第6回ブクログ大賞海外小説部門ノミネート5作品を一挙ご紹介!『フロスト始末』『もうひとつのワンダー』『もののあはれ』『わたしの名前は「本」』『13・67』

ブクログ大賞が始まりました!

みなさんの投票で決まるブクログ大賞ですが、「ノミネートされている作品、読んだことないし投票しづらいなあ」と思われている方がいらっしゃるかもしれません。

前回は人文・自然科学部門ノミネート5作品をレビューいたしました。今回は粒ぞろいの海外小説部門ノミネート5作品をご紹介します!

そもそも、ブクログ大賞のノミネート作品って、どうやって選んでいるの?

2017年5月1日から2018年7月31日の期間に発売された日本語刊行書籍の中から、ブクログでの登録数・評価数をもとに各部門のノミネート作品を選出しています。

ぜひ内容紹介とユーザーレビューなどを見て参考にしてください!

ブクログ大賞海外小説部門ノミネート作品 著者:R・D・ウィングフィールドさん/訳:芹澤恵さん『フロスト始末』

R・D・ウィングフィールドさん『フロスト始末〈上〉 (創元推理文庫)
ブクログでレビューを見る

★ 4.14 本棚登録 : 296人

内容紹介 

あのフロスト警部がデントン署を去るときが来た?自らのヘマが招いた事態だが、マレット署長や新任の主任警部の目論み通りに追い出されるのは腹が立つ。警部は最後にどんな始末をつけるのか。人気警察小説シリーズの最終巻。

おすすめのレビュー!

 フロスト警部シリーズの惜しくも最終作。上巻。
 今回も、人手不足のデントン署に次から次へと事件が舞い込み、なぜかフロスト警部にお鉢がまわってくる。
 出世と世間体のことしか考えない警察上層部の叱責と、人は良いが能力のない部下の失態を下品なジョークで受け流し、小さなミスもなんのその、ワーカホリックのフロストは不眠不休で事件現場をかけずり回るが、捜査はどれも遅々として進まない。

 フロストが抱えている大小の事件が多すぎて、読んでいる方も混乱し、フロストと同じように頭の中に霧がかかったように疲弊してくるが、これがこのシリーズの醍醐味で、この疲労感のまま漂い続けていたい気になってくる。
 失踪事件のひとつがやっと進展を見せたところで上巻は終了。残り下巻でこのシリーズを読めるのも終わりかと思うと寂しくなる。

snowtopさんのレビュー


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ブクログ大賞海外小説部門ノミネート作品 著者:R・J・パラシオさん/訳:中井はるのさん『もうひとつのワンダー』

R・J・パラシオさん『もうひとつのワンダー

★4.28 本棚登録 : 242人

内容紹介

なぜジュリアンは、オーガストをいじめたのか―。前作『ワンダー』で語られることのなかったジュリアンの人物像を掘り下げた、信頼と思いやりの感動作の他、幼なじみのクリストファー、同級生のシャーロットの物語。

おすすめのレビュー!

ワンダーの続編!というよりはスピンオフ作品でした。ワンダーはオギーの話だったけどこの話はその周囲にいるひとたちの話で、ふつうの子たちのふつうの話なんだけど、だからこそありふれている悩みや葛藤が書かれていて私はこちらの方が共感できました。特にシャーロットの話は女子だったら経験があると思うし、最後はぐっときました。
ジュリアンはワンダーではただのいじめっこだったけど、彼なりにいろいろと考えがあって、しかも後日談もあったので良かったなあという思いです。

伽羅さんのレビュー


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ブクログ大賞海外小説部門ノミネート作品 著者:ケン・リュウさん/訳:古沢嘉通さん『もののあはれ (ケン・リュウ短篇傑作集2)』

ケン・リュウさん『もののあはれ (ケン・リュウ短篇傑作集2)

★4.05 本棚登録 : 233人

内容紹介

地球の危機が迫る中、人類は選抜された人々を世代宇宙船に乗せて宇宙へ送り出した。宇宙船が危機的状況に陥ったとき、日本人乗組員の清水大翔が至った決断とは─ヒューゴー賞受賞の表題作含め、心揺さぶる全8篇を収録した短編集。

おすすめのレビュー!

世界一コンプレックスを繊細に描写できるSF作家がケン・リュウだと思う。

幼少期に祖母にかけた何気ない一言を祖母が亡くなった後も悔いて、「自分は決して優しくない人間なんだ」と自責の念に駆られる感情はトラウマにも似たコンプレックスだと思う。

憧憬とも嫌悪感とも違う感情で産業革命期のアジアと西欧の関係性を描けるのは、中国系アメリカ人という立場の作家ならではだと思う。

同書の最後に収録された「よい狩りを」はファン人気の高い話らしいが、それも納得の完成度。「自分が正しいと思っていること」を疑う勇気と、あらゆる描写に隠喩表現が付き纏っているかのようなストーリーが素晴らしい。読む度に新しい発見がありそうだ。

kzmharaさんのレビュー


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ブクログ大賞海外小説部門ノミネート作品 著者:ジョン・アガードさん/訳:金原瑞人さん『わたしの名前は「本」』

ジョン・アガードさん『わたしの名前は「本」

★ 4.09 本棚登録 : 252人

内容紹介

伝えること、読むこと、書くこと、広めること、残すこと。音や声が言葉となって、文字として記され、束ねられ綴じられて「本」となり、わたしたちの手でページが開かれるまで。「本」が語る、長い長い冒険譚。

おすすめのレビュー!

「わたしの名前は本。これからわたしの物語をしよう。」

そして本は語りだす。自らのながい一生、否、半生。気の遠くなるような、本が辿ってきた歴史を。

「本の前に、息があった。」

しかし物語は、まだ文字が生まれていなかった時代、本が形をもたなかった時代から始まる。知識や物語は人々のあいだで口伝えで伝えられ、記の力に頼っていた。

「人々はわたしを頭のなかに置いて、口で語った。」

やがて5000年ほど前、古代メソポタミア・シュメール人によって文字が発明され――。

本書の総ページ数は140枚ほど。しかしこの小さな本のなかには、5000年以上の歳月が流れている。
なんというポエティック!! ロマンティック!!
詩的な文章、古典からの一文、伝承、著名人の言葉からの引用とポップなイラストも盛りだくさんで、本好きな方には、ぜひ一度手に取って頂きたい出色の一冊。

inarixさんのレビュー


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ブクログ大賞海外小説部門ノミネート作品 著者:陳浩基さん/訳:天野健太郎さん『13・67』

陳浩基さん『13・67

★ 4.29 本棚登録 : 531人

内容紹介

2013年から1967年へ、一人の名刑事の警察人生をさかのぼりながら、香港社会の変化をたどる逆年代記形式の本格ミステリー。香港社会の節目ごとに物語を配する構成により、社会派ミステリーとしても楽しめる。

おすすめのレビュー!

うーん、上手いなぁ。
バッターボックスに立ち、見せかけのボール球を楽々見逃し。その後に来る変化球をこれだ!と思いフルスイングするも見事に空振り。そして、思いもよらないところから飛んでくる球を呆然と見逃してしまう。

この小説は、6編から成り、1人の警察官の人生を遡りながら、香港の歴史をなぞっていく。私には香港の歴史のことはよくわからないが、それでも、単にミステリに留まることなく、本書に深みを与える役割を果たしている。

この壮大な物語を読んで、まず思ったことは、なぜ短編集なのかということ。長編だったらどれだけ面白いのかと興味を持った。しかし、この構成は長編を読むよりも価値があることかもしれない。それだけ見事だ。
そして、翻訳モノが嫌いなミステリ好きな方にも是非読んでいただきたい。損はしない一冊だ。

ひとしさんのレビュー


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投票締切は来週10月22日(月)終日です!みなさんのふるってのご投票お待ちしております!!