スリルとサスペンスが襲いかかる映画原作小説10選!後編〜読み進める手が止まらない、加速度強めの作品選〜

こんにちは、ブクログ通信です。

ブクログのみなさんから高い評価を受けている作品を中心に、映画版も好評の作品、話題性のある作品を集めました。読後にかなりの満足感がある一方で、映画版も見たくなってしまう名作ばかりです。ぜひ参考にしてくださいね。前編5作品はこちら!

6.『紙の月』 真面目な銀行員が欲望に堕ちていく姿を描いた、傑作長編小説

紙の月 (ハルキ文庫)
角田光代さん『紙の月 (ハルキ文庫)
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あらすじ

梅澤梨花、41歳。25歳で結婚し専業主婦になるも子供に恵まれず、銀行でパート勤めを始めた。梨花の真面目な仕事ぶりは評価され、わかば銀行の契約社員になった。ある日、顧客の孫で大学生の光太に出会う。最初は少しだった——。好きで、ただ会いたくて……光太のためにお金を用意する梨花。少しは積み重なり、いつしか大金になった。梨花は勤め先のわかば銀行から1億円を横領したのだ。

オススメのポイント!

真面目で正義感が強く、魅力的な女性でもある梨花が徐々に人生を狂わせていく様子に、心拍数が上がりっぱなしの作品です。梨花が特別なわけではなく、誰もが梨花になり得るという事実を見事な筆致で描き出しています。丁寧な心理描写と真綿で首を絞められるような展開に、きっと誰もがゾクゾクさせられるはず。2014年に公開された映画版では宮沢りえさんが主演を務め、迫力ある演技を披露し、邦画映画賞を多数獲得しています。第25回柴田錬三郎賞受賞作です。

角田光代さんの作品一覧

小説だと分かりながらも実在した事件を見ているようなリアルな感覚があった。
梨花が犯した最初の過ちは、じわりじわりと傷口を広げていき、気づいた時には取り返しのつかないことになるが、それでも当の本人は事の重大さに気づけていない。
自分はこうならないだろうと思う反面、何か間違えば自分もこうなってしまうかもしれないと、ぞくりとさせられる作品でした。

たまむしさんのレビュー

7.『残穢』 映像化を望まない人が続出!最恐のドキュメンタリー・ホラー

残穢
小野不由美さん『残穢
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あらすじ

作家をしている「私」のもとには、読者からの恐怖体験を綴った手紙が多数届く。ある日届いた手紙には、引っ越したばかりの賃貸マンションで起こる怪異が綴られていた。「私」と手紙の差出人である久保さんは、調査を開始した。調べていくうちに明らかになる、マンションと怪異の驚きの関係性。そこには思いもよらない恐怖が潜んでいた——。

オススメのポイント!

怖いと評判のホラー小説で、映像化を望まない声が続出の異色な作品です。淡々とした語り口、はっきり何かが起こるわけではない怪異表現、徐々につながっていくいくつもの謎……ホラーとミステリが融合し、何とも言えない不気味さを味わえます。文章でこれほど恐ろしさを表現できるのかと、驚嘆すること必至の仕上がりです。夜に一人きりの家で読むのはおすすめしません。2016年公開の映画版では竹内結子さんが主演を務め、橋本愛さんや滝藤賢一さん、佐々木蔵之介さんといった豪華キャスト陣にも注目が集まりました。

小野不由美さんの作品一覧

確実に記憶に残る本、記憶に残る恐怖。
心霊映像好きな私をして、来春の映画公開に躊躇するほどの気味の悪さ…。
こ わ い

kotoku4086さんのレビュー

8.『プラチナデータ』 信じるべきは、人かコンピューターか?強大なシステムに挑む男の物語

プラチナデータ (幻冬舎文庫)
東野圭吾さん『プラチナデータ (幻冬舎文庫)
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あらすじ

舞台は2017年、日本。DNA捜査が発達し、国民の遺伝子情報から犯人を特定することで検挙率は100%に達しようとしていた。ある日、捜査システムの開発者が死体で見つかった。神楽龍平は事件解決のためシステムを起動するが、コンピューターが告げた犯人は、なんと龍平自身だった……。国家政策で集められた国民の遺伝子情報「プラチナデータ」。そこに隠された陰謀と事件の真相に、龍平はたどり着くことができるのか——。

オススメのポイント!

もともと映画化を前提として執筆された作品で、メリハリのあるスピーディな展開と、謎が謎を呼ぶ本格ミステリが魅力の名作です。追い詰められた状況を、主人公がいかにして打破していくが見どころとなっています。個人情報が国家によって管理される社会が描かれていますが、現実世界でも近いうちに実現しそうな怖さがあり、臨場感あふれる作品です。2013年に嵐の二宮和也さん主演で映画化され、豊川悦司さんや鈴木保奈美さんなど名優揃いのキャストにも注目が集まりました。

東野圭吾さんの作品一覧

初めて読む東野圭吾の作品。
手に汗握る展開で、先が知りたくて一気に読み上げた。
管理社会とその裏にある特権。
あり得る話で恐ろしい。

ともてぃさんのレビュー

9.『告白』 湊かなえデビュー作にして衝撃作!忠実な映画版も必見です!


告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)
湊かなえさん『告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)
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あらすじ

とある女性教師の娘が亡くなった。現場は、女性の勤務先である中学校。まだ幼い娘は、学校のプールで死体となって発見されたのだ。不幸な事故として処理された娘の死は、実は事故ではなく事件だった。女性教師はホームルームである告白を始める。そこでは、驚愕の事実と事件の犯人が述べられて——。衝撃のラストが待ち受ける、著者渾身のデビュー作。

オススメのポイント!

タイトルの通り、「告白」から始まる物語です。物語冒頭からかなりショッキングな内容が綴られ、読み進めるほどに重く苦しい展開が続きます。しかし、目をそらしてはいけないという気持ちと、結末はどうなるのか知りたいという気持ちで、きっと誰もが一気に読み進めてしまうはず。本作は、2008年度の「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位を獲得し、2009年の本屋大賞を受賞しました。2010年に松たか子さん主演で映画化され、第34回日本アカデミー賞で4冠を達成しています。

湊かなえさんの作品一覧

私にとって湊かなえデビュー作品。
章ごとに描かれた主要人物の語り部がリアルで、言葉選びに遠慮が無いところに残酷さを感じ読み入ってしまった。
読者を置いてけぼりにする放り出しのラストが良かった。

akodamさんのレビュー

10.『ユリゴコロ』 連続殺人犯は誰なのか?謎のノートが暴き出す、大切な家族の秘密

ユリゴコロ (双葉文庫)
沼田まほかるさん『ユリゴコロ (双葉文庫)
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あらすじ

父の書斎の押し入れから、4冊のノートを見つけた亮介。『ユリゴコロ』と題されたそのノートには、誰かはわからない不思議な人物が殺人を犯していく様が綴られていたのだった。生々しい告白は、いったい誰が書いたものなのか……。ノートを読んだ亮介は、『ユリゴコロ』の秘密に迫っていくのだった——。

オススメのポイント!

読み始めは、連続殺人者の独白物語のように思えます。しかし、読み進めるうちに善悪の観念が欠落した人間の葛藤や生き様が丁寧に描かれていることに気づくはずです。そして、亮介をはじめとした家族それぞれの葛藤や秘密が明らかになるにつれ、物語はまた違った側面を見せ始めます。読後には、きっと冒頭とは違った印象で本作を見ることができるでしょう。思わぬ結末に続く物語を、ぜひ味わってみてください。映画版は2017年に吉高由里子さん主演で公開され、松坂桃李さんや松山ケンイチさんら豪華キャストも注目を集めました。

沼田まほかるさんの作品一覧

久しぶりにのめり込んだ本でした。
手記の部分がとても惹かれる。
言葉遣いや鮮明なエピソードがゾクッとしてとてもいい。
お気に入りの1冊。

Sayaさんのレビュー

今回ご紹介した小説は、ぐいぐいと惹き込まれる物語とスリルある展開が魅力の作品ばかりです。一気読み必至の名作揃いなので、スリルとサスペンスを味わいたい日には、ぜひ手に取ってみてくださいね!