映画化、そして本屋大賞ノミネートの常連!伊坂幸太郎さんオススメ7選!

映画化、そして本屋大賞ノミネートの常連!伊坂幸太郎さんオススメ7選!

こんにちは、ブクログ通信です。

『ゴールデンスランバー』で2008年本屋大賞、第21回山本周五郎賞を受賞して以来、押しも押されぬ大作家の一人として活躍を続けている伊坂幸太郎さん。『フーガはユーガ』で2019年本屋大賞にノミネートされており、今年の9月には映画「アイネクライネナハトムジーク」の公開も控えています。

ブクログから伊坂さんの代表作・オススメ作を7作紹介いたします。多数の作品の中から、ブクログユーザーから高い評価を受けている作品、読みやすい作品、知名度のある作品を中心に集めました。ぜひ参考にしてくださいね。

経歴:伊坂幸太郎(いさか こうたろう)

1971年、千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞に応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。
2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。
上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。

伊坂幸太郎さんの作品一覧

1.『ゴールデンスランバー』 スリル炸裂のエンタテインメント長編

2007年刊行の作品で、2010年に文庫化されています。第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞、「このミステリーがすごい!」2009年版1位をそれぞれ受賞。2010年には堺雅人さん主演で映画公開されました。伊坂さんの代表作の一つと言えるでしょう。

伊坂幸太郎さん『ゴールデンスランバー (新潮文庫)
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あらすじ

仙台市で、金田首相の凱旋パレードが行われていた。そのさなか、飛んできたドローンの爆発によって首相が暗殺される。暗殺犯の嫌疑をかけられた青柳は、親友・森田の計らいで逃亡に成功したが、その直後に森田は自動車ごと何者かに爆殺されてしまう。青柳は逃亡の身となりながら、巨大な陰謀に迫っていく―。

オススメのポイント!

スピード感あふれる展開で、文字通り「読み始めたら止まらない」作品です。緊迫感に満ちていながらも、登場人物それぞれ独特の会話劇に思わずニヤリとしてしまいます。伊坂作品のさまざまな要素が詰まった、エンタテインメント傑作です。ブクログユーザーの評価も高く、感想が多数寄せられています。

「早く、1行でも早く続きを読みたい」という想いに駆られながら一冊を読みきったのは久しぶりの体験だったかもしれない。
首相が衆人環視のなか暗殺され、その犯人に仕立て上げられた主人公・青柳雅春。わけのわからない状況下、あらゆる知恵や勇気を振り絞り、とにかく逃げる、逃げる、逃げる……。
それまでの人生で出会った人たちに様々な形で逃亡の手助けをしてもらい、最後の最後に痛快な結末を迎えられたのも、その人たちに「真犯人ではない」と心から信じてもらえる何かを、青柳が見せてきたからにほかならない。
いや、ディテールを語ることや陳腐な常套句を使った褒め言葉はこの作品には不要だ。「とにかく、ひたすら、めちゃくちゃおもしろい」ということでいいのではないかな?

hiroki2833さんのレビュー

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2.『死神の精度』第57回日本推理作家協会賞を受賞した名短編集

『オール讀物』と『別册文藝春秋』の掲載短編を収録して2005年に刊行、2008年に文庫化となった短編集です。2004年に収録短編「死神の精度」で第57回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞、2006年には第134回直木三十五賞候補、そして第3回本屋大賞にもノミネートされました。2008年、『Sweet Rain 死神の精度』として映画化されました。

伊坂幸太郎さん『死神の精度 (文春文庫)
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あらすじ

対象者を7日間調査したうえで死すべき者かを見定める、クールで風変わりな死神の見た6つの人間模様。1985年の東京に現れた死神・千葉は、藤木一恵に近づき観察を始めるが、判定を下す7日目、彼女に訪れた運命とは……。そして千葉はどのような判定を下すのか?

オススメのポイント!

人間とは異なる存在・死神によってストーリーで浮き彫りになるテーマは、人間の生死そのものです。重いテーマを扱っていながらも、魅力的な登場人物らによるウィットに富んだ会話、そしてユニークな死神の姿によって、読み手に重さを感じさせないところが伊坂さんの小説の魅力です。非常に多くのかたから支持を受けているこの短編集、忙しい人にもおススメですよ。

やっぱり死神の造形が素晴らしいですね。人間の死そのものには興味がないくせに、ミュージックが大好きでCDショップに入り浸るという設定の妙も面白いですし、人間とのちょっとズレた受け答えを含め、振る舞いの一つ一つにクールさとおかしみがあって、千葉がとても愛しく魅力的なキャラクターに映りました。
物語についても、本作に収録された6短編すべてが練りに練られた印象で、最後の「死神対老女」でこれまでのあんなことやこんなことが綺麗に繋がっていくという構成を含めて見事だと思いました。また「死」を扱っているにもかかわらず、読後感が清々しいところも美点として挙げられるのではないでしょうか。
数ある伊坂作品の中でも、本作は三本の指に入る傑作だと思います。

sakaiXさんのレビュー

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3.『アイネクライネナハトムジーク』 普通の人々を題材にした短編集&群像劇

2014年刊行、 2017年に文庫化されています。アーティストの斉藤和義さんが伊坂さんに作詞を依頼し、「作詞はできませんが、小説を書くことならば」と短編小説を執筆したことが本作のきっかけになっています。2019年9月に映画化されることが決まっており、斉藤和義さん「小さな夜」が主題歌となっています。

伊坂幸太郎さん『アイネクライネナハトムジーク (幻冬舎文庫)
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あらすじ

奥さんに愛想を尽かされ逃げられたサラリーマン、他力本願で恋をしようとする青年、元いじめっこへの復讐を企てるOL……。情けないけど愛おしい凡人たちが、出会い、ほんの少し成長し、前に進んでいく、小さな奇跡の連作短編集。

オススメのポイント!

起承転結がはっきりした短編集ですが、注目したいのは恋愛(出会い)がテーマの一つになっていることです。これまでの伊坂さんの作品では恋愛的なことが描かれることはかなり少なかったのですが、本作は恋愛が積極的に描かれているのが特徴です。温かい気持ちになること請け合いの作品なので、誰でも読みやすい作品になっています。

全6編が収録された連作短編集。時に厳しく時に優しい人生が、広いようで狭い人間関係と現在・過去・未来を交えて描かれる。そんな物語の舞台となるのは、駐輪場やファミレス等、誰もが知っている馴染みのある場所。そして、それぞれに何らかの欠点や不得手があるけれど、それがあるからこそ、誰かと一緒に生きていくのだとしみじみと感じさせる。それにしても、個々の状況に合わせたフレーズを聴かせてくれる、“斉藤さん”がすこぶる素敵!殺し屋たちが登場する奇抜な作品も良いけれど、ちょっぴり緩くて温かい本作の方が好きかも。

chiyoさんのレビュー

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4.『アヒルと鴨のコインロッカー』 襲う対象は書店!?第25回吉川英治文学新人賞受賞作

2003年に刊行され、2006年に文庫化。2007年には映画化もされました。2003年に第25回吉川英治文学新人賞を受賞し、各方面できわめて高い評価を受けた作品です。

伊坂幸太郎さん『アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)
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あらすじ

椎名は引越し先の隣人・河崎から一緒に本屋を襲わないかと誘われる。断りきれなかった椎名は、本屋襲撃の手伝いをさせられてしまった。奪うのは、なんと……『広辞苑』!計画後、椎名は或る2年前の話を聞かされた。その話が、唐突な本屋襲撃と繋がっていく―!?

オススメのポイント!

唐突な展開から、次第に真相が明らかになる驚きの物語です。本屋襲撃、コインロッカー、動物園、広辞苑などさまざまに散りばめられたキーワードの意味が分かったとき、伊坂作品の魅力をありありと感じるはずです。けれど勢いだけではなく、深く考えさせられる箇所もたくさん。伊坂さんのストーリーテリングが存分に楽しめる一冊です。

切ないの一言。人を想う物語でした。人は生まれ変わるなら、この人生に大きく傾倒する必要はないのかもしれない。それでも、だからといって、軽く見ていいものではないのだろう。その考え方は心の支えにするだけなのだろう。人の宗教観や考え方はそんなもので、やっぱり、自分が感じる理不尽に憤ってしまう。そんな物語。かな。
久々に伊坂さんの作品を読んだけれど、おしゃれー。会話おしゃれー。行動おしゃれー。最高ですよ

itieさんのレビュー

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5.『フーガはユーガ』 双子を題材にした不思議な物語-本屋大賞ノミネート作

2018年に単行本で刊行されました。2019年本屋大賞にノミネート。更なる期待がかかる作品です。

伊坂幸太郎さん『フーガはユーガ
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あらすじ

常盤優我は、仙台市内のファミレスで高杉と名乗るTVディレクターに語り出す。双子の弟・風我のこと、決して幸せでなかった、虐待を受け続けていた子供時代のこと。そして、彼ら兄弟だけの特別な「アレ」のこと―。そんな不運な双子の目的は、「ヒーローになること」だった……。

オススメのポイント!

双子を題材にしたミステリ作品はこれまでたくさんありますが、超自然現象と双子のテーマを掛け合わせることで、切り口の全く違うエンタメ・ミステリ作ができあがりました。児童虐待という暗いテーマが描かれますが、伊坂さんの軽快な筆致によって、読み手が重くなりすぎないようストーリーが進みます。悪人と独自な仕方で戦う双子の物語に、思わず魅せられてしまうでしょう。

伊坂作品には読んでいるだけで、どうして良いのか分からなくなるような「悪」が度々登場する。この作品でも「体の内側にぞわぞわと虫が這うような気持ち悪さ」に私達は襲われることになる。それでも私達は読み進める手を止めることはないだろう。「面白い」という言葉では表せない。それでも目を背けずにいられるのは作者のさすがのバランス感覚と言うべきだろうか。虐げられる者と、彼らが抵抗しようのない悪がいる。悪を懲らしめるヒーローはいない。しかしこの物語に絶望は似合わないのだ。

drickjpさんのレビュー

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6.『陽気なギャングが地球を回す』 映像化もされた名作、シリーズ第一弾

2003年発行され、2006年に文庫化されました。 2006年5月に映画化され、好評を博しました。

伊坂幸太郎さん『陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)
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あらすじ

人の嘘を見抜く人間嘘発見機、湧き出る泉のように言葉があふれ出してしまう演説の達人、自然と動物を愛している天才スリ、そして誤差がコンマ1秒単位の正確な体内時計を持つ女。この4人は「人を傷付けない」ことをポリシーにした銀行強盗で、失敗もなかった……はずが、思わぬところで誤算が生じて逃走中の現金輸送車強盗犯に現金を横取りされてしまう……。

オススメのポイント!

この作品を機に伊坂さんの知名度は急上昇したという出世作で、読みやすく面白いエンタメ小説です。主人公グループ一人一人の設定の妙に驚かされます。彼らの流れるような会話も魅力的。『陽気なギャングの日常と襲撃』『陽気なギャングは三つ数えろ』といったシリーズ続編も続きました。長編シリーズ作でオススメです。

それぞれに眩しいほどの才能を持つ「普通の4人」が、銀行強盗をはたらく場面からお話は始まる。
全体を通したストーリーのテンポのよさ(これは伊坂作品全体の特徴)、会話の軽快さが際立つ。常に相手の裏をかいていく手際もお見事!
悪人こそ魅力的、である小説の面白さを再確認できた。

hiroki2833さんのレビュー

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7.『グラスホッパー』 3人の主人公/殺し屋の物語―第132回直木三十五賞候補作

2004年に刊行された作品で、2007年に文庫化されました。2008年に漫画化され、2015年に映画化。第132回直木三十五賞の候補作でした。

伊坂幸太郎さん『グラスホッパー (角川文庫)
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あらすじ

妻を轢き逃げした男へ復讐するため、男の父親が経営する会社に入社した鈴木。ところが、男は自分の目の前で車に轢かれてしまった。「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。鈴木は正体を探るため、彼の後を追ったが、待っていたのは妻と幼い息子のいる家庭だった。一方、標的を自殺に導くスキルに長けた殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始めた。鯨は過去の清算のため。蝉は手柄のため。三人それぞれの思いとともに、交わっていく。

オススメのポイント!

伊坂さん得意のストーリーテリングによる、殺し屋たちの物語。ありえない、と思ってしまうストーリーなのに摩訶不思議なリアリティを感じてしまうところに、伊坂さんの力量が感じられます。伏線が散りばめられた復讐劇でもあるので、ハードボイルドな作品が好きな方はこの本から手にとってみてはいかがでしょう。

初めて読んだ伊坂幸太郎作品。殺し屋の男たちと妻の復讐のために生きる男のお話。独特の名称で呼ばれる彼らに巻き込まれながら、ターゲットの背中を“押して”道路に飛び込ませて殺す「押し屋」の謎に迫っていく。まるで物語全体が大きな舞台装置で、目まぐるしく場面が展開されていて最後まで飽きない楽しさが詰まっている!ラストでは今までの伏線が全て繋がって真相が見えた瞬間には驚きと、爽快感がありました。

ハナさんのレビュー

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伊坂さんの作品はたくさんありますが、読んだことがない人はそれが明るい話かどうか、短編か長編か、という観点から選んでみてはいかがでしょうか。ぜひ上記7作を出発点に、伊坂さんの作品を読み進めてみてくださいね。