汗・涙・青春!読後感爽やかなスポーツ小説10選!前編

こんにちは、ブクログ通信です。

スポーツの秋などと言いますが、これは1964年、東京五輪の開会式が10月10日に行われたことに由来しています。だんだんと肌寒くなってくるこの季節、スポーツマンたちの、体の内側からこみあげる情熱を感じてみてはいかがでしょうか。

ブクログから青春の風を感じるような、オススメのスポーツ小説10作(前編5作、後編5作)を紹介いたします。スポーツを扱った作品の中でもとくに人気があり、その競技について知らない人でも読みやすい作品を中心に集めました。読めば体を動かしたくなる!そんな作品ばかりです。

1.三浦しをん『風が強く吹いている』素人ランナーが箱根駅伝出場!?無謀な挑戦に胸が熱くなる青春小説

風が強く吹いている (新潮文庫)
三浦しをんさん『風が強く吹いている (新潮文庫)
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あらすじ

万引きで逃走中のカケルは、追いかけてきた男・ハイジに紹介され、今にも崩れ落ちそうな格安学生寮・アオタケに住むことに。歓迎会で集まった住人たちに、ハイジはある計画を宣言する。それは、アオタケに住む10人の学生で箱根駅伝を目指すというものだった。陸上未経験者も多く無謀だと思う一方、カケルは「おもしろそうじゃないか」と囁く心の声を聞く。「速く」より「強く」、頂点を目指す10人の挑戦が幕を開ける——。

オススメのポイント!

漫画オタクやヘビースモーカーなど、陸上選手らしからぬ登場人物たちの挑戦は、スポーツをした経験のない人にも読みやすく、勇気を与えられます。箱根出場は叶うのか、そもそも住人たちは走れるのか?導入からエピローグまで呼吸も忘れてしまうほど吸引力のある文章が連なっています。第1回ブクログ大賞文庫本部門大賞受賞作。林遣都さん、小出恵介さんが主演を務める実写映画やテレビアニメも話題となりました。

三浦しをんさんの作品一覧

生粋の青春スポーツ小説。
駅伝の観客なら可能だけど、選手として自分が参加するのはありえない。けれど、この小説はそれを可能にしてくれた。駅伝を走る側からの景色、思い、苦しみ、身体の変化や痛みなど、読んでいるとまるで自分に起こったことのようだった。小説ってすごい、無限の可能性がある。

ベル さんのレビュー

2.あさのあつこ『バッテリー』少年たちの激情が刺さる!累計1000万部超えの大ベストセラー

バッテリー (角川文庫)
あさのあつこさん『バッテリー (角川文庫)
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あらすじ

天才ピッチャーとしての素質を持つ原田巧は、中学入学目前の春休み、父親の転勤を機に岡山県の山あいの町、新田市に移り住んだ。協調性がなくプライドの強い巧は、それゆえに孤独でもある。そんな巧の前に現れた永倉豪は、小学生時代に試合で見た巧の投球に惚れ、バッテリーを組むことを熱望する。本気の投球から二人の関係性が始まり——。老若男女問わず虜にさせる、ジャンル分け無用の大ヒット作品!

オススメのポイント!

「『バッテリー』はスポーツ小説ではない」と著者が語るこの作品は、人物の心理描写に重きが置かれています。登場人物の心の動きが丁寧に描かれていて、野球にあまり詳しくない人でも読みやすいのがおすすめのポイントです。親として、子として、それぞれの立場から感じるものがあります。第35回野間児童文芸賞受賞。漫画・ラジオドラマ・映画・テレビドラマ・テレビアニメとメディアミックスされ、愛され続けている名作です。

あさのあつこさんの作品一覧

若さゆえの自信、欲求、親や周りへの苛立ちがたっぷり。周りは全然理解してない、そんな気持ちになって自分の世界をつくるのだろう。でもこれから変わっていく、人に関心を持って何かを掴んでいくのだろうと感じさせる。

midorinohitoさんのレビュー

3.近藤史恵『サクリファイス』タイトルの秀逸さに思わず舌を巻く!スポーツ×ミステリ小説

サクリファイス (新潮文庫)
近藤史恵さん『サクリファイス (新潮文庫)
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あらすじ

中距離走でインターハイ1位の成績を持つ誓は、プレッシャーに耐えきれずロードレースへの転身を決める。ロードレースでは「エース」と「アシスト」の役割が分かれており、誓はアシスト、つまりエースの犠牲(サクリファイス)になることでチームを勝利に導く位置についた。しかし、3年前に起きた事故をめぐって誓はチームのエース・石尾を恐れるようになり……。スピード感のある自転車競技とサスペンスが融合した著者の代表作!

オススメのポイント!

第10回大藪春彦賞を受賞したほか、本屋大賞やこのミステリーがすごい!でもノミネートされた本作は、青春スポーツ小説であると同時にミステリー小説としても読ませます。犠牲を意味する「サクリファイス」の真意がわかったとき、そのネーミングセンスと構成力に脱帽してしまうでしょう。ロードレースの奥深さを知ることもでき、『エデン』『サヴァイヴ』『キアズマ』『スティグマ―タ』とシリーズ作品が続きます。

近藤史恵さんの作品一覧

私が15年前読書にハマった一冊。そして、ロードレースにも興味を持った本。
あれからロードバイクを買い、それなりに遠征もするようになったが、機会があり再読。すーぐ読めた。
やっぱり面白いと思った本はいつになっても面白い。おススメ。

harutomo0307さんのレビュー

4.佐藤多佳子『一瞬の風になれ』最後に全力疾走したのはいつですか?

 

一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ- (講談社文庫)
佐藤多佳子さん『一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ- (講談社文庫)
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あらすじ

高校生天才サッカープレーヤーの兄を持つ神谷新二は、努力の限界を感じ、中学卒業をきっかけにサッカーを辞めた。高校入学後、クラスメイトに誘われたのをきっかけに、同じ高校に通う幼馴染み・一ノ瀬連とともに陸上部に入部する。連は中学生の頃、全国区で記録を残すほどの実力者だったが、ある理由から陸上を辞めてしまっていた。努力家の新二と天才肌の連。二人がスタートラインに立ったとき、物語が始まる。

オススメのポイント!

一所懸命な新二と、サボりがちなくせに美しい走りを見せる連との対比が眩しい青春小説です。喜びも苦しみも掛け値なしにわかちあえる仲間と過ごす時間は人生の中でも一瞬のことかもしれません。そんな「一瞬」が鮮やかに捉えられた本作は、2007年に第28回吉川英治文学新人賞、本屋大賞を受賞しています。陸上経験者は共感の嵐!未経験者でも軽い語り口が読みやすく、全力疾走したい気持ちにさせられます。漫画、ドラマ化も。

佐藤多佳子さんの作品一覧

口語調で読みやすかった。ガムシャラに練習をして、主人公の健二が陸上選手として成長(化ける)していく予感がする第一巻。天才肌の蓮もいい味を出している。高校で運動部をやっていた人はすごく共感出来る。青春。懐かしい。

akinobun0404さんのレビュー

5.森絵都『DIVE!!』目指せ五輪!時速60キロ、1.4秒を競う少年たちは、誰がために飛ぶ

DIVE!! 上 (角川文庫)
森絵都さん『DIVE!! 上 (角川文庫)
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あらすじ

坂井知季たちの通う弱小ダイビングクラブは、赤字経営のため存続の危機に陥っていた。新コーチ・麻木夏陽子の提示したクラブの存続条件。それは、クラブから翌年のオリンピック出場選手を出すこと。高すぎる目標に戸惑い、自問する知希たちの前に、夏陽子はライバルと称し、幻の高校生ダイバー・沖津飛沫を連れてきて——。平凡な少年が非凡を目指す!友情・葛藤・成長がスパークルする、青春ダイビング小説。

オススメのポイント!

どちらかというとマイナースポーツな「飛びこみ」ですが、美しく空中を舞い、水中へと還っていく少年たちの姿が鮮やかに浮かぶ読みやすい作品です。飛沫の化け物感にはゾクゾクさせられ、知季のまっすぐさに惹かれます。実際に飛びこみを見てみたい!と思う人も多いでしょう。ラジオドラマ・漫画・舞台化を果たし、テレビアニメや、林遣都さん、池松壮亮さん、溝端淳平さんの三人が主演を務めた映画も話題となりました。

森絵都さんの作品一覧

スポーツ 友情 家族 恋愛 師弟
飛び込みというスポーツを知らなくても、とても惹き込まれました。1部、2部と主人公が変わりそれぞれの成長や心の変化が描かれています。
場面の映像が自然と浮かんでくるのは、作者の表現が美しいからだろうなと。

まくさんのレビュー

人がなにかに打ちこむ姿は美しく、眩しいほどです。スポーツ経験のある方には懐かしいシーンも多いでしょう。興味を持った競技や好きな作家さんのものから、ぜひスポーツ小説を手に取ってみてくださいね。後編5作品も楽しみにしていてください!