半沢直樹だけじゃない!池井戸潤さんオススメ5選!〜デビュー作から短編集まで〜

こんにちは、ブクログ通信です。

今や作品が社会現象を起こすほど人気作家の池井戸潤さん。1998年に『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビューしました。2010年には『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞受賞、2011年には『下町ロケット』で直木賞を受賞しており、名実ともに大作家の一人です。作品の多くが映像化され、特に半沢直樹シリーズは2013年にテレビドラマ版が大ヒットとなり、2020年には続編も放映されています。

そんな池井戸さんのオススメ作品を5作紹介いたします。「半沢直樹」のような銀行ミステリとは一味違った作品や、デビュー後間もない時期の作品など、池井戸さんの筆力を存分に堪能できる作品ばかりです。池井戸作品を読んだことがある人も未読の人も、ぜひチェックしてみてくださいね。

『池井戸潤(いけいど じゅん)さんの経歴を見る』

池井戸潤さんの作品一覧

1.『果つる底なき』 都市銀行の「闇」に切り込む、ハードボイルドなデビュー作

果つる底なき (講談社文庫)
池井戸潤さん『果つる底なき (講談社文庫)
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あらすじ

二都銀行渋谷支店融資課長代理の伊木は、左遷された身だ。ある日、同僚の坂本が死んだ。死因は、アシナガバチに刺されたことによるアナフィラキシーショック。坂本は死ぬ前に謎の言葉を残しており、さらに伊木の口座に顧客の金を送金していたことがわかる。伊木は坂本の無実を信じ、坂本が何をしようとしていたのかを調べることにした。坂本の死の真相に近づくにつれ、伊木の周りでは不審な出来事が起こり始めて——。

オススメのポイント!

池井戸さんのデビュー作で、ハードボイルド色強めの金融ミステリです。半沢直樹や『陸王』といった近年の作品とは作風が少し異なり、粗削りながらも疾走感と緊張感のあるヒリつく物語を楽しめます。20年以上前に発表された作品ですが、今読んでもその面白さは色褪せません。2000年にテレビドラマ化されており、主人公・伊木は渡辺謙さんが熱演しました。池井戸潤さんといえば半沢直樹、という方はぜひ本作も一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

大手都市銀行の渋谷支店融資課課長代理の伊木が主人公で、同僚の不可解な死から、銀行の不正と倒産した取引先に関わる不正の解明に挑んでいく。組織にとらわれずに信念に従って行動する様の痛快さと複雑に入り込んだミステリーを解き明かして行く展開にワクワクする。
1998年のデビュー作だが、その頃多発した銀行不祥事事件が背景となっていたのだろうと想像して、その後の小説でゼネコン談合や企業不正事件、そして更なる銀行不正事件を背景として発表された数々の小説の原点となっていると推察する作品だった。

takadonさんのレビュー

2.『陸王』テレビドラマ版も大ヒット!老舗足袋屋の社運を賭けた闘い

陸王
池井戸潤さん『陸王
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あらすじ

100年続く老舗の足袋屋「こはぜ屋」は、経営不振に陥っていた。社長の宮沢は、ある日新事業を思いつく。それは、足袋屋のノウハウを活かしてランニングシューズを作ることだった。社内プロジェクトを立ち上げ開発に着手する宮沢だったが、資金難に素材探し、大手シューズメーカーからの嫌がらせなど困難の連続で——。従業員20名の零細企業が、大手企業と真っ向勝負を繰り広げる。ものづくりに賭ける人々の情熱あふれる物語。

オススメのポイント!

歴史はあるけれどお金がない零細企業が、お金も力もある大企業に挑んでいく姿に勇気をもらえる作品です。「こはぜ屋」の社長・宮沢が努力して信頼や協力を獲得し、さまざまな困難を乗り越えて目標に近づいていく姿は「カッコいい」の一言に尽きます。この『陸王』は2017年に役所広司さん主演でテレビドラマ化されており、山崎賢人さんや竹内涼真さんも出演したことで大きな話題を集め、大ヒットしました。原作と併せて楽しむのもおすすめです。

途中で本を閉じることができなかった!
本当にその人のためを思って行動し続けることでどんどん状況が変わっていくということ、真剣に、どこまでも真剣に打ち込んでいくということの尊さが書いてあった。
諦めそうになっても、前を向いて走り続けたみんなが成功する姿は本当にカッコいい。

satokmomoさんのレビュー

3.『ノーサイド・ゲーム』 元エリート会社員とお荷物ラグビーチームの起死回生

ノーサイド・ゲーム
池井戸潤さん『ノーサイド・ゲーム
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あらすじ

大手自動車メーカーのエリート社員だった君嶋隼人は、とある案件をきっかけに横浜工場の総務部長に左遷された。さらに、社会人ラグビーチーム・アストロズのゼネラルマネージャーも兼務することになる。かつては強豪だったアストロズも、今や成績不振にあえぎ巨額の赤字を垂れ流すだけのお荷物チームだ。ラグビーについては全くの素人である君嶋は、アストロズの再建を命じられるが——。

オススメのポイント!

今や鳴かず飛ばずのかつての強豪チームをいかに建て直すか、ハラハラドキドキの展開に一気読み必至の傑作です。主人公の君嶋がラグビー素人なので、ラグビーを全く知らない読者の方も感情移入しながら読み進められます。君嶋の奮闘ぶりを楽しむだけでなく、ラグビーの奥深さ、面白さも学べる一冊です。2019年に大泉洋さん主演でテレビドラマ化され、米津玄師さんのドラマチックな主題歌「馬と鹿」も話題を集めました。

スポ根ものかとおもったが、さすがは企業小説のプロ、見事に経営とミックスしたストーリーになった。敵が味方に、味方が敵に。が物語に深みを持たせ感情移入させる。会社内外の物語をミックスするという新技法に脱帽。

consaさんのレビュー

4.『シャイロックの子供たち』 ごく普通の銀行員たちの欲望渦巻く群像劇


シャイロックの子供たち (文春文庫)
池井戸潤さん『シャイロックの子供たち (文春文庫)
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あらすじ

東京第一銀行長原支店で現金紛失事件が起こった。捜査の結果、女子行員のバッグの中から事件当日の日付の入った札束の帯封が見つかる。疑いのかかった女子行員は現金を盗ったことを否定した。支店長らは金を出し合って補填し、ミスを隠すそうとする。そうこうするうちに別の男性行員が失踪し——。銀行のとある支店を舞台に、そこで働く人々の野望や葛藤を鮮やかに描き出す銀行群像劇。

オススメのポイント!

銀行のとある支店で働く行員一人一人にスポットを当てた短編集仕立ての一冊です。各物語は独立しているように見えますが、徐々に大きな物語の流れが見えてくるという秀逸な構成に唸らされます。近年の池井戸さん作品のような勧善懲悪ものではないため、それを期待して読むと少し面食らってしまうかもしれません。しかし、人間くさい登場人物たちの欲望や葛藤が巧みに描き出され、池井戸さんの文章力を堪能できる一冊です。意外な結末が待ち受けているので、ぜひ手に取ってみてください。

ある街の銀行を舞台に描かれる人間模様。短編集で構成されているが、全ての物語は伏線を張るかように少しずつ繋がりを見せはじめる。そして驚愕な結末へとなだれ込んでいく。
そんな中で細やかに描かれる人々の葛藤や登場人物たちの微妙な心の動き。それらは共感も同情も含め、読み手の感情を深く揺さぶる。
緻密に計算され尽くされた池井戸作品。人間の心の機微を捉え表現する術はもはや圧巻的。

HIGASHIさんのレビュー

5.『アキラとあきら』 2人の男の熱い生き様に高揚させられる大長編傑作

アキラとあきら (徳間文庫)
池井戸潤さん『アキラとあきら (徳間文庫)
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あらすじ

零細町工場の息子として生まれた山崎瑛(あきら)。大手海運会社・東海郵船の御曹司として生まれた階堂彬(かいどうあきら)。同じ名前を持ちながら、生まれも育ちも違う2人。それぞれに宿命を抱え、運命に抗いながら生きてきた2人はやがて出会う——。あきらとアキラに降りかかる過酷な試練の数々。2人は逆境を乗り越え、自らの目標を果たすために人生を賭した戦いに身を投じていくのだった。

オススメのポイント!

2人の「あきら」が、どちらも文句なしにカッコよくて魅了される物語です。2017年に向井理さんと斎藤工さんによるダブル主演でテレビドラマ化され、話題となりました。小説は2人の視点が交互に入れ替わりながら物語が進んでいくので、どちらにも感情移入して物語を楽しめます。ときにライバルであり、ときに協力関係にあるという2人の関係性は男同士の固い絆が感じられ感動必至!先が気になり一気読みしてしまう可能性が高いので、夜更かしに注意してお読みください。

とても面白かった。
小学生から長いあいだ二人がさまざまな出来事での葛藤や成長を経て、宿命を感じながら、最後に二人で自分の信念を貫くところはみごとです!
池井戸潤の勧善懲悪の世界で決着するところもスッキリ!

bunkaさんのレビュー

池井戸潤さんの作品は、知名度の高いもの以外にもおすすめ作品が多くあります。今回ご紹介したのはスピーディな展開にぐいぐい惹き込まれる魅力的な作品ばかりです。ぜひ一度手に取ってみてくださいね。