葉室麟さんおすすめ5選!心にグッとくる、必読の歴史小説

こんにちは、ブクログ通信です。

葉室麟さんは歴史小説の名手です。武士や侍を主人公に据えることが多く、時代考証を丁寧に扱う時代小説家として定評があります。また、敗者や弱者の視点を重視した作風が持ち味で、複雑な人間関係や心理的機微を鮮やかに描き出すことでも有名です。作品の大半がジャンルは時代小説である一方、作中に込められたメッセージは現代社会でも通用するものが多くなっています。
ブクログから葉室さんの代表作・オススメ作を5作紹介いたします。今回は、ブクログのみなさんから人気を集めている作品、歴史小説が苦手な人にも読みやすい作品、知名度のある作品を中心に集めました。ぜひ参考にしてくださいね。

『葉室麟”(はむろ りん)さんの経歴を見る』

葉室麟さんの作品一覧

1.『蜩の記』清廉な武士の生きざまに心打たれる!葉室麟さん代表作

2011年に発行され2012年に第146回直木賞を受賞した、葉室さんの代表作です。2012年にラジオドラマ化、2014年には役所広司さん主演で映画化されました。岡田准一さん、堀北真希さんなど豪華な助演キャストも話題を集めた作品です。日本アカデミー賞では作品賞、監督賞、美術賞など多部門で高い評価を得ました。

葉室麟さん『蜩の記
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あらすじ

豊後・羽根藩の奥祐筆・檀野庄三郎は、城内で刃傷沙汰に及んだ末、からくも切腹を免れ、家老により向山村に幽閉中の元郡奉行・戸田秋谷の元へ遣わされる。秋谷は七年前、前藩主の側室と不義密通を犯した廉で、家譜編纂と十年後の切腹を命じられていた。庄三郎には編纂補助と監視、七年前の事件の真相探求の命が課される。だが、向山村に入った庄三郎は秋谷の清廉さに触れ、その無実を信じるようになり……。命を区切られた男の気高く凄絶な覚悟を穏やかな山間の風景の中に謳い上げる、感涙の時代小説。

オススメのポイント!

武士の物語ですが、現代を生きる私たちにも共感できるヒューマンドラマとなっています。読後に「どう生き、どう死ぬのか」と自分に問いかけたくなる一冊です。「命の刻限」がテーマとなっていて、緊張感のある展開にも惹き込まれます。長く豊かな時間を登場人物と一緒に過ごした気持ちになれる名作です。

登場人物の機微、あるいは、それと重なる自然の描写がきれいだった。
フィクションなのはもちろんだが、「物語の内容は、現代小説にあるような展開かもしれない。それが江戸時代にかわっただけ」。そういう表現もできるかもしれないが、やはり、人物の心情、生き様…それらを描くには、この内容がぴったりだと思った。

nari-akiさんのレビュー

2.『銀漢の賦』離れても、身分が異なっても、友情は続いていく

2007年に文芸春秋から刊行され、同年の第14回松本清張賞を受賞しました。2015年にNHK総合テレビにて『風の峠〜銀漢の賦〜(かぜのとうげ ぎんかんのふ)』というタイトルでドラマ化された作品です。主人公の日下部源五役を中村雅俊さんが務め、友人の松浦将監を柴田恭兵さんが演じました。

葉室麟さん『銀漢の賦
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あらすじ

寛政期、西国の小藩である月ヶ瀬藩の郡方・日下部源五と、名家老と謳われ、幕閣にまで名声が届いている松浦将監。幼なじみで、同じ剣術道場に通っていた二人は、ある出来事を境に、進む道が分かれ、絶縁状態となっていた。二人の路が再び交差する時、運命が激しく動き出す。第十四回松本清張賞受賞作。

オススメのポイント!

3人の男たちの友情に胸が熱くなる作品です。身分も境遇も異なる3人ですが、それぞれの信念や想いの深さが丁寧に描かれています。どの人物も魅力的で、読むうちにきっと好きになってしまうはずです。読後は爽やかな余韻に浸れます。

身分の違う3人の男の深い友情。それぞれのキャラクターも上手に描かれていて、じっくりと読み進められました。
この時代の人達の、言葉通り命を懸ける生き様や覚悟は、読んでいて身の引き締まる思い。
潔く凛とした姿に、日本人であることを誇らしげになれるほど。
読後感も爽やかで気持ちいいです。

rk25147さんのレビュー

3.『螢草』読後、心は快晴。ひたむきな主人公に勇気づけられる一作

2012年に双葉社より刊行されました。2013年に西田敏行さんと竹下景子さんをキャストに迎えてラジオドラマ化された作品です。2019年には『螢草 菜々の剣』というタイトルでテレビドラマ化もされています。ドラマ版は人気女優の清原果耶さんが時代劇初主演を務め、大きな話題を集めました。

葉室麟さん『螢草
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あらすじ

切腹した父の無念を晴らすという悲願を胸に、武家の出を隠し女中となった菜々。意外にも奉公先の風早家は温かい家で、当主の市之進や奥方の佐知から菜々は優しく教えられ導かれていく。だが、風早家に危機が迫る。前藩主に繋がる勘定方の不正を糺そうとする市之進に罠が仕掛けられたのだ。そして、その首謀者は、かつて母の口から聞いた父の仇、轟平九郎であった。亡き父のため、風早家のため、菜々は孤軍奮闘し、ついに一世一代の勝負に挑む。

オススメのポイント!

本作の一番の魅力は主人公の人柄にあります。物語のテーマは「敵討ち」と重いものですが、主人公の明るさとひたむきな姿が作品全体の空気を明るく澄んだものにしています。葉室さんの作品の中でも人気の高い作品で、テレビドラマ版も必見です!

時代物だが、主人公が可愛らしいからか、軽く読みやすい感じ。
こんな風に明るく懸命に生きる姿を読んでいると、気持ちが前向きになります。

pupunao99さんのレビュー

4.『川あかり』 こんな暗殺劇見たことない!読むと勇気をもらえる物語

2011年に双葉社より単行本が刊行され、2014年に文庫化されています。お家騒動に巻き込まれる若い武士の姿を、ユーモアたっぷりに描いた作品です。読後の満足度が高い作品として知られ、葉室さんの著作の中でも特に根強い人気を誇っています。

葉室麟さん『川あかり
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あらすじ

藩一番の臆病者と呼ばれている若侍の伊東七十郎に命じられたのは、派閥争いの渦中にある家老の暗殺だった。江戸からやって来る家老が国に入る前に、任務を遂行しなくてはいけない。しかし、川止めのため七十郎は足止めを食ってしまうのだった。川明けを待つ間逗留する宿で相部屋になったのは、一癖も二癖もある連中ばかり。さらには予定外の災難にも見舞われて、七十郎の心は乱れる一方だ。そんな中、いよいよその時がやってきて——。

オススメのポイント!

笑いあり、涙ありの傑作時代小説です。時代劇や時代小説が苦手という人も、きっと読む手が止まらなくなるはず。主人公らしからぬ頼りない風情の七十郎や、宿で出会うユニークな人々、暗殺に関わる人間たち、誰もがクセがあり魅力的です。葉室さんの筆力を存分に味わえる一冊だといえます。

何作か葉室さんの時代小説を読んでいて、どの作品もとても面白いけど、その中でも一番好きな作品になりました。そして思わず含み笑いをしてしまう結末は最高に清々しい余韻を残してくれる。時代小説が好きな方は、ぜひ読んで欲しい一冊。

空きみさんのレビュー

5.『散り椿』 人気シリーズ第1作!武士の散り際に魅せられる名作

2012年に角川書店から単行本が刊行された作品です。「扇野藩シリーズ」の1作目としても知られています。2018年に、岡田准一さん主演、木村大作さん監督作品として映画化されました。西島秀俊さんや黒木華さんら豪華キャストが脇を固め、幅広い層から人気を集めた作品です。第42回モントリオール世界映画祭では最高賞に次ぐ審査員特別グランプリを受賞し、日本でも大きな話題となりました。

葉室麟さん『散り椿
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あらすじ

最愛の人を失ったとき、人は何ができるのか——。かつて一刀流道場の四天王と謳われた勘定方の瓜生新兵衛は、上役の不正を訴え藩を追われた。18年後、妻・篠と死に別れて帰藩した新兵衛が目の当たりにしたのは、藩主代替わりに伴う側用人と家老の対立と藩内に隠された秘密だった。秘めた想いを胸に、誠実に生きようと葛藤する人々を描いた感動の時代長編!

オススメのポイント!

愛するとはどういうことか、生きるとはどういうことかを深く考えさせてくれる作品です。類まれな剣豪2人を主軸に、自分の意志とは関係ない大きな流れに飲み込まれてしまう人々の切ない人間模様が描かれます。この時代ならではの不自由さやもどかしさに胸が痛くなる一方で、この時代だからこその鮮烈な生き方に感情が揺さぶられる作品です。

妻を失った浪人の哀しみがしみじみ伝わってくる物語だ。
彼の心の隙間を埋めるかのように襲いかかるお家騒動。
それに巻き込まれながらも立ち向かう主人公とその朋友たちとの友情も熱い。
哀切なラストがいつまでも胸に残った。

けんさんのレビュー

葉室さんの作品にはまっすぐな信念を持った人物が登場することが多く、物語を通して強いメッセージを与えてくれます。葉室さんの作品をまだ読んだことがない人は、ぜひ一度手に取ってみてくださいね。