スリルとサスペンスが襲いかかる映画原作小説10選!前編〜読み進める手が止まらない、加速度強めの作品選〜

こんにちは、ブクログ通信です。

毎年、多くの小説が映画化され原作ファンからもキャストのファンからも多くの注目を集めています。映画には映画の、原作には原作の良さがあり、同じ作品でも異なる味わいを楽しめるのが映画原作小説の魅力です。そこで、今回は一度読み始めたら最後、先が気になり読み進めるスピードが加速してしまう、スリル満点の作品を厳選し、前編5作品、後編5作品でご紹介いたします。

ブクログのみなさんから高い評価を受けている作品を中心に、映画版も好評の作品、話題性のある作品を集めました。読後にかなりの満足感がある一方で、映画版も見たくなってしまう名作ばかりです。ぜひ参考にしてくださいね。

1.『屍人荘の殺人』展開はまさに奇想天外!映画版も話題の新感覚ミステリ作品

屍人荘の殺人
今村昌弘さん『屍人荘の殺人
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あらすじ

神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、美少女探偵の剣崎比留子からある取り引きを持ちかけられる。取り引きは成立し、曰くつきの映画研究会の夏合宿に参加するためペンション紫湛荘を訪れる3人。合宿初日の夜、肝試しに出かけた3人は緊急事態に見舞われ、ペンションに立てこもることになる。そして翌朝、部員1人の惨殺死体が発見された。これは連続殺人事件の幕開けに過ぎなかった——!

オススメのポイント!

予想の斜め上を行く展開、極限状態に置かれる主人公たち、忍び寄る死の気配……と、スリル満点のストーリーに魅了されます。まさかの結末に、思わず何度も読み返したくなる人続出の新感覚ミステリです。第27回鮎川哲也賞受賞作で、2019年12月に神木隆之介さんと浜辺美波さん主演で映画化されました。2019年5月からマンガ化もされており、原作小説、映画だけでなくコミックでも楽しめます。あっと驚くミステリーを読みたいときにおすすめです。

今村昌弘さんの作品一覧

とにかく衝撃を受けました。意外な展開で、そうくるのか、と驚きすぎて、思わず笑ってしまいました。帯にも“ネタバレされる前に読んで!!”と書いてあるとおり、何も知らずに読んで、驚いてほしいです。なので、その驚きを誰かと共有したくなりましたが、詳しく書けないのが悔しいです。
奇抜ですが、それでもきちんと本格ミステリ作品になっていて、本格ミステリでまだこんなに新しいことがやれるのだと、胸が高鳴りました。

ななさんのレビュー

2.『ダイナー』怒涛の展開!圧倒的パンチ力!一気読み必至のノワール小説

ダイナー (ポプラ文庫)
平山夢明さん『ダイナー (ポプラ文庫)
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あらすじ

軽い気持ちで携帯闇サイトのバイトに応募したオオバカナコ。凄惨な拷問を受け殺されかけたあげく、会員制ダイナーのウェイトレスとして売られてしまう。そこは、プロの殺し屋が集まる、血と暴力にまみれた店だった。謎の男・ボンベロのもと、奇抜な殺し屋たちに命がけの接客をするカナコ。一歩間違えればすぐに殺されるダイナーで、カナコは生き残ることができるのか——。

オススメのポイント!

本書の印象を一言で表すなら、「苛烈」そのものです。殺し屋たちの世界を舞台にした作品なため、かなりダークな部分もあるのですが、先が気になり一気に読んでしまうこと間違いなし!始めは無気力だったカナコが、徐々に生きる力を強くしていく様が胸を打ちます。個性的で恐ろしく、それでいてダイナーでは人間臭い一面も見せる殺し屋たちも魅力たっぷりに描かれています。2019年に蜷川実花監督のもと、藤原竜也さん主演で映画化され話題を集めました。第28回日本冒険小説協会大賞、第13回大藪春彦賞受賞作です。

平山夢明さんの作品一覧

久しぶりに時間の限り一気読みしたくなった一冊。
そして、なんといっても魅力はボンベロ。優しいんだか優しくないんだか・・・。最初はちょっとグロ系で読了できるかな、なんて思っていたけれど心配ご無用。登場人物と文章に思いっきり引っ張り込まれます。

keigo3813さんのレビュー

3.『罪の声』 「グリコ・森永事件」を題材にした、読み応えのあるクライムミステリ

罪の声
塩田武士さん『罪の声
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あらすじ

京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日祖父の遺品から意外なものを見つける。それは、カセットテープと1冊のノートだった。ノートには英文と、とある製菓メーカーの名前が残されている。そして、テープに録音されていたのは、子供の頃の自分の声だった。テープを再生すると、31年前に起こりいまだ未解決の「ギン萬事件」で、製菓メーカー恐喝に使われたものと全く同じ音声が聞こえてきて——。

オススメのポイント!

昭和最大の未解決事件として有名な「グリコ・森永事件」をモチーフにした、重厚なクライムミステリです。まるでノンフィクションのような、緻密でリアルな描写が光ります。読み応えがあり、「事件の真相は?」とはやる気持ちがページをめくる手を急がせる傑作です。2016年度の「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門第1位を獲得し、第7回山田風太郎賞を受賞しました。2020年10月公開の映画版では、小栗旬さんと星野源さんがダブル主演を務めています。

塩田武士さんの作品一覧

グリコ・森永事件を題材にした、リアル版“時効警察”。事件の真相に迫るのは、畑違いの文化部から駆り出された1人の新聞記者と、幼い頃の自分の声が録音されたカセットテープを偶然発見した1人の男。複雑に絡み合った糸を丹念に解し、辿り着いた真実とは? 一見荒唐無稽な話だが、緻密な取材過程を丹念に描くことで真実味を増していく。王道とも言える手法だがその筆力に唸った。

ぽてちさんのレビュー

4.『クライマーズ・ハイ』 報道とは?正義とは?新聞記者の闘いを描くヒューマンドラマ


クライマーズ・ハイ (文春文庫)
横山秀夫さん『クライマーズ・ハイ (文春文庫)
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あらすじ

1985年の8月12日、御巣鷹山で未曽有の航空機事故が発生。衝立岩への登攀を予定していた地元紙の遊軍記者である悠木和雅は、全権デスクに任命される。墜落地点はどこか、第一報は朝刊に間に合うのか……ギリギリの判断を求められる悠木。同僚が残した謎の言葉、息子との軋轢、社内各部署との対立——さまざまな苦悩にもがきつつ、自分なりのジャーナリズムを貫く地方新聞記者の戦いを描いた秀作。

オススメのポイント!

著者の横山秀夫さんが地方新聞社の記者であったことから、報道現場の様子や事故発生時の緊迫感がかなりリアルに描写された作品です。ジャーナリズムとは何か、新聞を作るとはどういうことか、を読者に突きつける衝撃作でもあります。息つく暇もない怒涛の展開に飲み込まれる作品なので、寝不足に注意が必要です。2005年に佐藤浩市さん主演でテレビドラマ化され、2008年には堤真一さん主演で映画化もされました。ドラマ版、映画版共に高く評価されているので、ぜひ原作を併せてチェックしてみてください。

横山秀夫さんの作品一覧

読んでいて本当に面白かったです。特に社会人の方はその面白さを実感できると思います。主人公・悠木の姿に少なからず自分を重ねていたことを読み終わって気づきました。没頭できるというか、あっという間に読了していました。
人間臭さというか現実感がすごくあり、自分も日航機墜落事故の渦中にいるような錯覚すら感じました。主人公を取り巻く環境も複雑で、苦悩もよく伝わってきました。自分だったらここでどういう行動・言動ができるか考えることも面白かったです。
小説の面白さを教えてくれる素晴らしい一冊でした。

yoshiki0669さんのレビュー

5.『ゴールデンスランバー』 首相暗殺の犯人に仕立て上げられた男のスリル満点な逃亡劇

ゴールデンスランバー (新潮文庫)
伊坂幸太郎さん『ゴールデンスランバー (新潮文庫)
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あらすじ

多くの人間の目の前で、首相が爆殺された。報道されている犯人は、「俺」——。首相暗殺の犯人に仕立て上げられ、巨大な陰謀に巻き込まれていく「俺」こと青柳雅春。訳もわからぬまま追われ、警察からも攻撃される中、孤独な逃亡生活が始まった。果たして、「俺」は無実を証明することはできるのか、逃げ延びることはできるのか——。

オススメのポイント!

国家権力や謎の人物にたった一人で立ち向かう「俺」の、スリル満点な逃亡劇に惹き込まれる物語です。迫る包囲網、絶対絶命のピンチ、次から次に巻き起こるトラブルなど、先を読まずにはいられないジェットコースター展開に惹き込まれます。2010年に堺雅人さん主演で映画化され、斉藤和義さんが手がけた主題歌も話題を集めました。2018年には韓国でも映画化されています。

伊坂幸太郎さんの作品一覧

最高に面白かった!!是非読んでほしい。
伊坂幸太郎の本は伏線を回収するタイプが多いが、まさに最後の最後まで上手に伏線を張り巡らしていてぞわぞわする。
自分が見ている情報が本当に正しいのか、思わされるし、人間には信頼がどれほど大切なのか痛感した。

Sato Yukaさんのレビュー

今回ご紹介した小説は、ぐいぐいと惹き込まれる物語とスリルある展開が魅力の作品ばかりです。一気読み必至の名作揃いなので、スリルとサスペンスを味わいたい日には、ぜひ手に取ってみてくださいね!後編もお楽しみに!