観る前に読む?観た後に読む?映画『君の名は。』新海誠監督による原作小説の感想まとめ

ブクログ通信の新しい企画として、いま話題の本をブクログのみなさんのレビューを交えて紹介する「ピックアップレビュー」がスタートします。本好きのみなさんがどんな感想を持ち、どんなレビューを書いているのかをまとめて紹介します。

第1弾は、新海誠監督の最新作、大ヒット中の映画『君の名は。』の原作小説をピックアップ!『小説 君の名は。』は、ブクログの月間殿堂入りランキングで1位(2016年9月)を獲得した作品です。

2016年9月月刊「殿堂入り」ランキング堂々一位!
2016年9月月刊「殿堂入り」ランキング堂々一位!

映画『君の名は。』は10月4日現在、累計興業収入が128億円を突破し、宮崎駿監督の「風立ちぬ」の120億円を抜いて、日本のアニメ映画では歴代5位(The Huffington Post 2016年10月4日記事:「君の名は。」興収120億円突破。宮崎駿監督の牙城崩しトップ5入り)となりました。映画だけでなく、『小説 君の名は。』も先日100万部を超え、(RBB TODAY 2016年9月23日記事:小説『君の名は。』も絶好調!100万部を突破)関連作品も含めると200万部を超える大ヒット作品になっています。(新文化ONLINE 2016年9月26日記事:KADOKAWA、映画「君の名は。」関連書6点で200万部に

『小説 君の名は。』は、ブクログ本棚登録1382人、平均評価4.08、レビュー156件とブクログでも注目作品になっています。映画鑑賞前に読んだ方と映画鑑賞後に読んだ方にわけて、よりすぐりのレビューを紹介します。

* データは2016年10月5日現在のものです

映画鑑賞前に小説を読んだ方のレビュー

新海誠の最新映画をやると聞いて、本屋で立ち読みしたら、そのまま魅き込まれて購入。あまり読書する習慣がないにもかかわらず、すぐに読了してしまった。
情景描写が上手く、鮮やかに物語が頭の中に浮かんできた。手が届くかどうか、本当にあるかどうかわからないものをがむしゃらに追い続ける人の美しさを感じることができた。
ただ(映画を見ていないから分からないが恐らく)映画以上の描写はあまりないような気がする。もう少し瀧と三葉の入れ替わり生活を詳しく描いて欲しかった気もするが、そのおかげで一気に読み切れたと思う。

鉄雄さんのレビュー 2016年8月11日

映画「君の名は。」は驚くべきヒットを遂げていた。そんなとき、たまたま立ち寄った書店で小説を見つけた。それは衝動買いというものだろうか、思わず買ってしまった。同然、新海誠の絵の美しさは知っていた。TVで大々的に報道されているだけでなく、過去作「秒速五センチメートル」を見たことがあったから。だから映像で見たかった。けれども一方で、言の葉の美しさでその感動を味わいたかった。別に人と違うことがしたいわけじゃない。流行に逆らいたい人間でもない。ただ純粋に文字の美しさで世間が沸き立つ物語を感じたかったのだ。その願いは、一行目で叶った。ここまでの鳥肌は生まれて初めてだった。まだ本を開いて10秒しかたっていない。けれどもこの10秒が僕に感動を教えてくれた。TVで流れるPVの映像・音楽が本を読んでいる間、頭の中で何度も流れた。文字で読む景色と何度も観たことのあるあの美しい映像のワンシーンがリンクする。文字と映像と何度も聞いたことのあるピアノの美しい旋律がツナガる。まるで、その一行目一行目が目と耳と空気で僕をその世界へと誘っているようだった。一冊の小説「君の名は。」は本の想像させる面白さ、浮かび上がらせる美しい眺めを僕に見せてくれた。

先にも述べたが、新海誠の凄さはその映像美である。ぜひ映画のほうも観てみたい。

s-y-k-kさんのレビュー  2016年9月21日

映画鑑賞後に小説を読んだ方のレビュー

映画を観たときに涙が出たのは映像美と音楽の力に圧倒された部分もあったと思うんだけど、小説版も映像に引けを取らないくらい情景描写が繊細で丁寧でとても綺麗。そして改めて物語を辿ったら、主人公ふたりを始めとしたいろんな人たちの心情が丁寧に伝わってまた泣けた。あとこの物語は瀧くんが感じることや行動すること自体が運命の重要な転換点になっているので、小説版は特に瀧くん視点での語りが多かったことでより感情移入しやすかったです。組紐を結うこと、口噛み酒を作ること、誰かと巡り会うこと、誰かと命を共有すること、その誰かと共に生きたいと願うこと、誰かの名前を呼ぶことも、すべてが尊い因果の繋がりで、すべてが「ムスビ」。美しいお話でした。

よしいさんのレビュー  2016年9月10日

ここに小説としての君の名はのレビューを書くこととは少し違うニュアンスになるけれど、率直に良かった。まず映画をみた、綺麗な絵と愛くるしい表情のキャラクター、忘れられない音楽、先へ先へと気になるストーリー。本当にすごい映画だと思った。映画館に足を運んでから1週間以上経つけれど、まだ1日の1/4ぐらいはに君の名はを引きずっている。小説を読めば浮かんでくる映像の数々が、また私の興奮を先延ばしさせている。もう一度映画館で見たいと思う

aym1868さんのレビュー  2016年9月26日

情景描写が豊かで映像的な小説

印象的だったのは、新海誠監督作品の特徴である「情景描写」について書かれている方が多かったこと。

映画鑑賞後に読んだ方のレビューでは、小説を読みながら映画で見た映像美を思い浮かべたという感想が多いようです。映画鑑賞前に読んだ方のレビューでも情景描写についての言及があり、好きなシーンがどのような映像になるのか映画版への期待する感想が目立ちました。

小説版・映画版ともに新海誠監督の情景描写へのこだわりが色濃く反映されていることが、作品の魅力であり、大ヒットの要因のひとつなのかもしれません。

映画と小説、どちらからでも楽しめる作品になっていますので、小説を読んだ方は映画館に足を運び、映画を観た方は小説を手に取って読み終わった後、ブクログにレビューを投稿してみてはいかがでしょうか。

あらすじ

山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は、自分が男の子になる夢を見る。見慣れない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。一方、東京で暮らす男子高校生・瀧も、山奥の町で自分が女子高校生になる夢を見る。やがて二人は夢の中で入れ替わっていることに気づくが――。

著者 : 新海誠
KADOKAWA/メディアファクトリー
発売日 : 2016-06-18

著者紹介:新海 誠(しんかい まこと)さんについて

1973年長野県生まれ。アニメーション監督。2002年、ほぼ一人で制作した短編アニメーション『ほしのこえ』で注目を集め、以降『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』『言の葉の庭』を発表し、国内外で数々の賞を受ける。2016年には新作長編アニメーション『君の名は。』が公開予定。自身の監督作を小説化した『小説 秒速5センチメートル』『小説 言の葉の庭』でも高い評価を受けた。

新海 誠さんの作品一覧