宮部みゆきさんの代表作・おすすめ本7選!文庫化された名作を読む!

宮部みゆきさんおすすめ・代表作の文庫7選

こんにちは、ブクログ通信です。

2017年にデビュー30周年を迎えた宮部みゆきさんですが、2018年も多くの作品を刊行しています。4月27日に三島屋変調百物語シリーズ最新作の『あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続』が発売されました。そして他にも、『昭和史の10大事件』も文庫化されています。

多くの作品を記した宮部さんですが、まだ読んだことがないかたもいらっしゃるのではないでしょうか。そんな方々にむけて、ブクログから代表作・オススメ作を7作紹介いたします。ブクログユーザーから高い評価を受けている作品、読みやすい作品、知名度のある作品、手に入れやすい文庫版を中心に集めました。ぜひ参考にしてくださいね。

経歴:宮部 みゆき(みやべ みゆき)

1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。
1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。
大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。
『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。

宮部みゆきさんの作品一覧

1.『我らが隣人の犯罪』 軽妙な語り口が魅力の、バラエティ豊かな短編集

宮部さんはさほど敷居が高い作家ではないのでどの作品から読み進めてもよいのですが、もしまだ一冊も宮部さんを読んだことがない方であれば、読みやすい短編集で、なおかつ軽妙さが際立つ『我らが隣人の犯罪』をオススメします。明るい作品を読みたい方、読書時間がさほどないかたには特にオススメです。表題にもなった収録作「我らが隣人の犯罪」は、宮部さんの記念すべきデビュー作で(単行本デビュー作は『パーフェクト・ブルー』)、第26回オール讀物推理小説新人賞受賞作となりました。

宮部みゆきさん『我らが隣人の犯罪 (文春文庫)
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あらすじ

あこがれの街の中古アパートに引っ越したものの、隣人が室内で飼っている犬のけたたましい鳴き声に悩まされる日々。誠と智子は毅彦おじさんと組んで犬を誘拐する計画を立てる―(「我らが隣人の犯罪」)。

オススメのポイント!

バラエティ豊かな短編5篇が収録されており、どの作品も読後心暖まるもの。宮部さんのブクログユーザーのみなさんは、「サボテンの花」の素晴らしさを挙げているかたも多いですね。さまざまな人間性を描く宮部さんの長編もその深みにおいて非常に魅力的ですが、華麗な文章と驚くべき技巧を十二分に味わえる短編も素晴らしいものです。

2.『龍は眠る』 宮部さん初期作品にして出世作、誘拐&超能力ミステリ

1991年刊行のミステリ作で、宮部さんデビュー後まもなく刊行された作品のひとつです。日本推理作家協会賞を受賞、そして初めての直木賞候補となった作品で、宮部さんの出世作となりました。惜しくも直木賞は逃したものの、選評で文章の密度、話の運び、優れた構想やプロットなどが高く評価されています。

宮部みゆきさん『龍は眠る (新潮文庫)
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あらすじ

嵐の夜に車を走らせていた雑誌記者の高坂昭吾は、自転車がパンクし、立ち往生していた少年と出会う。稲村慎司というその少年は、自分が超常能力者であると語る。他人の頭の中を読み取る能力―二人は子供がマンホールに落ちたと思われる事故に遭遇したが、慎司は事故の真相を語り始めた。そして高坂は犯人の車を探し始める……

オススメのポイント!

超能力という現象が扱われていながらも、そこで描かれる登場人物達のリアルな心理描写、そして二転三転する展開に、思わず引き込まれてしまう作品です。宮部さんのスピード感あふれるストーリーテリングの凄まじさが凝縮された作品になっています。

3.『ぼんくら』 優れた時代小説にしてミステリ作!連作短編集

2000年に発行されました。宮部みゆきさんは幅広いジャンルで執筆を続けており、時代小説についても多くの作品を刊行しています。その中で近づきやすいのは、連作短編となっている『ぼんくら』。一作一作独立して楽しめる作品ですが、読み進めていくと全てが繋がっていることが分かり、全体の謎が浮かび上がってくるのです。

宮部みゆきさん『ぼんくら(上) (講談社文庫)
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あらすじ

江戸は深川。南町奉行所の同心、井筒平四郎は生来面倒くさがりで、周囲から「ぼんくら」扱いされていた。しかし彼は鉄瓶長屋で次々に起きた怪事件に不審の念を抱く。長屋の住人が次々と消えていく状況に、平四朗はひっそりと調査を始めていた―。

オススメのポイント!

ミステリでもあり、人情味あふれる時代小説でもあり、色々な要素を楽しめる作品となっています。宮部さんに近づくための一冊としてもオススメですが、時代小説としても敷居が低くなっているので、時代小説を食わず嫌いで読んでいないかたにも非常におすすめな一冊です。

4.『火車』 昭和の消費者金融問題を鋭く描いた長編の秀作

1992年発刊、雑誌『小説推理』同年3月号から6月号にかけて連載されていた作品。第6回山本周五郎賞受賞、週刊文春ミステリーベスト10第1位となり、第108回直木賞の候補作にもノミネートされました。さらに後年、「このミステリーがすごい!」が2008年に発表した、「ベスト・オブ・ベスト」国内第1位も獲得。長く読み継がれてきた名作のひとつです。

宮部みゆきさん『火車 (新潮文庫)
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あらすじ

負傷によって休職していた刑事、本間俊介。彼のもとに、失踪した婚約者を探して欲しい、という依頼が舞い込んでくる。彼女はクレジットカード作成時に自己破産経験者だということが分かり、その翌日に姿を消していた。俊介は自分の身分を偽りながら独自調査を進めるが、彼はカード破産に陥った女性、無理なマイホーム購入による一家離散といった、多くの破産者たちの人生を垣間見ることになる―。

オススメのポイント!

PCもスマホもない1980年代後半、昭和時代の消費者金融をテーマにした社会派ミステリー。破産者を作り出す現代社会のありように、背筋が寒くなること間違いなし。若い読み手にとっては時代背景がなかなか想像しにくいかもしれませんが、いまなお世代を超えて多くの読者から支持を受ける作品なのです。

5.『理由』 直木賞受賞作!重厚な社会派小説

1998年に刊行された作品で、第120回直木三十五賞受賞、第17回日本冒険小説協会大賞国内部門大賞、「週刊文春ミステリーベスト10」1位など、高い評価を受けてきました。

宮部みゆきさん『理由 (新潮文庫)
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あらすじ

バブル崩壊後の1996年。東京都荒川区の下町のマンションで転落死が起きた。間もなく、2025号室で老女と中年男女の遺体が見つかる。この4人は2025号室の住人かと思われたが、管理人室の台帳と氏名が一致していなかった―。その後の様々な捜査で見えてきたのは、バブル崩壊によって不動産価値が下落したマンションをめぐる、様々な家族の思惑と欲望なのだった。

オススメのポイント!

『火車』と並ぶ重厚な社会派小説で、不動産をめぐる現代社会のありようと、右往左往する家族の姿が描かれています。人々の証言がルポルタージュ形式で積み重ねられていき、事件の真相に近づく構成になっています。宮部作品の長編を味わうのに適した作品のひとつです。

6.『模倣犯』 小説の醍醐味を味わえるサスペンス作

2001年に刊行された作品で、第55回毎日出版文化賞特別賞、第5回司馬遼太郎賞、第52回芸術選奨文部科学大臣賞、「このミステリーがすごい!」1位、「週刊文春ミステリーベスト10」1位など、数々の受賞歴を誇る名作です。加害者。被害者、警察、関係者ら、あらゆる立場の視線から進行する長編小説となります。文庫本で5巻にわたる長さとなりますが、小説を普段から読みなれている方には、ぜひオススメしたい作品です。

宮部みゆきさん『模倣犯1 (新潮文庫)
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あらすじ

東京都墨田区の大川公園で、女性の右腕とハンドバッグが発見される。バッグの持主は、行方不明になっている古川鞠子のものと判明する。しかし、「右腕は古川鞠子のものではない」という電話が犯人からテレビ局にかかり、鞠子の祖父有馬義男にまで犯人からの電話がかかってくる。翻弄される関係者たち。そして、或る会社に鞠子の白骨死体が送り届けられてきた―。

オススメのポイント!

残酷な犯人の振る舞いや被害者の思いに嫌気がさしてしまいさえする、非常にリアルな状況説明・心理描写が続きます。宮部みゆきさんの最高傑作に挙げる人も多い、超重量級の作品です。内容の陰惨さや作品の長さから、手に取るのを控えてしまうかたも多いかと思います。けれども目を通してしまえば一気読みしてしまうかたも多く、やはり宮部さんの代表作のみならず、オススメ作のひとつです。単行本、文庫本累計発行部数は400万部超はそれだけ支持を受けた作品ということの証拠ですね。

7.『ソロモンの偽証』 宮部さんの新たな長編代表作!

2002年から2011年にわたって『小説新潮』で連載され、2012年に刊行された大長編作です(構想に15年をかけたことも知られています)。のちに文庫化されましたが、文庫本でなんと全5巻!小説を読みなれてないかたが最初にチャレンジするのは厳しいですが、読書好きには絶対おすすめしたい、宮部さん近年の代表作となります。「週刊文春ミステリーベスト10」、「このミステリーがすごい!」でそれぞれ2位に選ばれました。

宮部みゆきさん『ソロモンの偽証: 第I部 事件 上巻 (新潮文庫)
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あらすじ

1990年12月、城東第三中学校の生徒、柏木卓也が学校の屋上から転落して死亡。警察は自殺と断定し、事件はそこで一度解決したものと思われた。だが同じ城東三中の生徒大出俊次が柏木を殺した、という告発状が出回る。告発状は世間に出回り好奇の目にさらされることになるが、その関係者の間で更に多くの怪事件が起きることになる。そして城東三中の生徒、藤野涼子はこの事件の学校内裁判を「卒業制作」にすることを考え始めた─。

オススメのポイント!

長大な現代ミステリーですが、宮部さんの巧みな文章によって思わず作品世界に引きずり込まれてしまいます。宮部さんの文章の密度、リアルな描写力、緻密なプロット、すべてが楽しめる贅沢な作品です。2015年には、前・後編の2部作仕立てで映画化されました。日本国内の映画賞でも高い評価を受けています。映画としてもボリュームがありますが、これを手引きに宮部さんの世界に入るのもいいかもしれませんね。


ここで挙げた7作以外の作品でも、宮部作品入門にふさわしいものはまだまだあります。宮部さんはその内容、ジャンルともにバラエティ豊かな作品を次々と刊行していますので、好みに合わせて読む本を選んでいくとよいのではないでしょうか。

宮部さんの作品を楽しむための参考になれば幸いです!最初の一冊目が良い出会いでありますように。