女性視点の防災ブック『東京くらし防災』がすごい!―東京都無料配布小冊子

『東京くらし防災』内容紹介

こんにちは、ブクログ通信です。

3月11日が近づいてきました。東日本大震災から7年。震度3~4の地震も頻繁に起こっており、常日頃からの防災意識が求められています。

そんな中、3月1日に女性の味方となる小冊子、『東京くらし防災』が東京都から発行されました。

女性のための防災本『東京くらし防災』
防災本『東京くらし防災』は電子書籍版(Kindle)無料です

東京都によれば、「女性の防災への参画を促すとともに、都民の一層きめ細やかな災害への備えを促進することを目的として、女性の視点から防災ブック「東京くらし防災」を作成しました」(「女性視点の防災ブック「東京くらし防災」について」)。B6判、164ページの小冊子です。

以前にも東京都の刊行物として東京都総務局総合防災部防災管理課から『東京防災』が発行されましたが、今回の『東京くらし防災』も同じ部署から発行されており、信頼度は折り紙つき。東京都発行の防災ブック第二弾ですね。さらに、お近くの公共機関や協力店などで、無料配布されています(「『東京くらし防災」』置場所」)。

ではこの無料小冊子、どんなところが優れているのでしょうか?見ていきましょう。

女性視点の防災ブック

『東京くらし防災』引用部
『東京くらし防災』

『東京防災』と比べて際立つのは、『東京都くらし防災』が「女性視点の防災ブック」であることです。

事実、東日本大震災や熊本地震において、女性特有の悩みが多くのメディアで報じられました。それらの意見をもとに「トイレでできる防災」や、「子供と備える防災」など多くの実践的なアドバイスが収録されています。

例えば、お手洗いが流せなくなるときのための「おむつ用消臭袋」を用意しておくこと。子供と災害のときの待ち合わせ場所を打ち合わせ、公衆電話の使い方を教えておくこと。避難所でも犯罪に巻き込まれないように複数人で行動し、見張りを立てておくこと。

普段から防災に気をつけている人でも、「子育て」「トイレ」「避難所」について、盲点がたくさんあることが一読して分かります。

大事なことが簡潔に、要点と一緒に書いてある

さらに本の構成についてご紹介します。

冒頭の「いますぐできる! 15のこと」は、「カーテンを閉めて寝る」ことが窓ガラスの飛散によるケガを防ぐなど、いつもの暮らしの中で始めやすい実践的アドバイスが語られています。あらゆることが防災につながることに気付かされるのです。

第1章「はじめよう、たすかる暮らし方」は日々の暮らしの中で実践できる事前の備えについて教えます。調理器具を出しっぱなしにしない(包丁が落ちたり飛んできたりするケースがある)。日常品は一品多く買っておく(大災害で流通が止まることがある)。アロマキャンドルやオイル容器は割れない素材にしておく、など─いざというときに困らないアドバイスが多数あります。

第2章「覚えておこう、発災時の基礎知識」は、落ちついて行動するための知恵と知識が示されています。地震が起きたとき、オフィスやキッチン、路上や地下街、それぞれの場面で有効な対策とは。帰宅困難になったらどうするか。SNSの情報に踊らされないためには。なんと、弾道ミサイルによる武力攻撃を受けたときの行動についても書かれています。ミサイルが近くに落下したらどうしましょう?簡潔ながら、対処法が書かれているのです。

第3章「想定しよう、被災後の暮らし方」は、被災後の状況安全・安心に生きるための対応術が説かれている章です。被災後、避難所ではなく自宅待機していたほうが安全なケースもあります。在宅避難については安心して過ごせるスペースを作ることや、カセットコンロで米を炊く仕方、蒸しパン・パスタを作る調理法まで書かれています。避難所では安全な生活や、女性が特に気をつけるポイントなどが注記されています。ペットとの接し方、生活再建のヒントも大事です。

これらの内容が、東日本大震災や熊本地震で被災した方々の声も紹介されて作られています。東京都発行の本ですが、もちろん日本全国で住む人すべてが参考にできる情報が詰まっているのです。

無料配布、PDF無料閲覧も可能

先に述べたように、『東京くらし防災』は公共機関や協力店などの「『東京くらし防災」』置場所で、無料で配布されています。前作『東京防災』は東京都庁や都刊行物取扱い書店といった場所など、購入できる場所が少なかったのですが、今回は非常に多くの場所で入手できます。100万部刷られているそうですから、極端な品薄はなさそうです。

また、今回もネット上からPDFファイルによって『東京くらし防災』の無料閲覧が可能です(「東京くらし防災」の閲覧はこちら」)。ネット等で小冊子が転売されるケースも見受けられますが、高額購入することは避けたほうがよいでしょう。

『東京防災』
『東京防災』も電子書籍版が無料でした

いかがでしたか。ぜひ、『東京くらし防災』を手にとってみてくださいね。日ごろからの準備に役立つよう願ってやみません。

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ブクログ通信「地震を知り、防災を知る─地震に対処するために読んでおきたい5冊」(2018年1月5日)

関連リンク

『東京くらし防災』トップページ|東京都防災ホームページ
防災ブック『東京防災』|東京都防災ホームページ
防災情報のページ 内閣府
リスク対策.com「東京都女性向け防災イベントに約500人」