三浦しをんさん代表作・オススメ7選!デビュー作から受賞作までをご紹介!

三浦しをんさんおすすめ・受賞作・代表作7選

こんにちは、ブクログ通信です。

多くの人から愛される『船を編む』を刊行した三浦しをんさん。2018年も、5月26日発売『ののはな通信』、5月29日発売『ビロウな話で恐縮です日記』をはじめ、さまざまな新刊が発売される予定です。

ブクログから、三浦さんの代表作・オススメ作を7作紹介いたします。多数の作品の中から代表作をご紹介。そしてブクログユーザーから高い評価を受けている作品、読みやすい作品、知名度のある作品を集めているので、ぜひ参考にしてくださいね。

経歴:三浦 しをん(みうら しをん)

1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が、第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。

三浦しをんさんの作品一覧

1.『まほろ駅前多田便利軒』 直木賞受賞作にして三浦さんのエッセンスが詰まった一作

『別冊文藝春秋』に連載されていた作品で、2006年に刊行されました。第135回直木三十五賞を受賞しシリーズ化。本作については2011年に瑛太さん、松田龍平さん主演で映画化されています。便利屋を営む男性二人を描く一作。なお作中の舞台、東京のような地方都市のような存在「まほろ市」は三浦さんが昔勤めていた古本屋のあった「町田市」がモデルとなっています。

三浦しをんさん『まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)
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あらすじ

東京のはずれに位置する都南西部最大の町、まほろ市。その駅前にある便利屋「多田便利軒」の物語。便利屋にいるのは経営者多田啓介、そして彼の元へ転がり込んできた行天春彦。便利屋にはいつも依頼が舞い込んでくるけれど、ペットあずかり、塾の送迎、納屋の整理、それぞれ二人が関わるとどれも不思議でキナ臭い依頼ばかりになってしまう。

オススメのポイント!

友情小説でもあり、成長小説でもある、奥行き豊かな作品に魅せられます。ささやかな事件から繰り広げられるドタバタのなかで見え隠れするのは、幸福や友情、家族といった大きなテーマ。これらのテーマは三浦さんのさまざまな作品で示されていますが、この一冊に全て詰まっています。一冊も三浦さんの本を読んだことがない方には、ぜひ『まほろ駅前多田便利軒』をオススメします。続編の『まほろ駅前番外地』『まほろ駅前狂騒曲』もぜひご覧ください。

2.『風が強く吹いている』 駅伝における喜怒哀楽すべてが味わえる、駅伝小説

直木賞受賞後の第一作となる2006年刊行の作品で、箱根駅伝を舞台にしています。2007年本屋大賞で第3位、そして第1回ブクログ大賞文庫本部門大賞を受賞した作品です。2007年には漫画化およびラジオドラマ化、2009年1月に舞台化、同年実写映画も公開されました。

三浦しをんさん『風が強く吹いている (新潮文庫)
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あらすじ

寛政大学4年の清瀬灰二は、夜道を驚異的な走りで駆け抜けていく蔵原走と出会い、成り行きで下宿しているアパート、竹青荘に連れて行く。走は高校時代に大記録を打ち立てた天サーランナーだったが、トラブルで高校の陸上部を退部していた過去があった。清瀬は最高峰の箱根駅伝に出たい、という願いをかなえるべく、アパートの面々と箱根駅伝を目指そうとする―。

オススメのポイント!

登場人物全員、個性があって魅力的。彼らがチームとして団結していく過程に清々しさを感じます。スポーツを通じて立ち現れてくる喜怒哀楽にも感情を揺さぶられます。陸上競技、そして駅伝を主題にした小説のなかで最も有名な作品の一つで、後世にもスポーツ小説の古典として残ることになるでしょう。

3.『神去なあなあ日常』 都会に生まれ育った青年が地方で出会う困難とやりがいは何か?

2009年に刊行されました。本屋大賞第4位受賞作。2010年にNHK-FM放送「青春アドベンチャー」でラジオドラマ化、2014年に『WOOD JOB! 〜神去なあなあ日常〜』に海内されて染谷将太さん主演による映画化もされた作品です。2012年には続編『神去なあなあ夜話』が刊行されています。都会出身の青年が地方で暮らし始める、その日常を描きます。

三浦しをんさん『神去なあなあ日常 (徳間文庫)
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あらすじ

高校生・平野勇気は卒業後の進路を全く決めていなかった。卒業式が終わって、高校の担任が就職先を決めておいた、という。どんな業務内容かも分からないまま、勇気は三重県の神去村(かむさりむら)へと辿りついた。見渡す限り山、山、山。そこで林業を任された勇気は、何度も脱走を試み、トラブルに遭ったものの、次第に仕事と自然に魅了されていく。そしてまもなく、48年に一度行われる神去村の神事「オオヤマヅミ」が始まろうとしていた。

オススメのポイント!

「なあなあ」とは神去村の方言で「ゆっくり行こう」などの意味合い。都会で生まれ育った勇気が、紆余曲折ありながらも田舎の「なあなあ」な精神を身につけていくまでの成長にはグッときてしまいますね。一方で、林業の衰退や、地方の抱える問題を映し出す作品でもあります。成長小説として、あるいは一種の現代版「農民文学」としても読める、非常に間口の広い作品です。続編『神去なあなあ夜話』も発売されているので、ぜひこちらもチェックを!

3.『船を編む』 辞書ができるまでの困難と苦闘を描く大作

2011年に刊行され、2012年に本屋大賞を受賞。大きな反響を引き起こしベストセラーになりました。2013年には松田龍平さん主演で映画化、2016年10月からテレビアニメが放送されています。一冊の辞書が完成するまでを描いた大作です。

三浦しをんさん『舟を編む (光文社文庫)
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あらすじ

「玄武書房」に勤める部員・馬締光也は、周囲から変人扱いされ、通常業務にも支障をきたすところがあった。ところが彼が大学院卒の言語学専攻、そして言語への注意力と独特な感性があったことを辞書編集部のベテラン・荒木に見抜かれて、新しく刊行予定の辞書『大渡海』の編纂メンバーとして社内ヘッドハンティングされる。馬締は持ち前の能力を開花させ、辞書の発売も危ぶまれるなか、長い年月をかけて辞書の完成に取り組んでゆくー。

オススメのポイント!

一冊の辞書ができるまでの関係者の絶え間ない努力を描いた大作で、本に興味を抱く人々なら一気に読み進めてしまうこと間違いなしの一作。エンタメとしても、辞書をめぐる一種のドキュメンタリーとしても読み応えがあります。事実、出版業界の人々からの評価は高く、書店員たちの熱烈な支持によって本屋大賞に輝きました。本が好きな人すべてにオススメしたい作品です。なお、コミック版『舟を編む』も上下巻で発売されていますね。

映画版も国内で様々な映画賞を獲得。高い評価を受けています。こちらもオススメです。予告編、ぜひご覧ください。DVD『舟を編む』も発売中です。

4.『木暮荘物語』 「性」をめぐり繰り広げられる破天荒なホームコメディ!

2010年刊行。木暮荘というアパートの人々を面白おかしく描く連作短編集で、2011年にコミック化されています。

三浦しをんさん『木暮荘物語
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あらすじ

小田急線・世田谷代田駅から徒歩五分、築ウン十年の木造2階建て、安普請の「木暮荘」。入居条件は年齢・性別・性癖不問!そこで暮らす変人たちと、それをとりまく人々の物語。そこで同棲中の彼氏と住まう女性の元に、急にふらっと元彼が戻ってきてまさかの三角関係。一方、アパートの大家が執念を燃やすのは……!?

オススメのポイント!

発刊当時、小泉今日子さんが読売新聞で「あぁ、私はこの物語がとっても好きだ」と評して話題を呼びました。肩肘張らずに読めるドタバタホームコメディでもあり、心温まる物語でもあり。「性」が一つのテーマではありますが、多様な恋愛があること、そして多様さを肯定するメッセージが至るところに込められています。

5.『きみはポラリス』 多様な愛情のかたちを示す意欲作

2007年に刊行されました。三浦さんによる恋愛短編集で、さまざまな形の恋愛、愛情に切り込む意欲作となっています。

三浦しをんさん『きみはポラリス (新潮文庫)
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あらすじ

禁断の恋、三角関係、同性愛、片思いなどなど、色んな愛情のかたち11編が収録された恋愛短編集。ひとが偏愛や禁忌と呼ぶような振る舞いも、当人にとっては紛れも無い愛情の形。言葉でいくら定義しても、この地球上にどれひとつとして同じ関係性はない。けれど、人は生まれながらにして、恋を恋だと知っている―。

オススメのポイント!

すべての作品できっちりと答えが用意されているわけでなく、読者に想像を促すようなラストが多いのが印象的ですね。万人向けの恋愛小説ではないかもしれませんが、愛の形には非常に多くの種類があることを教えてくれる一冊です。

6.『格闘する者に○』 就活がテーマ!出版社の不可思議なエピソードも含む

2000年刊行、三浦さんのデビュー作となります。就職活動を題材にした青春小説です。

三浦しをんさん『格闘する者に○ (新潮文庫)
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あらすじ

就職活動中の女子大生、藤崎可南子。希望業界は出版社、やりたいことは漫画雑誌編集者。けれども実際の会社訪問では驚くことばかり。そしてセクハラ、パワハラまがいの発言連呼。出版業界はみんなこんな調子なのか!?就職活動という人生の転機、そして青春の結実をユーモラスに描く一作。

オススメのポイント!

主人公が出版業界志望なのですが、三浦さんが受けた会社とそこでの応対がモデルになっているのでは?と言われています。出版社が伏字になっていますが、出版業界を少しでも知っている人ならほとんど分かってしまうはずで、興味を引くポイントです。就職活動の2000年前後の光景にやや古さも感じられますが、主人公の苦悩は多くの読者が共感できるものでしょう。

7.『あの家に暮らす四人の女』 女性たちの日常生活を描く、現代版『細雪』

2015年刊行の作品です。この年は谷崎潤一郎没後50年で、「谷崎潤一郎メモリアル特別小説作品」として発刊されました。キャッチコピーは「ざんねんな女たちの、現代版『細雪』」。第32回織田作之助賞を受賞しています。

三浦しをんさん『あの家に暮らす四人の女
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あらすじ

古い洋館に住む母娘と娘の友人たち、女四人。彼女らは、今日も豊かでかしましい。そこで細々と起こるささやかな事件の数々。謎の老人、ストーカー男、カラス、ミイラ……重なりあう生者と死者の声。女四人の異常な非日常が進んでいく。

オススメのポイント!

三浦しをんさんの描く隠れたテーマのひとつ、「日常」。現代版『細雪』と銘うたれているのは、登場人物の名前が同じだからというだけでなく、まさに日常生活の悲喜こもごもを三浦さんが描いているからでしょう。女性4人のワケあり同居の様子から、家族や身内とは何なのかを考えさせられます。三浦さんの人気作品と比べると少し異なる作風に思えますが、三浦さんの異なる側面を読むことができる一作です。


万人が楽しく読める作品を、次々刊行していく三浦しをんさん。ぜひ色々な作品を手にとってみてくださいね。

どうか最初の一冊目が良い出会いでありますように!