【おくやみ】名著『きいろいばけつ』著者、児童文学作家・森山京さん逝去

森山京(もりやまみやこ)さんの逝去 代表作『きいろいばけつ』著者

2018年1月7日、『きいろいばけつ』で知られる児童文学作家、森山京(もりやま・みやこ)さんが、脳出血のため亡くなったことが各誌で報じられています。88歳でした。ご冥福をお祈りします。

(2018年5月10日最終更新)

朝日新聞「児童文学作家の森山京さんが死去 きつねの子シリーズ」(2018年1月10日)
日本経済新聞「森山京さんが死去 児童文学作家 」(2018年1月10日)
オリコンニュース「児童文学作家・森山京さん脳出血のため死去 『きつねの子』シリーズなど」(2018年1月10日)

森山京(もりやま・みやこ)さん 1929年7月10日 – 2018年1月7日

東京都生まれ。兵庫県立福崎高等女学校卒業(現・兵庫県立福崎高等学校)、神戸女学院大学中退。大阪阪急百貨店宣伝部勤務を経てフリーのコピーライターとなり、日本デザインセンターで活動。のちに創作を開始し、児童文学の執筆、絵本の文章と翻訳に関わる。

コピーライターとしての活動期、1963年から化粧品「マダム・ジュジュ」シリーズを通じて「25才はお肌の曲がり角」という化粧品の宣伝コピーを生み出し、TVやCMを通じて大きな反響を集めました(参考:レファレンス協同データベース「『25歳はお肌の曲がり角』のキャッチコピーが使われ始めたのはいつか」)。

作家として、デビュー作の1968年『こりすが五ひき』で講談社児童文学新人賞佳作入選。その後すぐに出産による活動の空白期がありましたが、作家活動を再開してから精力的に作品を生み出し続けました。1983年、『ねこのしゃしんかん』でボローニャ国際児童図書展エルバ賞特別賞受賞。1989年『きつねのこ』シリーズで路傍の石幼少年文学賞、1990年『あしたもよかった』で小学館文学賞、1996年『まねやのオイラ旅ねこ道中』で野間児童文芸賞、1999年『パンやのくまちゃん』でひろすけ童話賞、2009年『ハナと寺子屋のなかまたち』で赤い鳥文学賞を受賞。

2014年、日本児童文芸家協会から児童文化功労者として表彰。2017年7月に発行された『リンちゃんとネネコさん』が遺作となりました。

森山京さんの代表作 「きつねの子」シリーズ『きいろいばけつ』

多くの絵本作品の文章を担当していますが、特に知られているのが光村図書・小学校2年生の国語教科書(平成17年以降使用分)にも採用された『きいろいばけつ』(絵=つちだよしはるさん)でした。

第11回路傍の石・幼少年文学賞を受賞したあかね書房の「きつねの子」シリーズ一番の人気作です。みなさん読んだ記憶のある方も多いのではないでしょうか。教科書掲載作は大人になってから読み直しても非常に趣深いものが多く、機会があればぜひ手にとっていただければと思います。

そんな、まさか・・幼年童話で泣くなんて。ところが、そのまさかの事態が起きたのだ。ラスト、72ページ目で涙がぶわっと出てしまい、その後は何も読めなくなってしまった。小2の教科書にも採り上げられているし、夏の課題図書にもなったことがあるので、ご存知の方も多いかもしれない。
(中略)
童話とはいえ75ページもあり、すべての見開きページに挿絵が描かれている。このお話しにはこの挿絵以外あり得ないと思うほど可愛い絵だ。ためらいや戸惑い、恥ずかしがる顔やどきどきする嬉しさ、どれもストレートに伝わってくる。起承転結もきっちりとしているので、小2でなくても読み聞かせに出来るだろう。約15分。5,6歳からOKかな。子どもの頃に抱いた待つことの喜びと憧れを、はるかな気持ちで思い出す幼年童話の傑作。

nejidonさんのレビュー

野間児童文芸賞受賞作として知られているのが『まねやのオイラ旅ねこ道中』です。

他にも多くの著作・翻訳作を残していますが「もりやまみやこ」「森山京」、ふたつの名義を使い分けています。書店やネットで本を検索するときは、どちらも試してみてくださいね。

これからも森山京さんの著作・翻訳作が多くの人に読まれることを願ってやみません。

参考リンク

朝日新聞「児童文学作家の森山京さんが死去 きつねの子シリーズ」(2018年1月10日)
日本経済新聞「森山京さんが死去 児童文学作家 」(2018年1月10日)
オリコンニュース「児童文学作家・森山京さん脳出血のため死去 『きつねの子』シリーズなど」(2018年1月10日)
光村図書「教科書クロニクル」