宮部みゆきさんおすすめ5選!〜メディア化でも高評価の人気作〜

こんにちは、ブクログ通信です。

宮部みゆきさんはOL、法律事務所勤務などを経て、1987年に『我らが隣人の犯罪』でデビューしました。1993年に多重債務問題をテーマにした『火車』で山本周五郎賞を受賞し、社会的にも大きな注目を集めます。その後は、『理由』で直木三十五賞、『名もなき毒』で吉川英治文学賞など著名な文学賞を数多く受賞し名実ともに大作家の一人となりました。作品は映像化が相次ぎ、韓国で映画化された『ソロモンの偽証』のように海外でメディア化されている作品も多くあります。
ブクログから宮部さんのオススメ作を5作紹介いたします。多数の名著の中から、メディア化作品を中心に集めました。本で読んだ後はぜひメディア版の方もチェックしてみてくださいね。

『宮部みゆき(みやべ みゆき)さんの経歴を見る』

宮部みゆきさんの作品一覧

1.『クロスファイア』哀しいダークヒロインに魅せられる

1998年に光文社から初版発行、2002年および2011年に同社から文庫版が出版されました。2000年に矢田亜希子さん主演で映画化され、2008年から2009年にはデジタルコミック化もされています。宮部さんの作品の中でも根強い人気を誇る一作です。

宮部みゆきさん『クロスファイア(上) (光文社文庫)
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あらすじ

青木淳子は念じるだけで対象を燃やす念力放火能力(パイロキネシス)を持って生まれた——。ある夜、若者四人が瀕死の男性を殺そうとしている場面に居合わせた淳子は、瞬時に三人を焼殺するものの一人だけ取り逃がしてしまう。淳子は息絶えた男性に仇を取ることを誓い、「正義」のために立ち上がった。哀しき「スーパーヒロイン」の死闘が始まる。

オススメのポイント!

とにかく主人公が魅力的です。「正義」のために戦う人なのですが、一概に正義の味方とは言えない複雑さがあります。悩み葛藤するダークヒロインであり、正義とは何かという問いを突きつけてくる存在です。また、物語は先の読めないスリリングな展開なので一気読み必至。読後は深い余韻を残し、きっと忘れられない一冊になります。

久々に読んだ宮部みゆき。やっぱりこの人が一番好き。書く物語の幅が広いし、心情を丁寧に描くから本に入りこんでしまうし、読んでいると時を忘れる。クロスファイアも超能力がテーマの話ながら、その仕組みやSF的な説明は最小限に、人々の思いのクロスを丁寧に書く。良作。

 ―tamaeabeさんのレビュー

2.『ブレイブ・ストーリー』心に刺さるメディアミックス作品

2003年に角川書店から上下巻で刊行され、愛蔵版、角川文庫版も出版されました。2006年にアニメ映画化され、主人公の亘の声を松たか子さんが務めています。ほかに大泉洋さん、常盤貴子さんら豪華キャストが軒を連ね話題を集めました。映画版は第30回日本アカデミー賞において優秀アニメーション作品賞を受賞。また、ゲーム化、コミック化も果たしています。

宮部みゆきさん『ブレイブ・ストーリー (上) (角川文庫)
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あらすじ

小学五年生の亘は、成績はそこそこで、テレビゲームが好きな男の子。大きな団地に住み、ともに新設校に通う親友のカッちゃんがいる。街では、建設途中のビルに幽霊が出るという噂が広がっていた。そんなある日、帰宅した亘に、父は「この家を出てゆく」という意外な言葉をぶつける。不意に持ち上がった両親の離婚話。これまでの平穏な毎日を取り戻すべく、亘はビルの扉から、広大な異世界ー幻界へと旅立った!

オススメのポイント!

ジャンルとしては冒険ファンタジーなのですが、ミステリーの名手が描くだけあり一筋縄ではいかない展開です。リアルで切ない現実世界と幻想的でユニークな異世界の対比が鮮やかに描かれ、主人公と共に惹き込まれてしまいます。一見子供向けのようでいて、大人の心にこそ刺さる作品だといえます。

宮部みゆきのファンタジーは世界観がしっかりと描きこまれているのが魅力。
トカゲのような姿の獣人、活気のある街の様子…下手に映像化されるよりも鮮やかです。読んでいるとぐいぐいと引き込まれる。かなりの量があるにも関わらず一気に読んでしまいました。

sinku.さんのレビュー

3.『ぼんくら』 大人気シリーズ一作目の時代劇ミステリー

1996年から2000年にかけて『小説現代』に連載された後、加筆・修正を加えて講談社より刊行されました。2005年に中村芝翫(前・三代目中村橋之助)さん主演でラジオドラマ化されています。2014年にはテレビドラマ化され主演は岸谷五朗さん、主要キャストに奥貫薫さんや風間俊介さんらが名を連ね人気を博しました。2015年にドラマの続編も放送されています。シリーズ作品は『日暮らし』『おまえさん』です。

宮部みゆきさん『ぼんくら(上) (講談社文庫)
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あらすじ

「殺し屋が来て、兄さんを殺してしまったんです。」江戸・深川の鉄瓶長屋で八百屋の太助が殺された。その後、評判の良かった差配人が姿を消し、三つの家族も次々と失踪してしまった。いったい、この長屋には何が起きているのか。ぼんくらな同心・平四郎が動き始めた——。著者渾身の長編時代ミステリー。

オススメのポイント!

宮部さんの確かな筆致で活き活きと描かれる江戸の町の様子が魅力の作品です。まるで江戸時代にタイプスリップしたかのような気分を味わえます。やりきれない事件が起こりますが、登場人物が魅力的かついい味を出しているのでミステリーが苦手な人にも読みやすい作品です。宮部さんの筆力を存分に堪能できる時代小説となっています。

短編集かと思いきや、徐々に町全体に漂う不吉な影が濃くなって、主人公の同心と一緒に謎説きに走り廻る感覚が子供の頃の探偵小説を読んでる気分だった。
魅力的なキャラばかりだし、シリーズで「日暮らし」「おまえさん」が出ているので楽しみによみたい!

まりこさんのレビュー

4.『楽園』正しくあることの残酷さを思い知るミステリー

2005年から2006年にかけて産経新聞に連載された作品です。2007年に文藝春秋社より上下巻の単行本として出版され、2010年に文春文庫から刊行されました。『模倣犯』の登場人物が主人公として登場します。2017年にWOWOWでテレビドラマ化され主演は仲間由紀恵さん、他キャストに黒木瞳さんや小林薫さんら豪華俳優陣が華を添え話題を集めました。

宮部みゆきさん『楽園 上 (文春文庫)
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あらすじ

未曾有の連続誘拐殺人事件(「模倣犯」事件)から9年。取材者として肉薄した前畑滋子は、未だ事件のダメージから立ち直れずにいた。そこに舞い込んだ、女性からの奇妙な依頼。12歳で亡くした息子等が”超能力”を有していたのか、真実を知りたい、というのだ。かくして滋子の眼前に、16年前の少女殺人事件の光景が立ち現れた。

オススメのポイント!

『模倣犯』のスピンオフ的作品で、併せて読む楽しみがある作品です。もちろん『模倣犯』を読んでいない人も楽しめます。心理描写の巧みさが際立つ作品で、読み進めるうちに登場人物と一緒に感情を揺さぶられてしまうはずです。濃厚な人間ドラマを味わいたい人におすすめな作品となっています。

いい意味で抑揚感がなく、淡々と物語が進んでいきます。
宮部みゆきの作品は淡々と進んでいく作品が多いと思っていますが、個人的には淡々度、No.1かもしれません。いつのまにか引き込まれてしまうのですが、面白い作品であることに間違いはございません。「模倣犯」の前畑滋子が事件の謎に挑むところも、この作品の見所です。

ノマさんのレビュー

5.『小暮写眞館』宮部みゆきさんの新境地を開くヒューマンドラマ

2010年に講談社創業100周年記念出版書き下ろし作品として発刊された作品です。宮部さんの作品の中では珍しいノンミステリー小説で、ごく普通の人々のごく普通の日常をみずみずしく描いています。2013年にNHK BSプレミアムにて神木隆之介さん主演でテレビドラマ化されました。

宮部みゆきさん『小暮写眞館 (書き下ろし100冊)
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あらすじ

高校一年生の花菱英一は、両親の結婚20周年を機に購入したマイホームに家族4人で引っ越してきた。そこは「小暮写眞館」という看板がかかったままの、築30年以上の古びた建物だった。新しい家での暮らしは順調に思えたが、英一たちの身の回りでは徐々に不思議な出来事が起こり始める。いくつもの出会いと別れ、友情と恋愛を経験しながら、英一は大人になっていく——。

オススメのポイント!

宮部さんの作品の中で、良い意味で異質な作品です。殺人事件や犯罪などは起こらず、平凡な家族の毎日の暮らしぶりを淡々と描いています。とはいえ、読み進むうちにさまざまな伏線が回収されて結末を迎える巧みさは、さすが宮部さんと納得するはずです。家族や友人の温かさ、青春のきらめきをゆったりとした気分で味わえる珠玉の小説だといえます。

4話構成、1話進むごとに物語の奥行きが深まっていく。家族、友達、ちょっと気になる人…。人と人との温かい繋がり、かと思えば骨肉の争い。その中で、花ちゃんは少しずつ大人になっていく。このあたり、先日読んだ「魔術はささやく」にもちょっと通ずるような感じもするなぁ。
最後は、少し切なく、でも心がじんわりとしました。おススメです。

やすらぐおじさん。のレビュー

宮部さんの作品は、古い作品から新しい作品までメディア化されたものが多くあります。繰り返しメディア化される人気作も多数あり、リメイクされる度に新たな魅力を発見できることもあるのです。今回ご紹介した5作は、メディア化作品も高く評価されています。ぜひ原作もメディア作品もそれぞれの良さを味わってみてくださいね。