<締切りました>\プレゼント/『進化のからくり 現代のダーウィンたちの物語』を5名様へ

こんにちはブクログ編集部です。

ブルーバックス献本企画!千葉聡さん『進化のからくり 現代のダーウィンたちの物語』を5名様へプレゼントいたします!

応募の締め切りは、2020年2月25日(火)終日です。

たくさんのご応募お待ちしております!

ダーウィンに始まる進化研究の「バトン」は、いまも途切れることなく受け継がれている!


千葉聡さん『進化のからくり 現代のダーウィンたちの物語 (ブルーバックス)
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内容紹介

歌うカタツムリー進化とらせんの物語』で第71回毎日出版文化賞 自然科学部門受賞を受賞し、新聞や雑誌の書評で、「稀代の書き手」として絶賛された千葉聡氏(東北大学東北アジア研究センター教授)。本作は受賞後の最新作になる。自身の小笠原のカタツムリ研究のフィールドワークや内外の若手研究者の最新の研究成果を紹介しながら、「進化生物学」の醍醐味を描いたエッセイ的な作品。練り込まれた構成と流れるような巧みな文章で、ダーウィンに始まる進化研究の「バトン」がいまも途切れることなく受け継がれており、我が国の研究者もこれにおおいに貢献していることが分かる。読み始めたらページをめくる手がとまらない、痺れるほど面白い傑作。

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「進化学ふたたび」―著者・千葉聡さん寄稿エッセイ特別公開!

※以下のタイトルをクリックしてください。

「進化学ふたたび」千葉聡

〝進化論を唱えたダーウィンは、「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ」という考えを示したと言われています〟──これは十九年前、とある首相が行った国会演説の一節である。いわゆる構造改革──改革なくして成長なしを印象づける文脈で用いられた。今でもこの鉤括弧内のフレーズは、ダーウィンが残した言葉として、改革好きの経営者や政治家、学者、メディア等に好んで引用されている。
だが進化生物学的には、不可解な言葉である。第一に、そもそも安定な環境に棲む生物に当てはまらない。第二に、変化に対応できる生物、の意味が不明である。もし環境変化に強い、の意味なら、そうした個体が占める集団は、たいてい辺境の変動の多い環境に棲み、やがて安定で好適な環境に移動するとともに、体が大きくて強いなど、高い競争力をもつ個体に置き換えられていくことが多い。一方、変化する環境に速やかに適応できる集団が生き残る──絶滅しにくい、という意味ならその確かな証拠はないし、むしろ古生物学者は、絶滅の有無は運で決まると主張してきた。何よりダーウィンの進化の考えとは異なる話だ。
実はこれはダーウィンの言葉ではない。彼の考えでさえないのだ。科学史家の調査によれば、これは元々一九六〇年代に米国の経営学者レオン・メギンソンがダーウィンの考えを独自に解釈して論文中に記した言葉であった。それを他者が引用を重ねるうち少しずつ変化して、最後にダーウィンの言葉として誤って伝えられるに至ったものである。なおメギンソンは十九世紀ロシアの生物学者カール・ケスラーの進化説に強い関心をもち、この言葉もむしろケスラーの考えを反映している。ケスラーは競争よりも相互扶助が進化に重要だと主張し、革命家ピョートル・クロポトキンに思想的影響を与えて無政府共産主義に導いた人物である。そんな背景のもとに記された言葉が、ダーウィン自身の言葉へと〝進化的変化〟を遂げ、競争を生き抜くためのビジネス界の呪文となったのは皮肉な話である。
さてこの言葉、進化生物学的な興味はもう一つ別にある。環境の変化に対応できる生物──特に、常に変化する環境に速やかに適応できる生物の性質があるとすれば、それはどのようなものかという点だ。最近のゲノム科学や理論研究が示した答えは次のようなものだ。集団レベルの性質ならば、現在の環境下では生存率の向上にあまり貢献していない〝今は無駄な〟遺伝的変異を数多く保有し、高い遺伝的多様性をもつことである。個体レベルの性質なら、ゲノム中に同じ遺伝子が重複してできた重複遺伝子を数多く含むこと、複雑で余剰の多い遺伝子制御ネットワークをもつことである。
要するに、常に変化する環境に適応し易い生物の性質とは、非効率で無駄が多いことなのである。だから、もしこのダーウィンの言葉と誤解されているフレーズが、どう変化するか予想が困難な社会環境のもとで、組織や業務の〝選択と集中〟や、効率化を進めることを正当化するために用いられるなら、それは明らかに誤りであり不適切である。
生物進化の話は、概して社会で誤ったアナロジーとして使われる。たぶん進化の話には多くの人が興味をもつが、進化の研究の話には関心が薄いせいだろう。現代の進化学者が行う研究の大半は、観察や実験、統計解析、数理解析による地道な仮説検証の作業である。だから地味で目を引かず、関心ももたれにくい。しかしそれは例えばスポーツ競技の日本代表チームに対し、人々が試合の勝敗には関心をもつが試合自体や選手のプレーには関心がない場合と同じで、勝ち取った果実の意味を人々に誤解され易いのだ。という訳で、それなら進化の研究に関心をもつディープな進化学ファンを増やそうではないか、と目論んだ結果が、『進化のからくり 現代のダーウィンたちの物語』(講談社ブルーバックス)の執筆であった。
きっとただの偶然の一致だと思うのだが、十九年前、あの演説が行われた時代を境に、進化生物学を含め日本の自然科学研究を巡る状況は急速に劣化していった。今ならまだ回復のチャンスはあると信じているが、研究者の努力だけでは難しい。回り道でも、それを支えるファンが増えること──再び土地を耕すことから始めなければならないと思う。森が枯れても土があれば若木は育つ。本書が未来の森の再生への、呼び水の一滴となれば幸いである。
(ちば・さとし 東北大学大学院生命科学研究科教授)

著者紹介

著者:千葉聡(ちば・さとし)さんについて

東北大学東北アジア研究センター教授、東北大学大学院生命科学研究科教授(兼任)。1960年生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。静岡大学助手、東北大学准教授などを経て現職。専門は進化生物学と生態学。著書『歌うカタツムリ』(岩波科学ライブラリー、2017年)で第71回毎日出版文化賞・自然科学部門を受賞。ほかに『生物多様性と生態学ー遺伝子・種・生態系』(朝倉書店、2011年、共著)などの著作がある。

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応募概要

内容
千葉聡さん『進化のからくり 現代のダーウィンたちの物語』をブクログ本棚に登録後、レビューを書いてくださる方を募集。
応募人数
5名様
応募締切
2020年2月25日(火)終日
※当選は配送をもってかえさせていただきます。
※当選者には2月28日(金)までに配送手配いたします。

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