2017年ノーベル文学賞受賞者、カズオ・イシグロさんの来歴とその代表作をご紹介!【関連リンク集】

2017年度のノーベル文学賞は、カズオ・イシグロさんが受賞しました!受賞理由は、「偉大な感情の力をもつ諸小説作において、世界と繋がっているわたしたちの感覚が幻想的なものでしかないという、その奥底を明らかにした」(”who, in novels of great emotional force, has uncovered the abyss beneath our illusory sense of connection with the world”.)。

事前の予想サイトなどでもほぼ候補に上がっておらず、みなさんのみならず、出版関係者、書店員さんなども予想外の出来事に驚いていたのではないでしょうか。

カズオ・イシグロさん

From wikimedia Commons/File:Kazuo_Ishiguro_by_Kubik.JPG, 09:00, 16 September 2016, Author:Mariusz Kubik
License=CC BY-SA 2.5
1954年11月8日、長崎県長崎市生まれ。5歳のときに父の仕事の関係で日本を離れて、帰化し、現在は日系イギリス人としてロンドンに住んでいます。日本語は聴き取ることはある程度可能ですが、ほとんど話すことができないそうです。ケント大学卒業後、イースト・アングリア大学大学院創作学科に進学。批評家・作家のマルカム・ブラッドリの指導を受けています。
1982年のデビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年『浮世の画家』でウィットブレッド賞、1989年『日の名残り』でブッカー賞を受賞し、これが代表作に挙げられています。映画化もされた代表作、2005年『わたしを離さないで』は、Time誌において文学史上のオールタイムベスト100に選ばれ、日本では「キノベス!」1位を受賞しています。直近の著作は、2015年発行の『忘れられた巨人』です。

なお12月6日に、ストックホルム:スウェーデン・アカデミーでカズオ・イシグロさんが記者会見を行いましたので内容を加筆します。自らの一部が日本人であることは様々な機会でふれており、英国に滞在しつつ日本人家庭で育ったことが制作に欠かせないことを話しています。カズオ・イシグロさんの母親は長崎で被爆した経験があると述べ、ノーベル平和賞で国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(International Campaign to Abolish Nuclear Weapons 略称:ICAN=アイキャン)が選ばれたことは喜ばしい、と述べました。

注目しているテーマは「人工知能」であり、その発展は人類にいかなる意味をもたらすかを考えているそう。現在執筆中の小説があるそうですが、その一方では米国の出版社と漫画の創作について話し合っているとも。ノーベル賞受賞後の一作目が漫画ではまずいので執筆中の小説を書き上げないと、と話したそうです。

ノーベル賞の授賞式は、ノーベルの命日にあたる12月10日に行われます。カズオ・イシグロさんの受賞講演が楽しみですね。

なおNHKで2015年放送された、カズオ・イシグロさんの文学白熱教室のDVD化が決定! NHKエンタープライズから2018年2月9日発売です(2018年1月5日加筆)。

参考リンク

日本経済新聞 カズオ・イシグロさん会見 「世界の分断埋めたい」
朝日新聞 カズオ・イシグロさんが会見 日本語で「すみません」
読売新聞 イシグロさん、日本は「私を受け入れてくれた」
毎日新聞 カズオ・イシグロさんが会見 ノーベル文学賞 イシグロさん「世界の分断埋める仕事を」
産経新聞 「世界の人々をつなげる賞で大変名誉」 ノーベル文学賞のカズオ・イシグロさんが記者会見

(2017/10/5執筆、2018/1/5加筆)

カズオ・イシグロさんの作品一覧

代表著作

小説の可能性について、あるいは村上春樹氏についてのカズオ・イシグロさんとの対話が以下の本に収められています。

なお、最新作『忘れられた巨人』は10月19日に文庫化が決定しています!
→10月14日に前倒しで入荷・販売開始することに決まりました!(2017年10月10日追記)

なお、カズオ・イシグロさんの文学白熱教室のDVD化が決定! NHKエンタープライズから2018年2月9日発売です(2018年1月5日追記)。

参考リンク

・ノーベル賞公式サイト(英語)
https://www.nobelprize.org/

・「キノベス!」2006年
https://www.kinokuniya.co.jp/01f/kinobes/kinobes2006.htm

・『日経ビジネスオンライン』
石黒千賀子「カズオ・イシグロ ノーベル文学賞決定後の会見の全記録(前)」(2017年10月10日)