重松清さんの代表作・おすすめ本7選!文庫化された名作を読む!

重松清さんおすすめ・受賞作・代表作5選

こんにちは、ブクログ通信です。

8月23日に最新作『火曜日のルビィ』発売を控えている重松清さん。刊行作が次々とドラマ化・映画化されており、注目はますます増すばかりです。人気作を次々刊行する重松さんの作品ですが、映画やドラマで知っているけど原作を読んだことがない、というかたも増えてきていますね。

ブクログから、重松さんの代表作・オススメ作を7作紹介いたします。多数の作品の中から、ブクログユーザーから高い評価を受けている作品、読みやすい作品、知名度のある作品を中心に集めているので、ぜひ参考にしてくださいね。

経歴:重松 清(しげまつ きよし)

1963年、岡山県生まれの小説家。早稲田大学教育学部卒業。
出版社勤務を経て、フリーライターとして独立。ドラマ・映画のノベライズなどを手がけたのち、1991年『ビフォア・ラン』で小説家デビュー。
1999年『エイジ』で山本周五郎賞、2000年『ビタミンF』で直木賞、2002年『流星ワゴン』で「本の雑誌年間ベスト1」、2010年『十字架』で吉川英治文学賞、2014年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。
山本周五郎賞、講談社ノンフィクション賞選考委員を務める。2017年、早稲田大学文化構想学部客員教授に就任。
『とんび』、『青い鳥』、『流星ワゴン』をはじめ、多くの代表作がドラマ化、映画化されている。

重松清さんの作品一覧

1. 『ビタミンF』 家族をテーマに、現代を生きる人間の苦悩を描く

2000年に刊行され、高い評価を受けて第124回直木賞を受賞した連作短編集です。重松さんがデビュー以来取り組んできたテーマのひとつ「家族」について書かれた7作の短編が収録されています。

重松清さん『ビタミンF (新潮文庫)
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あらすじ

38歳、自販機メーカー入社16年目の加藤雅夫は4月から主任となって、同期の吉岡やその部下たちとカラオケに繰り出していた。カラオケではしゃぎ続ける吉岡に、自分の年を思う。帰り道、ちょっとの距離移動でタクシーを使ってしまうのが自分の年齢の象徴でないかとさえ思う。オヤジ狩りが横行するなか、幽霊が怖かったこどもの頃よりもずっと心細い思いで帰り道を辿ってしまう。そんな彼は深夜、自動販売機にいたずらする若者たちが目に入り、ゲンコツを握り締めることになるのだが―(「ゲンコツ」)。家族の課題や悲哀を描く、7つの短編集。

オススメのポイント!

短編各話の主人公たちは、みな30~40代の中年男性。彼らが直面する等身大の苦悩は、淡々と描かれているがゆえに、読んでいて非常に身につまされてしまいます。そしてユーモアたっぷりに描かれる主人公や家族のあり様から、現代社会の問題が透けて見えてくるかのようです。重松さん本人のあとがきによれば、「F」で始まるさまざまな言葉、「Family」「Father」「Friend」「Fight」「Fragile」「Fortune」が埋め込まれた7つのFiction(小説)とのこと。

父親目線の短編小説。どれも話が終わると、いい意味で胸がきゅうってしめつけられる。私のお父さんも、こんな風に思ってたのかなとか、父親って実際は母親よりも強くなくて、不器用だけど一家の柱じゃなきゃいけなくて、苦悩するその生き様がすごく切ないし、私は好き。この小説大好き。

maapooiさんのレビュー

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2.『流星ワゴン』 人生をやり直すことはできるのか?家族における大事なものを示す長編

2002年に刊行された長編作です。『ビタミンF』で直木賞を受賞してから初の長編でしたが、2002年度「本の雑誌年間ベスト1」に輝き、舞台化、テレビドラマ化もされました。現在でも重松さんの代表作のひとつに挙げられており、「家族」をテーマにした作品として評価が際立っています。

重松清さん『流星ワゴン (講談社文庫)
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あらすじ

永田一雄は人生に疲れ、諦め、漠然と死ぬことを考えていた。仕事はリストラされ、家庭は崩壊寸前。不倫している妻からは離婚を切り出され、子供は家庭内暴力を起こし引きこもっている。入院している父親を見舞いに行って小遣いを貰っているが、その父親も余命幾許もない。そんな一雄は、ある時停車している1台の車に気付く。その車には交通事故死した父子が乗っていた。その車に乗り込んだ一雄は、これまで送ってきた人生の、重大なターニングポイントへと連れ戻される。そして、自分と同い年の父親と出会うのだった―。果たして一雄は後悔した自らの人生をやり直すことができるのだろうか?

オススメのポイント!

「あの時から人生をやり直せたなら」と思う人は多いはず。この作品はその思いを代弁してくれるのですが、頭で分かっていてもそう簡単にはいかないもの。人生のほろ苦さを感じる作品であると同時に、不器用な人生を送らざるをえない全ての人たちへのメッセージがこもった作品です。なお2015年に、TBS系「日曜劇場」枠でドラマ化されました。

実の親子だから気が合うなんてことはない。ずっとずっと嫌いだった父。その父が自分と同い年の「チュウさん」「カズ」と呼び合う朋輩として現れたら…。
悪いことなんて何もしていないのに、人並みに幸せだったはずなのに、いつの間にか全てを失いかけていて、もはやその取り戻し方も分からない。不器用な人を描かせたら、重松さんはピカイチだと思う。
なんだか泣きそうになってしまった。だから重松さんは危険なんだ。

hetarebooksさんのレビュー

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3.『とんび』 男手一つで息子を育てる父の姿!人と人との様々な絆を示す作品

2008年に刊行されました。男手一つで息子を育てた父の半生、そして息子の成長を描いた長編作品です。2度テレビドラマ化されており、原作・ドラマともども高い評価を受けました。ブクログユーザーからの平均評価も、他作品に比べて飛びぬけて高いものとなっています。

重松清さん『とんび (角川文庫)
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あらすじ

昭和三十七年、ヤスこと市川安男は愛妻の美佐子とのあいだに長男:旭が誕生。家族三人、幸せを噛みしめる日々。しかしその日々も長くは続かなかった。美佐子が事故死、父子家庭となった一家。安男は子の幸せを願いながら、周囲の人々に助けられつつ男手一つで子育てを始める。

オススメのポイント!

父と子のコミュニケーション、そして二人の周囲の人間関係が濃密に描かれており、家族・友人・恩師たちの情と絆に思わずほろりとさせられます。子育てをしている方には、特にオススメしたい一作です。
なお2012年にNHK総合テレビで堤真一さん主演で放映された「とんび」は第67回文化庁芸術祭の優秀賞(テレビ・ドラマ部門)などを受賞。2013年TBSで連続ドラマで放映された「とんび」は、アジア・テレビジョン賞ドラマ部門最優秀作品賞などを受賞。

最愛の妻・美佐子を事故で亡くしたヤスさんと息子のアキラ。時には互いに傷付き、離れてはやがて戻って、そんな父と息子の絆を描いた作品です。ドラマもチラチラ見て、当時はあーいい話だなー位に感じていましたが、息子を持つ父親の立場になってみて、とても感慨深く身に染みます。人生を80年とした時に、その中で父と息子が一緒にいれる期間はたったの20年。そして息子は親元を飛び出して自分の世界に旅立ち、やがて新しい家庭を持ち、今度は自分が父となる。
人生のたったの4分の1。その不思議な時間を大切にしたいと思いました。

enageさんのレビュー

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4.『きよしこ』 著者自身の体験が色濃く反映された連作短編集

2002年に刊行された作品です。この作品の主人公の名前は「きよし」。重松清さん本人の体験がちりばめられた、自伝的要素のある作品としても知られています。吃音の少年の成長する過程が描かれています。

重松清さん『きよしこ (新潮文庫)
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あらすじ

どこにでもいる、ひとりぼっちの少年、きよし。彼は言いたいことをうまく発音することができず、転校してもひとりぼっち。友だちが欲しい。そう願っていたきよしは、あるクリスマスの夜、不思議な存在の「きよしこ」と出会う。自分の名前とよく似た、他のひとには見えない、ぼくだけの友だち。きよしは「きよしこ」の前なら、発音も滞らず、言いたいことを話すことができた─。吃音に苦しむ少年きよしの、小学校から高校生までの十二年間。

オススメのポイント!

吃音に悩む少年が、次第に成長し、真っ直ぐ前を見据えて自分の人生に向かい合う姿が眩しいです。著者の重松さんも小さい頃から吃音で悩んでいたそうですが、人とうまく交流できない多くの人が勇気付けられる作品になっています。繊細な少年の心の揺れ動きに、つい感情移入してしまうような一冊です。

悔しかった。もっと早くこの本と出逢いたかった。

重松さんが描く子どもは石田さんのそれとはまた違った魅力がある。
でも共通しているのは“普通の子”を多く描いていることだと思う。

出てくる主人公は格好いいばかりじゃない。
周りに出てくる登場人物も容赦なく現実の厳しさを突きつけてくる。
悩み傷つき、葛藤を抱えながらそれでも前に進む姿に心打たれるんだと思う。

yumoさんのレビュー

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5.『きみの友だち』 友情をテーマにした連作短編集

2005年に刊行された連作短編集です。物語の語り手によって8人の「きみ」が作品ごとに立ち現れ、登場人物たちの友情とその思いをさまざまに示します。

重松清さん『きみの友だち (新潮文庫)
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あらすじ

事故で足が不自由になり、友だちがいなくなってしまった恵美と、腎臓が弱く病気がちで入退院を繰り返す由香。二人はお互い友情を深めていく。そして恵美の同級生、転校生たちが織り成す、さまざまな「友情」。

オススメのポイント!

恵美とその友人たちをめぐって、思春期から大人になるまでの、様々な形での友情が示されています。私たちが友人関係を結ぶのは誰なのか?そもそも友情とは何か?素朴なテーマや日常から、本質をあぶり出そうとする重松さんの作風が非常によく分かる作品になっています。2008年に映画化されており、こちらも人気を博しました。ストーリーが原作と映画で異なっているので、ぜひ見比べてみてくださいね。

「友だち」とは何か。学校での色々な立場の子、それぞれを主人公にした連作短編集。皆それぞれが様々な悩みや弱さを抱えていて、それと向き合いながらも前に進んでいく姿に心を打たれた。恵美ちゃんのかける言葉の数々が印象的でとても心に残った。また、恵美ちゃんと由香ちゃんの関係性も素敵。「気が合うか合わないかではなく、歩く速さが同じかどうか」。この言葉にハッとした。そして、共感もした。終盤はもう涙が止まらなかった。切ないけれど温かい、心にしみる作品。

ryoku330さんのレビュー

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6.『エイジ』 思春期の少年たちは、同時代の少年犯罪をどう受け止めたのか?

1999年刊行、山本周五郎賞を受賞した名作です。刊行当時、1997年の神戸連続児童殺傷事件など、少年による多くの事件が起きました。刊行後の2000年には、多くの事件によって1982年生まれとその前後に生まれた「キレる17歳」が話題になり、流行語大賞候補に「一七歳」がノミネートされたほど。作品『エイジ』はそんな世相を反映しています。

重松清さん『エイジ (新潮文庫)
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あらすじ

東京郊外・桜ヶ丘ニュータウンの中学二年生エイジ。夏、町で連続通り魔事件が発生したのだが、捕まった犯人は同級生だった。日常の中で唐突に起こった非日常に、エイジは何かしらの感慨を抱かざるを得なかった。自分もいつか「キレて」しまうのだろうか?そもそも自分と犯人にどの程度の違いがあったのか―?エイジは加害者側に身を置き換えて考えを深めていく。そして彼の周囲でも様々な受け止め方があった。被害者の視点、あるいは第三者的な視点。みな、事件を各人毎に受け止めながら、それが成長の機縁になっていく―。

オススメのポイント!

繊細な心理を描くことにかけて定評がある重松さんの筆によって、少年たちが同時代の少年犯罪をどう受け止めたかが描かれた作品です。思春期特有の思いと迷いが、通り魔事件を通じて先鋭化されていく過程が見事でした。そして読み手の私たちも、エイジたちの思考に自分の思いを乗せ、思わず共感してしまうことでしょう。

同級生が起こした連続通り魔事件を軸に被害者側の気持ちになるつかちゃん、加害者側の気持ちになるエイジ、冷静に第三者としての意見を言うタモツくんがそれぞれの考えをぶつけていく。事件だけでも答えが出ないのに、恋愛、部活、友情といった事も絡んでくる。最後には、登場人物一人一人が事件をきっかけに変わった所が清々しい。日々悩み、成長していく。気づいたら、大人に近づいている。

nywwccaさんのレビュー

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7.『その日のまえに』 人の生死をテーマに、残された人々の姿から大事なものを伝える連作短編集

2005年に刊行された作品で、2007年ラジオドラマ化、2008年映画化、2014年にテレビドラマ化されています。誰しもが何らかの仕方で対峙せざるをえない「その日」、すなわち死を迎える日を前に、当事者や、その家族、関係者たちの姿が淡々と描かれます。

重松清さん『その日のまえに (文春文庫)
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あらすじ

父を交通事故で亡くし、母子家庭で育った少年はある日テレビを見ながら芸人に冗談交じりに「死ね」と言っているところを母親に叱られた。そして母親が健康診断を受け、再検査を受けることを知る。動揺する少年だが、母親にその結果を聞くことができない。自宅にあった『家庭の医学』のページを手繰ってはみたが、やはり本人に聞けない。疑心暗鬼になった少年は、母が夢中になっているストリートミュージシャンのことを思い出し、彼から母親のことを聞きだそうと考えた―(「ヒア・カムズ・ザ・サン」)。
死が訪れる「その日」をめぐって記された、7つの短編集。

オススメのポイント!

何気ない日常のなかで唐突に現れる死についての物語は、読み手の私たちに「その日」についての省察を促します。いつかやってくる死を目前にした人は、そして残される人々は何を思うのか。漠然とした死が目前で具体化するとき、何を後悔するのか。おだやかに綴られる死の物語が教えてくれることは多いです。そして思わず涙を流してしまいそうになります。

送る側、送り出される側の苦悩や葛藤、悲しみ、痛み、そして強さ。それらが詰まった物語の集まりに、思わず涙が流れた。

大切な人が余命宣告されたら?事前に準備して、後悔しないように最大限動いて、心の準備をして。それでも「その日」になると、全てが無駄だったかのように時間が過ぎていく。そして「その日」はだんだんと遠のいていく。思い出すことは日増しに減っていく。それでも絶対に、忘れはしない。

父が突然亡くなった日、そしてその後の日々のこと。そして三年前に母が癌告知された時のこと。いろんなことが、読んでいる間に頭のなかで蘇った。

泣きながら、苦しみながら、それでも徐々に日常を取り戻して、笑える日がだんだんと増えていく人間の強さ。とても素晴らしい、と思う。

夜さんのレビュー

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重松清さんの作品は比較的どれも敷居が低く、ほかにも入門にふさわしいものはたくさんあります。重松さんが各作品で重視しているテーマを、自分の関心のもとで選んでいくとよいのではないでしょうか。

重松さんの作品を楽しむための参考になれば幸いです。最初の一冊目が良い出会いでありますように。