【NHK「100分 de 名著」で話題!】あなたが寄り添える幸福論を探してみませんか?ラッセル、アラン、ヒルティの『幸福論』をご紹介&総ざらい!

こんにちは、ブクログ通信です。

NHK Eテレで放送されている人気番組「100分 de 名著」の2017年11月度は、ラッセル『幸福論』を取り上げています。講師は、難しい哲学の教えをわかりやすく広めることで定評のある、小川仁志さん。11月6日に第1回放送があってから、ラッセル『幸福論』に関心を抱くかたが増えているようです。

今回の「ブクログ通信」では、この『幸福論』をご紹介します。この古典は何種類かの翻訳がありますが、手に入れやすい翻訳を見比べていきましょう。そして、ラッセル以外のひとが執筆した幸福論の名著もご紹介します。「幸福」は古くから哲学のテーマのひとつで、多くの哲学者が言及してきました。小川仁志さんは世界三大幸福論として、ラッセルだけでなく、フランスの文学者・哲学者アラン、そしてスイスの哲学者ヒルティの『幸福論』の名をあげています。それら名著も一緒にご紹介していきましょう。

いろいろな哲学者のことばを比べたり、噛み砕いたりしながら、自分が寄りそえる幸福論を探してみませんか?

ラッセル『幸福論』

ラッセルは、イギリスの著名な哲学者として、論理学や数学について業績を残しました。平和運動や核廃絶運動にも積極的に関わっており、1950年にはさまざまな業績と活動が評価されてノーベル文学賞を受賞しています。その彼が58歳のときに書いた哲学的エッセイが『幸福論』です。

小川仁志さんのNHKテキスト「はじめに」解説によれば、ラッセルの幸福についての根本には、「幸福とは待っていれば向こうからやってくるものではなく、自ら獲得すべき能動的な営みである」という思想があります。そして他の哲学者の思想と比べたときの特徴として、「外に目を向けることの大切さを説き、実際の行動を最も重視すること、また精神論にとどまらない論理性を備えている点」があるそうです。手に入れやすい翻訳を2種類紹介します。

たいへん古典的で名の知られた名著ラッセル『幸福論』は、いくつもの翻訳が出ています。一番読まれている翻訳は、岩波文庫の翻訳です。言語学者・英語学者、安藤貞雄さんが翻訳者ですが、2017年3月に89歳で逝去されました。

なお角川ソフィア文庫から10月に翻訳が刊行されています。1952年、評論家として活躍された故・堀秀彦さんが記した翻訳を、現代仮名遣いにあらため、新版として発売したものです。また新版にあたって、「100分 de 名著」講師の小川仁志さんが解説を記しました。

ラッセル『幸福論』定番の翻訳とされているのは岩波文庫で、日ごろから文章を読みなれている人はこちらを選ぶことが多いよう。翻訳が多数出ている場合は、定訳が岩波文庫とされることが多々あります。信頼と実績ある岩波書店からの発行物であること、そしてほとんどの翻訳は専門の研究者が関わっていることが多いからでしょう。対して角川ソフィア文庫版は、訳者堀秀彦さんの解説と要約に、小川さんによる解説がポイントで、それぞれの章の簡単な要約も付されているので本を普段読まない人でも接しやすい内容です。迷うかたがいたら、見比べて、読みやすい翻訳を選んでみてはいかがでしょう。

アラン『幸福論』

ラッセルの『幸福論』だけでなく、他の哲学者による幸福論にも目を向けてみましょう。

ラッセルと同じく世界三大幸福論のひとつに挙げられるアランの『幸福論』は、「くじけることのない楽観主義」が特徴です。有名なことばに、「われわれは現在だけを耐え忍べばよい。 過去にも未来にも苦しむ必要はない。 過去はもう存在しないし、 未来はまだ存在していないのだから」というものがあります。共感する方は、手にとってみてはいかがでしょう? この本は「100分 de 名著」の2011年11月度で取り上げられたこともありました。当時の講師は、フランス哲学・思想の研究者、合田正人さん。

こちらも定訳とされているのは岩波文庫版です。訳者の神谷幹夫さんは長年アランに取り組んでいる研究者です。

集英社文庫からも敷居の低い翻訳が出されています。1961年にフランス文学者の故・白井健三郎さんが翻訳した版の新版です。

アラン『幸福論』も定訳として岩波文庫版がよく取り上げられますが、集英社文庫版のほうが比較的書店で手に入りやすく、読書に慣れていない人にやさしい作りになっているようです。ここに挙げていないものでも手に取れる種類が多いので、図書館や書店で一度読んでみて、自分に合うものを選ぶのがよいかもしれません。

ヒルティ『幸福論』

ヒルティの『幸福論』もまた世界三大幸福論のひとつに挙げられており、「信仰や信念を持って生きることが幸福につながる」、という姿勢が特徴です。例えば、名言のひとつに「我を忘れて自分の仕事に完全に没頭することのできる働き人は、最も幸福である」というものがあります。

興味のある方は、白水社の翻訳がおすすめです。翻訳は、ニーチェの翻訳を多数記したことでもしられるドイツ文学者、故・氷上英廣さん。白水社で刊行していた『ヒルティ全集』に収録されていたものを、新版として出版したものです。

また2017年12月、角川ソフィア文庫から新版が発行されます。ヒルティの『幸福論』三部作から、第一部「幸福論」(初版昭和29年刊)と第二部の一部を「人生論」(昭和31年刊)としてまとめた、新・抄訳版となります。全文翻訳ではないことにご注意ください。新版の解説は鷲田小彌太さん。

色々な幸福論を紹介してきましたが、興味の持てそうな幸福論とその翻訳は見つかりましたでしょうか?読書の助けになればうれしく思います。

なお「100分 de 名著」2017年11月度講師の小川仁志さんは、三大幸福論についての解説・入門書も記しています。11月13日時点でやや新刊の入手が難しくなっていますが、電子書籍・古本で手に入れることができるようです。興味のある方は手にとってみてはいかがでしょうか。

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参考リンク

「NHKオンライン」:NHK「100分 de 名著」公式ページ
「NHKオンライン」:NHK「100分 de 名著」「おもわく」