女性が直面する数々の悩みをテーマに活躍を続ける―垣谷美雨さんおすすめ・代表作5選

女性が直面する数々の悩みをテーマに活躍を続ける―垣谷美雨さんおすすめ・代表作5選

こんにちは、ブクログ通信です。

『老後の資金がありません』文庫版のベストセラーが記憶に新しい、垣谷美雨さん。2018年10月に『結婚相手は抽選で』がドラマ化されたこともあって、ますます知名度が高まっています。

ブクログから、垣谷さんのおすすめ・代表作を5作紹介いたします。多数の作品の中から、ブクログユーザーから高い評価を受けている作品、読みやすい作品、知名度のある作品を中心に集めました。垣谷さんは女性特有のテーマを扱うことで定評がありますが、その中から特にユーモラスな小説をご紹介します。

経歴:垣谷美雨(かきや みう)

1959年生まれの小説家。兵庫県豊岡市出身、明治大学文学部文学科(フランス文学専攻)卒業。ソフトウェア会社勤務を経て、2005年『竜巻ガール』で小説推理新人賞を受賞し、デビュー。代表作としてテレビドラマ化された『リセット』『夫のカノジョ』の他に、文庫化されてベストセラーとなった『老後の資金がありません』、『ニュータウンは黄昏れて』『子育てはもう卒業します』『避難所』『農ガール、農ライフ』『あなたのゼイ肉、落とします』『嫁をやめる日』『後悔病棟』『女たちの避難所』など著作多数。『結婚相手は抽選で』が2018年10月に野村周平主演でドラマ化された。

垣谷美雨さんの作品一覧

1.『老後の資金がありません』垣谷美雨さん代表作のひとつ

2015年に刊行されました。2018年に文庫化されたあと、本屋での仕掛け販売や新聞広告があいまって、人気作に。垣谷さんの代表作のひとつとして挙げられる一冊です。

垣谷美雨さん『老後の資金がありません (中公文庫)
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あらすじ

しっかり貯金して老後の備えは万全だったわが家に、突然金難がふりかかる!後藤篤子は悩んでいた。娘が派手婚を予定しており、なんと600万円もかかるという。折も折、夫の父が亡くなり、葬式代と姑の生活費の負担が発生、さらには夫婦ともに職を失い、1200万円の老後資金はみるみる減ってゆく。家族の諸事情に振り回されつつもやりくりする篤子の奮闘は報われるのか?普通の主婦ががんばる傑作長編。

オススメのポイント!

50代の夫婦が直面する、子の結婚式費用、老後の介護、葬式の費用……しかも失職!生々しくリアリティある数々の問題を前に、主人公・篤子はどう取り組んでいくのか?深刻な物語かと思いきや、登場人物がみなどこかユーモラスなので、読んでいても深刻になりすぎず、けれども、自分や両親の老後などを真剣に考えざるをえなくなるような気付きを与えてくれます。

老残の身には、何とも身につまされる題名(笑)で、読まずにいられなかった。夫婦ともにリストラに遭った50代の主婦が主人公。しかもなけなしの貯金は、娘の結婚式それに舅の葬式代に出費し、残り僅か。結婚した娘は、DV被害が疑われ、さらに行き掛かり上、姑を自宅に引き取る羽目に。親類や近所付き合い、友達付き合い等々、読者の日常生活や倹約生活のヒントにもなる、主婦のドタバタ奮戦記。度重なる逆境にもへこたれない主人公(時たま歯がゆくなる時もあるが)の姿に、似たような境遇の諸姉は、勇気をもらえるかも。

hongoh-遊民さんのレビュー

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2.『結婚相手は抽選で』 垣谷作品初のTVドラマ化作品

2010年刊行の作品で、2014年に文庫化されました。2018年10月に東海テレビにてドラマ化され、人気を博しました。

垣谷美雨さん『結婚相手は抽選で (双葉文庫)
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あらすじ

少子化対策のため「抽選見合い結婚法」が施行されることになった。相手が気に入らない場合は断ることができるが、三回パスしたらテロ撲滅隊送りになる。だが、この強制的な見合いに、モテないオタク青年は万々歳、田舎で母親と地味に暮らす看護師は、チャンスとばかりに単身東京へ。慌てて恋人に結婚を迫るも、あっさりかわされてしまう女性もいて…。それぞれのお見合い事情をコミカルかつ、ハートウォーミングに描いた長編小説。

オススメのポイント!

深刻な少子高齢社会日本……現実を髣髴とさせる舞台で設定された無茶な法律「抽選見合い結婚法」。けれども20~30代の男女がそれぞれの思惑で見合いに取り組んでいく姿には笑いを禁じえません。ところが読み手は物語を読み進めていくにつれて、様々な現実の価値観を実感することになるでしょう。ifの世界が浮き彫りにするのは、人や家族の関係性であり、そこに向き合う人間の強さと弱さ。垣谷さんの作品全般に通底するテーマがここにあります。

とんでもない法律が出来たという設定。垣谷さんの本はやはり面白いなぁ。
法律に振り回されながらも、それぞれが母娘問題や自分自身の生き方、価値観を見つめなおしたり法律がなければ経験しないままだった事を経験して人との関わりにおいての自分が成長できたり。
それぞれの希望ある未来が見える終わり方も良かったです。

有さんのレビュー

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3.『リセット』 40代の女性たちがタイムスリップで人生をリセット?

2008年刊行、2010年に文庫化された作品です。垣谷さんの出世作の一つで、この作品の名前を知っているかたも多いかもしれませんね。

垣谷美雨さん『リセット (双葉文庫)
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あらすじ

ぼんやりした不安と不満を抱え、それでも平凡に暮らしていた三人の女性が、突然、高校時代にタイムスリップさせられてしまう。”未来の想い出”がリプレイされる毎日は、彼女たちの意識を少しずつ変えていく。そしていま、再び新しい人生へ!人生は変えられることを教えてくれる長編if小説。文庫特別収録。著者インタビュー「文庫刊行によせて」。

オススメのポイント!

タイムスリップものは数あれど、垣谷さんの『リセット』では女性特有の問題、悩みが浮かび上がってきます。三人の女性がみな念願を成就する一方で、彼女たちそれぞれが向き合うことになるのは、自身の母の姿。青春真っ盛りのさなかには見えてこないものと向き合うとき、人生のほろ苦さを味わうことになります。そのほろ苦さは、読み手のみなさんがたもきっと共有できることになるはずです。タイムスリップといえば若者向け小説、と思う人にこそ読んでほしい一冊です。

人生をやり直せたらどんなにいいか。そう思う人は多いと思います。この物語の主人公の知子、薫、晴美の三人もそう思っていました。それが「遠来の客」という店のおかげで30年前の高校三年生に戻ることができました。その後の人生が良かったのか。女性の生きにくいパターンがうまく書かれています。解説を読んで、元SEということで親近感もわきました。隣の芝生は青かったのか、知りたければ是非本書を読んでみるべきです。この本を読んで、人生が変わる人もいるのではないかと思いました。

takep07さんのレビュー

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4.『竜巻ガール』小説推理新人賞を受賞した、著者のデビュー短編集

2006年刊行、2009年に文庫化されています。双葉社の主催する第27回小説推理新人賞を受賞したことで刊行された、垣谷美雨さんのデビュー作となる短編小説集です。

垣谷美雨さん『竜巻ガール (双葉文庫)
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あらすじ

父親の再婚相手の連れ子と同居することになった高校二年生の哲夫。なんと義妹は同学年のガングロ娘だった!その日から破天荒で過激な彼女に翻弄される日々が始まる…。第27回小説推理新人賞を受賞した表題作の他、浮気性で能天気な夫を捨てた母、川で溺れる男を置き去りにして逃げた愛人、一回り年下の中国人の夫の秘密を見つけ心乱す妻など、トラブルに巻き込まれても軽やかに生きる女性たちを描いたデビュー短編集。

オススメのポイント!

最近の垣谷さんの作品にも通底するものを見て取れるデビュー小説です。小説推理小説賞を受賞した表題作「竜巻ガール」をはじめ、四篇の短編それぞれ、ちょっとした変人と愉快な仲間たちが織り成すワケあり男女関係が描かれます。どの作品も「え!?」と思わせるシーンが。そして女性のしたたかさと、男性のダメさをいやがおうにも感じさせてくれます。短編小説が多く、時間がないときでも読みすすめやすいのもポイントです。

著者のデビュー作

淡々と進むストーリーと、少し毒のある描写。他の作品は設定の奇抜さが際立っているけれど、それに比べればこちらはあくまで日常の風景という感じ。とはいえ決して平凡というわけでもない。女の人ってこわい。こういうありえない中のリアルが作者の持ち味なのだと思う。すごく共感できる心情もあって(とくに渦潮ウーマン)、また新作が出たら読みたい作家さんのひとり。

ロカ★トンさんのレビュー

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5.『あなたの人生、片づけます』 断捨離・片付けを通じて見える人生とは?

2013年刊行、2016年に文庫化されました。ブクログのユーザーから非常に高い評価を得ている作品です。

垣谷美雨さん『あなたの人生、片づけます (双葉文庫)
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あらすじ

社内不倫に疲れた30代OL、妻に先立たれた老人、子供に見捨てられた資産家老女、ある一部屋だけを掃除する汚部屋主婦……。『部屋を片づけられない人間は、心に問題がある』と考えている片づけ屋・大庭十萬里は、原因を探りながら手助けをしていく。この本を読んだら、きっとあなたも断捨離したくなる!

オススメのポイント!

片づけ屋の主人公、大庭十萬里が「片付けられない」4人を診断し、向き合い、おせっかいなほど付き合いを続けていくことで、モノを捨てられない人々の心の飢えや渇きに気付いていく―。つまり、断捨離や片付けをめぐる物語というだけではありません。辛さと向き合う勇気や、記憶の清算などを示す、人の根本的な苦悩と相対する作品なのです。そのテーマの大きさが読者から高く評価されています。

どんな片づけの実用書よりこの小説を読むのが一番効果的!人が本当に断捨離したいのは心の中なのかもしれません。生きていると色んな事があります。いつの間にか心の中が荷物でいっぱいになっていて、それがどんどん自分を追い込み苦しめている。この本を読みながら共感したり、思い当たる事があったり、ハッとさせられたり…そーしながら自分の心の在り方を見つけた様な気がします!そう!読んでる中で自然とそういう気持ちになれたんです。焦らなくていい!少しずつ整理する事で心も部屋もいるものといらないものが見えてきて本当に必要なものだけを大事にして生きていけるように…

chiru1104さんのレビュー

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いかがでしたでしょうか?垣谷さんは他にも沢山の佳作を執筆しており、ここで挙げた以外にも注目作はたくさんあります。各作品で扱う好みのテーマを見つけて、ぜひ読んでみてくださいね。