ブクログ大賞海外小説部門ノミネート作品をご紹介! アンソニー・ドーア『すべての見えない光』

ブクログ大賞が始まりました!
みなさんの投票で決まるブクログ大賞ですが、「ノミネートされている作品、読んだことないし投票しづらいなあ」と思われている方がいらっしゃるかもしれません。
前回はトーン・テレヘンさんの『ハリネズミの願い』をレビューしました。さて、今回はピュリツァー賞をはじめ多くの賞を受賞した名作、アンソニー・ドーアさんの『すべての見えない光』をご紹介します!ぜひ内容紹介とユーザーレビューなどを見て参考にしてください。

そもそも、ブクログ大賞のノミネート作品って、どうやって選んでいるの?

2016年5月1日から2017年4月30日の期間に発売された日本語刊行書籍の中から、ブクログでの登録数・評価数をもとに各部門のノミネート作品を選出しています。

ブクログ大賞海外小説部門ノミネート作品 アンソニー・ドーアさん『すべての見えない光』


ブクログの登録者数:464人 ★4.32評価

内容紹介

孤児院で幼い日を過ごし、ナチスドイツの技術兵となった少年。パリの博物館に勤める父のもとで育った、目の見えない少女。戦時下のフランスでの、2人の短い邂逅。時代に翻弄される人々の苦闘を温かな筆致で描く。

\ おすすめのレビュー!/

圧倒的。本当に美しく、眩い物語だった。「すべての見えない光」というタイトルに反し、最後に心に残るのは確かな”光”だ。
主人公の一人が目の見えない少女なのに、なぜか音は感じず光を感じる文章なのが不思議。

小説を評価するときに、”映像的”と表現するのが良いのか悪いのかわからないけれど、本作はとても”映像的”な小説だった。
断片のように細かく区切られた文章が、時間や場所をまたいで複雑に並べられている構成。ただ、時間軸や場面の交錯はプロットを複雑にするのではなく、様々なカットが細かく切り替わっていく映像的な演出のようだった。細かな断片の一つ一つには重要なメッセージがみつからない場面もあるけれど、断片が層になり世界を彩りながら形作っていく。
イメージしたのは宇多田ヒカルの「真夏の通り道」という曲のMVだった。
私はこういう世界観を撮りたくて、GRというカメラを買ったんだけど、映像的な理想像を、まさか文学で見せつけられるとは思わなかった。

ultimate-ezさんのレビュー

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次回はピーター・トライアスさんの『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』をご紹介いたします。どうかお楽しみに!