世界観に浸れる!おすすめファンタジー小説10選〜前編〜

こんにちは、ブクログ通信です。

子どもから大人まで、ファンタジー小説は幻想や夢を与えてくれます。人との関係に悩んでいるときや、仕事や勉強がうまくいかないときなど、苦しいときであっても、ファンタジー小説は読者をその世界にどっぷりと引きこみ、勇気や活力をチャージさせてくれます。

そんな、世界観に浸れるファンタジー小説から10作品、前編5作品・後編5作品と分けてブクログのみなさんにご紹介いたします。多数の作品の中から、ブクログのみなさんから高い評価を受けている作品、読みやすい作品、元気や勇気をもらえる作品を中心に集めました。自宅でも、電車やバスでも、作品の中の世界と行き来する贅沢な時間をお楽しみください。

1.森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』腐れ大学生と黒髪の乙女が京都の町を練り歩く!

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)
森見登美彦さん『夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)
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あらすじ

京都のとある大学に通う「先輩」は、同じクラブの後輩である「黒髪の乙女」に1年前から恋をしていた。先輩は乙女の姿を追い求め、春には夜の木屋町、夏には下鴨納涼古本祭り、秋には学園祭と奔走する。しかし、乙女はいつも「奇遇ですねえ!」とどこまでも天然。出会いとすれ違いを繰り返しながらも、二人はさまざまな珍事件に巻きこまれていく。大正ロマンを感じさせ、幽玄なのにクスッとくる、京都青春ファンタジー。

オススメのポイント!

京都のどこかに先輩や黒髪の乙女をはじめ、不思議な登場人物たちがいるのではないかと、現実と幻想を重ねあわせて読めるのが大きな魅力の作品です。先斗町で秘めやかに親しまれるというカクテル「偽電気ブラン」は、お酒好きなら飲んでみたくなること間違いなしでしょう。2017年に公開されたアニメーション映画では、先輩役を星野源さんが、黒髪の乙女役を声優・花澤香菜さんが務めました。

森見登美彦さんの作品一覧

夢と現実の境界が曖昧で、「平成狸合戦」や「千と千尋の神隠し」のような独特の世界観を感じた。
その曖昧さありき、へんてこな世界と愉快な登場人物がマッチしている。
古風な表現、今風の大雑把なセリフが入り交じまじった文章も「よきかな」と使いたくなるほど、違和感を感じさせず、読みやすかった。
私はもう乙女ではないが、きっと愉快なことは私のまわりでも起きているのではないか。とついつい思ってしまうほど。自分の未来も、勝手にワクワクさせてくれた。

コロさんのレビュー

2.J.K.ローリング『ハリー・ポッターと賢者の石』世界中を魔法で魅了しつづける、ベストセラーシリーズ第1作

ハリー・ポッターと賢者の石 (1)
J.K.ローリングさん『ハリー・ポッターと賢者の石 (1)
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あらすじ

両親を幼い頃に亡くし、意地悪な親戚一家の元で育った少年ハリーは、11歳の誕生日に自分が魔法使いだと知る。キングズ・クロス駅の9と3/4番線から汽車に乗り、ハリーはホグワーツ魔法学校に入学した。魔法界の不思議に興味津々のハリーだが、親友のロン、ハーマイオニーとともに、賢者の石にまつわる秘密を探るうち、自分の両親を恐ろしい魔法で殺した「名前を言ってはいけないあの人」との対決へと導かれていく―。

オススメのポイント!

ページ数も多く、長編のシリーズですが、子どもから大人まで全年齢をワクワクさせる、王道ファンタジーです。魔法学校で必要な物品を揃える買い物シーンや、魔法学校での授業風景、箒に乗って行うスポーツ・クィディッチなど、どれも非日常に満ちています。魔法界を創造しきった著者の、強力かつ壮大な空想力に圧倒されるでしょう。ハリー・ポッターシリーズの世界観を見事に表現した映画もオススメです。

J.K.ローリングさんの作品一覧

小学生の頃に何十回も読み返していた思い入れのある本。
すべてのシリーズが完結してから読み直すと、一巻から最終巻までの細やかな繋がりが見えてきて、宝探しをしているような新鮮な気持ちで読み進めることができました。
いつ読んでも夢の世界につれていってくれる素敵な作品ですね。

kotohaさんのレビュー

3.上橋菜穂子『精霊の守り人』女用心棒が依頼されたのは、精霊の卵を宿す皇子を守り抜くことだった

精霊の守り人 (新潮文庫)
上橋菜穂子さん『精霊の守り人 (新潮文庫)
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あらすじ

短槍使いの女用心棒・バルサは偶然、新ヨゴ皇国の第二皇子・チャグムが川に流されているところを救った。しかしチャグムは、ナユグと呼ばれる異世界の、水の精霊の卵を体に宿しており、そのために命を狙われていたのだった。腕を見こまれたバルサは刺客たちの手から皇子を守ることに。仲間の手を借りながら逃げ進むバルサたちだが、チャグムの体に宿る卵は次第に孵化へと向かっていき、卵を狙う異界の魔物までが現れ―。

オススメのポイント!

児童文学として刊行されましたが、大人が読めば、大人であるがゆえに楽しめる作品を作りたいという思いで書かれた作品です。文化人類学者という著者ならではの綿密に作りこまれた世界観にどっぷりとはまります。人物の心情も丁寧に描かれており、これから登場人物たちがどのような人生を送っていくのか、「守り人シリーズ」を制覇したくなる一作目になっています。また、アニメ化ドラマ化も果たしています。

上橋菜穂子さんの作品一覧

おもしろい。
話の流れがどうのというよりは、人類の歴史と、人々が考えてきたことと、それがどういう風に伝えられて現在があるかということがすごくリアルで。
長い時間を経て、すっかり形骸化してしまった文化や風習。忘れられたものがあれば、新しく始まるものもあるし、意味も分からずとも続けられるものもある。変化していくことそのものにこそ、時代を読むための重要な意味があったりもする。
これは、人類が創ってきた文化の物語。

hitomyさんのレビュー

4.小野不由美『月の影 影の海 十二国記』累計1200万部突破の〈十二国記〉シリーズ!


月の影 影の海〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)
小野不由美さん『月の影 影の海〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)
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あらすじ

陽子はその日が来るまで、普通の女子高生だった。しかしその日、異様な服装をした金髪の男・ケイキが現れる。「お捜し申し上げました」と言ったケイキは、人目をはばからず陽子に跪いた。突然のできごとに戸惑う陽子だが、詳しい説明も聞かされないうちに異形の獣に襲撃される。「あなたのものです」と剣を渡され、無理やり獣を追い払ううち、ケイキとはぐれてしまい……。力強い筆致が鮮やかな大人気長編シリーズ・本編第1作。

オススメのポイント!

異世界もののファンタジーですが、描写にリアリティーがあり、まるでその世界が本当にあるように感じます。そこで受ける数々の冷遇は読んでいて非常に胸の痛くなるものですが、それでも強く生き抜いていく陽子の姿勢に、勇気や希望を分けてもらえます。1991年から始まったシリーズは、2020年になった現在も完結しておらず、骨太な大長編を楽しむことができます。また、2002~2003年にはテレビアニメ化されました。

小野不由美さんの作品一覧

私の人生を形作ったもののひとつ。
初めて読んだ思春期の頃から、大人になった今でも、転んだり立ち止まるたびにここに戻ってきた。
ひとのあり方、生き方が詰まった一冊。特に十代の人に読んでもらいたいシリーズです。

skrさんのレビュー

5.伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』第5回新潮ミステリー倶楽部賞受賞のデビュー作

オーデュボンの祈り (新潮文庫)
伊坂幸太郎さん『オーデュボンの祈り (新潮文庫)
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あらすじ

目を覚ますとそこは、江戸以来、外界から遮断されている、荻島という島だった。コンビニ強盗に失敗し、パトカーから逃走した伊藤は、轟という男との出会いがきっかけでこの島へ来ることに。島には「嘘しか言わない画家」や、「殺人を許された男」など、奇妙な人物ばかりがいる。翌日、「未来が見えるカカシ」がバラバラにされて殺され、頭を持ち去られる事件が起きた。伊藤はカカシの死の真相と、島に古くからある言い伝えに迫る!

オススメのポイント!

伏線の多い意欲的な作品で、ミステリー作家の書くファンタジーだからこその面白さがあります。外界から遮断された島というミステリーらしい舞台設定と、不思議な登場人物たちが、一風変わった世界観を作り出しています。軽妙なテンポに小粋な会話と、のちの伊坂作品につながる片鱗を思わせます。鮮やかに回収される伏線が心地よく、主人公とともに謎解きに励むうち、読者も荻島を訪れているように感じるでしょう。

伊坂幸太郎さんの作品一覧

デビュー作とは思えないほど完成された物語だと思いました。これは読んで欲しいです。日常から離れ、あたかも自分があの島にいるような不思議な気持ちになります。本を閉じた時、そうかここはいつもの日常か…と間の抜けた気分を味わいました

ranさんのレビュー

ファンタジー小説には古典から日本独自のもの、ミステリーとさまざまなものがあります。好きな時代背景やジャンルから選んでみてはいかがでしょうか。前編5作品を出発点に、壮大な世界観に浸ってみてくださいね。後編5作品もお楽しみに!