暑さを吹き飛ばすホラー小説10選!後編〜読めば背筋がひやりとする超冷感作品特集〜

こんにちは、ブクログ通信です。

ブクログからぜひ手に取ってほしいオススメのホラー小説を10作。今回は後編5作品を紹介いたします。文字を読んでいるだけなのに、気づけば寒くなる極上のホラー作品ばかりです。背筋が凍りつくような超冷感小説をぜひご堪能下さい。

6.『丘の屋敷』 スティーブン・キングに多大な影響を与えた古典ホラーの名作

丘の屋敷 (創元推理文庫 F シ 5-1)
シャーリイ・ジャクスンさん『丘の屋敷 (創元推理文庫 F シ 5-1)
ブクログでレビューを見る

あらすじ

11年もの間、母親を介護してきたエレーナ。ある日、心霊学研究をしているモンタギュー博士から手紙が届く。心霊現象が起こる「丘の上の屋敷」の研究に協力してほしいというのだ。博士は、エレーナが幼少期に体験したある出来事に注目していた。屋敷を訪れたエレーナは他の研究協力者たちと出会う。彼らはエレーナを温かく迎えるが、屋敷で怪異が起こり始めるとその関係性にも歪みが生じて——。

オススメのポイント!

「幽霊屋敷」と呼ばれるほど怪異が起こる屋敷で、エレーナをはじめとする登場人物たちが少しずつ闇に飲み込まれていく恐怖を味わえます。日本のホラー小説とは一味違った怖さが魅力で、具体的な描写がないのにじわじわと深まる恐怖をぜひ体験してみてください。この作品は、『スタンド・バイ・ミー』や『グリーン・マイル』で知られるホラー小説家スティーブン・キングが絶賛した作品でもあります。古典ホラー小説の名作としても有名な作品なので、ぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

シャーリイ・ジャクスンさんの作品一覧

夜は読めないほど怖かった。『シャーリィ・ジャクスンはオカルティズムに関心が深く、魔女を自称していたこともあった』とあるが、エレーナと彼女がダブるところがまた怖い。読書中の夜、怖い夢を見たほど怖い。それくらい想像力を広げてくれる本に出会えたことに感謝と敬意を表します。

tom555さんのレビュー

7.『夏と花火と私の死体』 9歳の夏休みに殺された「私」の物語

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)
乙一さん『夏と花火と私の死体 (集英社文庫)
ブクログでレビューを見る

あらすじ

「私」は9歳の夏休みに殺された。「私」を殺したのは、幼馴染のあの子——。「私」の死体はあの子とその兄によって隠された。大人たちの目をかいくぐり、死体発見の危機を回避するため兄と妹は奔走する。2人の姿を一番近くで見ているのは、死体となった「私」。まぶしい夏の風景の中、幼く恐ろしい子供たちのひと夏の出来事を描き出す。

オススメのポイント!

今や人気作家として名高い乙一さんのデビュー作です。死んだ「私」の視点から描かれた物語という斬新さ、子供が子供を殺してしまうという残酷さ、死体が発見されるかもしれないというスリル、いろいろな味わいが詰まった名作だといえます。乙一さんならではの幻想的な世界観と、常に感じられる死の気配が合いまった個性的なホラー小説です。1996年度の第六回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞受賞作。

乙一さんの作品一覧

乙一作品はどれも面白いが、一番を決めろと言われれば、これを選ぶだろう。自分が本の中にいるかのように思わせる情景描写、ゾクゾクとワクワクが交錯した気分に浸れる。個人的には二編目の「優子」も好きである。

kema-kemaさんのレビュー

8.『天使の囀り』 人気ホラー作家・貴志祐介が贈る極上の恐怖小説

天使の囀り (角川ホラー文庫)
貴志祐介さん『天使の囀り (角川ホラー文庫)
ブクログでレビューを見る

あらすじ

精神科医の北島早苗は、ホスピスで終末医療に携わっている。ある日、恋人の高梨が仕事でアマゾン調査隊に参加することになった。帰国した高梨はまるで人が違ったようになり、恐れていた「死」に魅せられたかのように自殺してしまう。同時期、調査隊の他のメンバーも異常な方法で自殺していたことがわかる。早苗は高梨が死の直前に残した言葉を思い出す——「天使の囀りが聞こえる」。その言葉の意味とは……?

オススメのポイント!

数々のホラー小説を生み出している作家・貴志祐介さんの迫力ある文章による、ゾッとする物語です。次々と起こる不可解な死、ゾクゾクするほどリアルな情景描写、心理的に追い詰められていく登場人物たち……ページをめくるほどに恐怖が増していきます。しかし、途中でやめることもできません。怖いけれど読みたい、読みたいけれどやめたい、そんな葛藤にきっと陥ることでしょう。グロテスクな描写もあるため、食事時間以外で読むことをおすすめします。ドキドキハラハラ、ゾクゾク、そんな言葉がぴったりのホラー小説です。

貴志祐介さんの作品一覧

読み終わった後も、手の震えが止まらない。
めずらしく読書で寝不足になろうとは…
じわじわと身の毛のよだつ恐怖に苛まれる。

秋月スズメさんのレビュー

9.『リング』 世界を恐怖に陥れた、日本ホラー作品の金字塔


リング (角川ホラー文庫)
鈴木光司さん『リング (角川ホラー文庫)
ブクログでレビューを見る

あらすじ

4人の少年少女が、同日の同時刻に死亡した。みなそれぞれに、苦悶と驚愕の表情を浮かべたまま……。雑誌記者の浅川は、姪の死を不審に思い調査を始めた。調査の中で、1本のビデオテープを手に入れた浅川。少年少女はこのビデオテープを見た1週間後に死亡したのだ。ビデオテープをデッキに送り込む浅川の手は、震えている。画面に光が差し、ビデオテープの再生が始まった。そこに映し出されていたのは——。

オススメのポイント!

ひたひたと心を浸食してくるような、じっとりとした怖さを堪能できる作品です。これぞジャパニーズホラーの醍醐味といえる、体の芯から冷え冷えとさせる恐怖を味わってみてください。1995年と1999年にテレビドラマ化され、1996年にはラジオドラマ化もされています。1998年には映画化され、松嶋菜々子さんと真田広之さんが主演を務めました。その後、韓国とアメリカでも映画化されています。特にアメリカではヒット作となり、ジャパニーズホラーブームの火付け役となりました。

鈴木光司さんの作品一覧

呪いのビデオを見てしまった主人公が、友人と共にその呪いを解くためビデオの謎に迫るといった話です。ビデオの謎解きが話の軸ですが、よく練られていて楽しめます。一週間というタイムリミットもあるのでスピード感も十分。書き出しや、主人公がビデオを見てしまった後の描写は怖い…そしてラストの衝撃。映画で有名な本作ですが、ぜひこの原作を読んでもらいたいと思いました。

とし長さんのレビュー

10.『幽霊塔』 江戸川乱歩の不朽の名作!幽霊塔で繰り広げられるスリルとサスペンス

幽霊塔
江戸川乱歩さん『幽霊塔
ブクログでレビューを見る

あらすじ

時は大正のはじめ、舞台は長崎の片田舎。とある古い西洋屋敷に、幽霊が出ると噂の時計塔がそびえていた。「幽霊塔」と呼ばれるそこには惨殺された老婆の霊が徘徊するのだという。26歳の青年・北川光雄は、幽霊塔で絶世の美女・野末秋子に出会い魅了されていく。秋子は幽霊塔で何をしていたのか。蜘蛛を飼う男、怪しげな医学博士、猿を連れた女——怪しい人物たちが暗躍し、謎が謎を呼ぶ、複雑怪奇な物語。

オススメのポイント!

言わずと知れた江戸川乱歩の名作ですが、読めば改めてその面白さに唸らされます。怪奇ロマンでもあり、ホラー小説でもあり、ミステリーでもある傑作です。スリルある展開でぐいぐいと読める上、次がどうなるか気になり過ぎてしまうので、ホラーが苦手な人にも読みやすい作品だといえます。幽霊塔の描写はいかにもおどろおどろしく、夏の夜の暑さをひんやりと払ってくれることでしょう。ぜひ主人公と一緒に、暗く冷たい幽霊塔を探索してみてください。

江戸川乱歩さんの作品一覧

面白かった!読んでる間は、モヤモヤしながら先へ先へと逸る気持ちで読んでいたけど、読後はスッキリ。
時代や、幽霊塔というおどろおどろしい建物が舞台だし、作り出された設定やら背景やら、何か起こる感満載。
登場人物も怪しい人だらけ。
表紙や口絵が宮崎駿さんで手に取りやすかったし、江戸川乱歩はやっぱり面白い。

オパールさんのレビュー

ここでご紹介した作品を読むと、背後が気になったり、誰もいない部屋を見るのが怖くなったりするかもしれません。読後はきっと、「涼」を通り越し背筋に寒気を感じると思います。どの作品も、ぜひ心して手に取ってみてくださいね。