浅田次郎さんの作品オススメ5選!泣いて笑える名作揃い!

こんにちは、ブクログ通信です。

今や日本を代表する作家の一人である浅田次郎さん。1991年に『とられてたまるか!』でデビューして以来、吉川英治文学新人賞や直木賞、柴田錬三郎賞など著名な文学賞を多数受賞している大作家です。2015年には紫綬褒章を受章し、文学者としての多大な功績が認められています。
最近では2018年に人気作『輪違屋糸里』が映画化、時代小説『黒書院の六兵衛』がテレビドラマ化されました。そんな数々の名作を生み出している浅田次郎さんは、2019年に第67回菊池寛賞も受賞したベテラン人気作家です。

『浅田次郎(あさだ じろう)さんの経歴を見る』

浅田次郎さんの作品一覧

1.『壬生義士伝』「人斬り貫一」と恐れられた男の鮮烈な生涯を描く

『週刊文春』に掲載された後、文芸春秋社から上下巻で2000年に単行本化された作品です。2000年に第13回柴田錬三郎賞を受賞しました。2002年にテレビドラマ化、2003年に映画化されています。2004年の日本アカデミー賞において、最優秀作品賞ほか複数部門での受賞を果たしました。2019年には宝塚歌劇団にて舞台化もされています。

浅田次郎さん『壬生義士伝
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あらすじ

時は慶応四年一月。大坂の盛岡藩蔵屋敷に脱藩浪士の吉村貫一郎が紛れ込んだ。貧しさにあえぐ家族を救うため、吉村は新撰組隊士になっていたのだった。金のため、盛岡に残してきた妻子のために、人を斬り続けた吉村。しかし、鳥羽・伏見の戦いで新選組は敗走し、吉村も深手を負ってしまう。帰藩を請うために盛岡藩蔵屋敷へと向かった吉村だが、彼に命じられたのは切腹だった——。

オススメのポイント!

主人公の生き様に胸が熱くなる作品です。周囲の人々や家族からの証言によって主人公の人物像が浮かび上がっていく展開が鮮やかで、ぐいぐい惹き込まれてしまいます。また、新選組の名だたる剣士たちが登場するので、時代劇ファンや新選組好きの人にはたまらない作品です。上下巻ですが一気に読めてしまう上、泣ける作品でもあるので読む場所には注意が必要です。

細やかな描写が美しく、とても読みやすい物語でした。
他の新選組関連の作品はもちろん、それ以外のお話も読んでみたいと思える、素敵な作家さんに出会えたと思いました。

水城 零さんのレビュー

2.『蒼穹の昴』極貧の少年によって紡がれる、極上の歴史絵巻物語

1996年に講談社から刊行されました。清代の中国を舞台に繰り広げられる歴史小説で、直木賞候補作にもなっています。日中共同制作でテレビドラマ化され、DVDも両国で発売されました。浅田次郎さんの代表作として知られる大人気作品です。

浅田次郎さん『蒼穹の昴
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あらすじ

舞台は清朝末期の中国。貧しい家に生まれた少年・春児(チュンル)は占い師の予言に従い、科挙を受ける幼馴染の文秀(ウェンシウ)と共に都へ向かった。それぞれに志を宿し別々の道を歩き出した2人は、やがて敵味方に分かれる運命にあった——。滅びゆく清朝において、苛烈な運命に導かれ懸命に生きる人々の姿を描く長編傑作!

オススメのポイント!

中国を舞台にした歴史小説ということで漢字が多く、一見難しそうに思えるかもしれません。しかし、ひとたび読み始めれば物語世界に惹き込まれ、ページをめくる手が止まらなくなる面白さを持つ作品です。運命に翻弄される主人公と、それを取り巻く魅力的な登場人物たちの生き様に胸が熱くなること必至!歴史小説が苦手な人にもぜひおすすめの名作です。

時代は最盛期から陰りを見せ始めた清朝末期。はぁー・・・おもしろい。とうとう読み始めました。なんて壮大。読後放心。清朝の時代背景をよく知らないまま読み始めたのでウィキの「清朝」のページで補いながら読んだ。あれだけの苦しみがあるのを知りながらも決意する春児の心中を思って泣き、あて馬としての待遇しかされなかった文秀の進士登第・生母のいまわの言葉に泣き・・・。その一方で身分の違う二人が、それぞれに宿命の道を行く様子にもう心が逸る。いまも龍玉は存在するのか。不動の昴をつかむことはできるのか。また、清王朝の厳しい試験制度に驚き、その学問の種類・深さにも圧倒されました。こんな時代が、たしかにあったのですね。

llllls_nlllllさんのレビュー

3.『天切り松 闇がたり 1 闇の花道』粋でいなせな義賊の活躍に心奪われる傑作

1996年に刊行された作品です。「天切り松 闇がたり」シリーズは浅田次郎さんのライフワーク作品としても知られ、これまでに5作が発表されています。2004年にテレビドラマ化されたほか、舞台化・マンガ化もされた作品です。朗読劇を収めたCDや解説本なども発売されています。

浅田次郎さん『天切り松 闇がたり 1 闇の花道
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あらすじ

その老人は、夜更けの留置場にふらりと現れた——。六尺四方にしか聞こえないという夜盗が使う声音「闇がたり」で、昔語りを始めた不思議な老人。大正ロマンの花開く時代、義賊としてその名を馳せた「目細の安吉」一家が居た。天下のお宝だけを狙い、貧乏人には救いの手を伸ばす……粋でいなせな怪盗達の活躍を描く、大人気シリーズ第一作!

オススメのポイント!

とにもかくにも、「目細の安吉」一家がカッコいい!の一言に尽きます。盗みの腕はピカ一、義理人情に厚く決して弱いものを見捨てない怪盗たちの活躍ぶりに、胸がスカッとする気持ちいい作品です。個性豊かな怪盗達の過去や生き様についても丁寧に描かれており、きっとお気に入りの怪盗が見つかるはず。テレビドラマ版も大変カッコいいので、小説と併せてチェックしてみてください!

出てくる泥棒たちは、貧者には手を出さない義賊たち。どこか粋で人情があって、矜持を持っている。
盗みに当たっては殺しや脅迫も無く、鮮やかな技術のみを頼りに、周りの鼻を明かす。現実の世界ではそんなことは無いでしょうが、物語だもの、良いじゃないですか。
ピカレスクロマンの王道を行く作品です。

todo23さんのレビュー

4.『椿山課長の七日間』大切な人のために七日間で何をしますか?

『朝日新聞』に連載されたのち、2002年に単行本化されました。翌2003年には舞台化され、2006年には西田敏行さんと伊東美咲さん主演にて映画化されています。2009年にテレビドラマ化された際は、石原さとみさんと船越英一郎さんが主演を務めました。2016年には韓国でもテレビドラマ化を果たしています。

浅田次郎さん『椿山課長の七日間
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あらすじ

百貨店の課長を務めていた椿山和昭は、46歳で過労死してしまう。現世に強い未練を残していた椿山は、あの世の中陰役所に現世への「逆送」を願い出るのだった。正体を明かさないことを条件に、初七日が終わるまでの間だけ美女の姿で逆送されることになった椿山。しかし、現世に戻ってみると「まだ知らない重大な事実」が椿山を待っていたのだった——。

オススメのポイント!

限られた時間の中、残された家族のために奔走する椿山課長の姿が時に笑いを、時に涙を誘います。中年男性である椿山課長が美女の姿で現世に戻ってくるため、思ってもみないトラブルや誤解が発生してしまう面白さをぜひ味わってほしいと思います。いつ何が起こるかわからないからこそ毎日を大切に生きようと思わせてくれる、心温まる物語です。

「死」を扱っているのに、ユーモアに溢れ、コミカルに描かれている場面も多く、ぐいぐい引き込まれていく。見たくない秘密を知り、気付かなかった相手の思いを知り、怒り、困惑、感謝…いろんな感情が溢れ…涙なしでは読めません。生きている間に家族を愛し、大切にしなければ。と改めて思った。

aoi-soraさんのレビュー

5.『鉄道員(ぽっぽや)』8つの奇蹟に涙腺が刺激される作品集

『小説すばる』に掲載され、後に短編集として刊行された作品です。8篇の物語から成る短編集で、第117回直木賞を受賞しました。140万部を売り上げるベストセラーとなり、浅田次郎さんの代表作の一つです。1999年に高倉健さん主演で映画化されると、第23回日本アカデミー賞の最優秀作品賞、最優秀主演男優賞など主要部門をほぼ独占し大きな話題となりました。テレビドラマ化、マンガ化もされています。

浅田次郎さん『鉄道員(ぽっぽや)
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あらすじ

北海道・道央にあるローカル線の幌舞線は廃線が決まっている。終着駅である幌舞駅の駅長・佐藤乙松は、これまでの人生を鉄道員一筋で過ごしてきた。生まれたばかりの一人娘は病気で亡くなり、妻にも先立たれ、他の駅職員もおらず孤独に過ごしてきた乙松。ある日、ランドセルを背負った少女が現れ人形を忘れて帰ったことから、優しい奇蹟が始まるのだった。

オススメのポイント!

少し不思議で少し恐ろしくもあり、とても美しい物語が8篇収められている本書。浅田次郎さんが得意とする繊細な心理描写と温かみのある文章表現が心に染みわたる作品です。8篇それぞれに異なる雰囲気の物語となっており、この一冊でさまざまな世界観を楽しめます。

こんなに素敵な短編集、久しぶりに読んだ。
著者が短編を鍛えるためにガリガリ書いたというように、選び抜かれた文章には無駄がなく、すっと心に入ってくる感じ。

ともこ34さんのレビュー

浅田さんの作品は心に訴えかけるものが多く、読後は深い余韻に浸ることができます。今回ご紹介した5作品以外にも数多くの名作が生まれているので、ぜひ浅田さんの作品をチェックしてみてくださいね!