟が大人になったとき、身の回りで連続放火事件が起こる。兄の泉水はある決意のもと、春と一緒に事件の謎解きに乗り出すのだった。家族の絆とは何かを考えさせる、異色のファミリーストーリー!

オススメのポイント!

泉水と春の「スプリング兄弟」の絆に心打たれる作品です。2人の抱える記憶は明るいものばかりではないのですが、過去も記憶も関係なく互いを支え合う2人の姿に惹き付けられます。伊坂さんならではの軽妙な語り口、家族とは何かを考えさせるテーマ、そしてたくましくも愛情深い主人公たち一家と、たくさんの魅力が詰まった一冊です。

伊坂幸太郎さんの作品一覧

「性」、「家族愛」、「兄弟愛」この3つを大きなテーマとして話が展開していく。泉水、春、そして父のそれぞれの思いやりの気持ちに胸を打たれた。家族とは血の繋がりなんて超えた存在なのかもしれない。

坂本裕太さんのレビュー

2.『さくら』幸せな家族の、さくらが散るまでの物語

直木賞作家・西加奈子さんが描き出す少し変わった家族の物語です。2005年に単行本が、2007年に文庫本が小学館から発行されました。2020年秋に映画版が公開予定です。映画では主演を北村匠海さん、兄役を吉沢亮さん、妹を小松奈々さんが演じるとあり、人気俳優・女優が名を連ねたキャスト陣が大きな注目を集めました。

西加奈子さん『さくら (小学館文庫)
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あらすじ

ヒーローで人気者の兄、美しい妹、愛し合う父と母、そして平凡な「僕」。僕たち5人と、尻尾に花びらをつけていたことから名づけられた飼い犬のさくらは、楽しくにぎやかに暮らしていた。兄が二十歳で自殺するまでは——。兄の死をきっかけに崩壊した家族のそばで、老齢になったさくらは変わらずにいる。さくらの生きる姿を通して、家族それぞれの「光」と「影」を描く珠玉の名作。

オススメのポイント!

変わりゆく家族のそばで、変わらずに過ごすさくらの姿がとても印象的な作品です。家族それぞれが持つ葛藤や悩みを、西さんならではの淡々としたタッチで描き出しており、じっくりと心に染み入る物語となっています。幸せな家族とはどんなものか、そもそも幸せとは何かと考えさせられる作品です。

西加奈子さんの作品一覧

自分がこれまでの人生で触れた小説の中で、「家族であることの幸せ」をこれほど見事に書き切った作品は……もう、今後出てこないんじゃないかと思ってしまうくらいに感動した。涙の理由は多分、家族の繋がりに尊さを感じたからなのかもしれない。

ヨッシーさんのレビュー

3.『有頂天家族』偉大なタヌキたちによる、偉大な愛の物語

2007年に幻冬舎より発刊された、森見登美彦さん作の長編コメディ小説です。森見さん作品の中で初の動物が主人公の作品で、「たぬきシリーズ」の第1作目にあたります。2013年にアニメ化され、2017年には続編が放映されました。2014年に「七変化音楽劇 有頂天家族」というタイトルで舞台化もされています。

森見登美彦さん『有頂天家族 (幻冬舎文庫)
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あらすじ

狸の名門である下鴨家の三男・矢三郎の口癖は「面白きことは良きことなり!」。宿敵・夷川家に肩身の狭い思いをさせられながらも、矢三郎は今日も京都の町を駆け回る。家族は誇り高いへなちょこで、ライバルタヌキは底意地が悪い。矢三郎が師と慕う天狗は落ちぶれて飲んだくれ。京都の町を舞台にした、タヌキと天狗と人間の三つ巴の戦いが始まる——。

オススメのポイント!

矢三郎をはじめとするタヌキ一家の可愛らしさと家族愛にハマる人続出の作品です。森見さんならではのテンポ良い文章と、ファンタジックな世界観をぜひ楽しんでください。アニメ版も原作とはまた違った良さがあり人気を博しているので、小説版とアニメ版を見比べてみるのもおすすめです。

森見登美彦さんの作品一覧

 森見さんの本の中で1番好き!
読む前は、主人公は狸か…、なんて思って読むのに躊躇したけれど、今では時々恋しくなって再読している。
とにかく下鴨家の狸たちが可愛すぎる…!
「面白きことは良きことなり!」で笑ってたはずなのに、家族を思う心のあたたかさに、心がじーんと震えた。

ralopbearyさんのレビュ

4.『とんび』父と子の歩みを慈愛深く描いた名作!

人間ドラマの名手・重松清さんが描く父子の物語です。2003年から約1年間、新聞に掲載された後、2008年に角川書店から発行されました。2012年には単発ドラマ化され、翌2013年には連続ドラマ化も果たしています。

重松清さん『とんび (角川文庫)
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あらすじ

昭和37年の夏、瀬戸内海の小さな町で暮らすヤスさんに息子・アキラが誕生した。幸せの絶頂に居たヤスさんだったが、突然の悲劇によってその幸せは壊れてしまうのだった。男手一つでアキラを育てるヤスさんと、父親の愛情を一身に受けて育つアキラ。高度成長期の日本を舞台に、周囲の人々に支えられ導かれながら成長していく父と子の物語。

オススメのポイント!

この作品は父と子の絆、親から子への愛情といった言葉で表現されることも多い作品です。しかし、実は無骨なヤスさんが父親として成長していく物語でもあります。時にもどかしくなるヤスさんの不器用さ、愛情ゆえの空回りを見て、親になることの大変さ・やりがいを疑似体験できるのも本書の魅力です。

重松清さんの作品一覧

不器用だけど、愛情深い父親と息子の成長物語。
まるで、自分の父を見ているようで、何度も涙がこみ上げてきた。

奏悟さんのレビュー

5.『東京バンドワゴン』ハートウォーミングな下町大家族物語!

2006年に集英社から発刊された、小路幸也さんよる大家族・堀田家の物語です。小路さんの代表作としても知られており、2020年4月に第15弾が発売された大人気シリーズの一作メでもあります。2013年に亀梨和也さん主演でテレビドラマ化され、平泉成さんや玉置浩二さんら豪華キャストにも注目が集まりました。

小路幸也さん『東京バンドワゴン (集英社文庫)
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あらすじ

東京の下町で老舗古本屋「東京バンドワゴン」を営む堀田家。堀田家は三代目店主の勘一、長男で伝説のロッカー・我南人とその息子たちなど四世代が同居する大家族だ。情に厚く地域とも密接につながる堀田家には、ご近所のちょっとした困りごとが持ち込まれる。家族とのつながり、地域のつながりをにぎやかに爽やかに描き出す小路幸也さん代表作!

オススメのポイント!

今どき珍しい大家族の堀田家のにぎやかな食卓風景とテンポの良い会話は、読んでいて楽しくなるのでぜひ手に取ってみてください。登場人物が多いのが本作の特徴ですが、一人一人の個性が際立っており、きっとお気に入りの人物が見つかるはず!大家族の暮らしを体験してみたい人は、ぜひ「東京バンドワゴン」を訪れてみてください。

小路幸也さんの作品一覧

家族を1人の語り手の立場から描く物語。
古本屋を舞台とし、堀田家とその周りの人々の日常を描いている。その中に、ちょっと事件があり、古本屋さんらしい方法で謎解いていったり…。
とても温かく、家族っていいなぁと思える作品。
どの人物も個性あり、好きになれます。
大家族っていいなぁと少し憧れたし、最近ではあまり近所との繋がりも薄いというので、このような密接な地域の関係にもほっこりさせられました。

ayu-poupeさんのレビュー

家族の形、愛情の形はさまざま……。今回ご紹介した作品はそんな風に強く思わせてくれるものばかりです。家族、兄弟、親戚など、形も表現方法も異なるいくつもの愛情を、ぜひ本を通じて体験してみてくださいね。