どの原作を読む!?4月放送TVドラマ「モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―」ディーン・フジオカさん主演・主題歌作

『モンテ・クリスト伯』の翻訳お薦めは?あらすじ・入門などご紹介

こんにちは、ブクログ通信です。

4月19日から、ドラマ「モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―」が放送開始になりますね。日本でも『巌窟王(がんくつおう)』として知られる『モンテ・クリスト伯』(『モンテ=クリスト伯』)を原案にした復讐劇です。

ドラマ「モンテ・クリスト伯」の主演にして、自ら作詞した主題歌『Echo』を歌いあげるのがディーン・フジオカさん。復讐心を隠しながら、誰よりも洗練されたルックスの男に、クールで知的な印象の強いディーンさんが最適と見込まれたのがキャスティングの理由だそう。

さてドラマを観るまえに、奥行きを楽しむためにどんな本を読めばいいのでしょうか。日本で作品が昔から親しまれてきたゆえに、様々な入門書や翻訳が発売されています。どれが読みやすいのでしょうか?おすすめの本をご紹介します。

『モンテ・クリスト伯』あらすじと背景

無実の罪によって投獄された若者ダンテスは、14年間の忍耐と努力、一緒に投獄されていたファリア神父の手引きによって脱獄に成功。神父の教えからモンテ・クリスト島の宝を手に入れたが、かつての婚約者は奪われ、父が亡くなっていたことを知る。無実の罪を着せたダングラール、フェルナン、ヴィルフォールらの出世を知り、復讐計画を進める。それから9年後、ダンテスはイタリアの伯爵モンテ・クリスト伯となり、とうとう活動を開始する―。

アレクサンドル・デュマ(大デュマ)による『モンテ・クリスト伯』(Le Comte de Monte-Cristo)は元々、1844年から46年、フランスで新聞小説として連載された作品でした。当時、新聞は購読者を集めるために小説掲載を始めた時期。その動向に乗って連載を始めたデュマは、連載で小さな山場と謎を沢山つくり、次回を読ませたくなる手法によって人気となります。単行本は当時のフランスにおいても大ベストセラーとなったそう。その報酬から、デュマは「モンテ・クリスト城」と呼ばれる豪邸を作ったとも言われています。

日本でも早くから『史外史伝巌窟王』(翻案・黒岩涙香)という形で1901年(明治34年)から当時の日刊新聞『萬朝報』に連載され、1905年に単行本が刊行。日本で『巌窟王』が有名になったのは、この翻案に由来するものです。

入門書におすすめな本は―?

原作『モンテ・クリスト伯』はかなり長大なもので、すべてを読むには相当の時間がないと難しいかもしれません。では、あらすじを追うための最初の一冊目として適しているものはあるのでしょうか?

まず、易しさと正統さをあわせもつ一冊が、かつて2013年に放送された「100分 de 名著」のテキストです。『モンテ・クリスト伯』を時代背景からゆっくり説き起こし、作者デュマのことにふれながら、長大な原作を1冊だけで解説しています。現在時点、新刊書店で手に入れるのはやや難しいかもしれませんが、古本がかなり出回っています。

コミック化も度々なされていますが、原作の忠実度と、要約として優れているのがこのコミック版です。展開がかなり速くなっていますが、美麗な絵で、非常に読ませる一冊となっています。物語の全体像を押さえるために、一番適しています。ドラマを観るのに最低限必要な前提知識として、十分です。作者森山絵凪さんは、新作『この愛は、異端。』でも人気を博しています。

手に入れやすく、読みやすい翻訳

多くの翻訳が発売されていますが、手に入れやすいものを2点後紹介します。まず、原作の完訳と読みやすさで定評があるのは岩波文庫版です。他方で、要約版として評価されているのが講談社青い鳥文庫版となっています。

全七巻での発売で、読み進めるのに時間がかかると思われそうですが、訳文が平易なのでページ数に比べると読みやすさが際立ちます。1巻目には訳者による原作解説が掲載されており、原作をより楽しむために必読ですね。

日本で古くから親しまれている『岩窟王』が翻訳タイトル。岩波文庫版で全7巻だった本を、要約して一冊にまとめています(抄訳版)。「講談社青い鳥文庫」は児童書レーベルとして有名で、多くの有名作がここから翻訳されました。展開が駆け足になっていることで分かりやすさが犠牲になっている箇所もありますが、原作を把握するために適した翻訳となっています。

ドラマ開始前に、ぜひこれらの本をチェックしておいてくださいね。

参考リンク

ドラマ「モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―」公式サイト
ドラマ「モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―」公式Twitter
NHK「100分 de 名著」「おもわく」『モンテ・クリスト伯』