奇跡のコラボ!?『小説X』(小学館)⇔『ルビンの壺が割れた』(新潮社)公開往復書簡開始!蘇部健一さんから宿野かほるさんへ

こんにちは、ブクログ通信です。

無料で小説の全文を公開し、そのタイトルを公募する、小学館『小説X』企画。11月17日(金)に渦中の蘇部健一さん小学館担当編集者に独占インタビューを実施し、12月13日(水)には波乱のタイトル選考会の模様をレポートさせていただきました。選考会でノミネートされた10タイトルの中から読者のWeb投票でタイトルが決定へ!そのWeb投票はさる12月19日(火)に無事締め切られました。

さて、正式タイトルはいったい何に決まるでしょうか?!発表は来年2018年1月9日(火)。そして1月12日(金)有料版の電子書籍を配信開始します。1月23日(火)には紙判の書籍を刊行する予定です!!

ことの発端

ところで、『小説X』の企画は、そもそも新潮社さんの『ルビンの壺が割れた』の発売前に行われた、全文無料公開企画をパク……インスパイアされたことから始まりました。
それから『小説X』の企画が進み、11月17日にブクログ通信が『小説X』のインタビュー記事を公開。それを読まれた新潮社さんから、こんなお言葉をいただいたのです……。

怒られるかと思いきや、応援してくださっている!このパクっ……インスパイア企画に対して新潮社さんはフトコロが深すぎる!とブクログ通信編集部一同、心から感動し、早速お返事をしました。

すると再び暖かなご返答が!

「便乗させてもらう」?……。これはもう、そのうっかり発言につけこむしかない!これも蘇部さんのため!と思ったブクログ通信編集部は早速、新潮社さんにこんなご提案をさせていただきました。

そして、なんと!!つけこんだ甲斐があって、蘇部健一さんと宿野かほるさんの公開往復書簡企画が実現することになりました!宿野かほるさんは年齢も性別も明かさない完全覆面作家のため直接の対談はかないませんでしたが、新潮社さんから取り計らいをしていただいた結果、宿野さんとのお手紙のやりとりは可能に!まさに『ルビンの壺が割れた』展開!

しかし新潮社広報宣伝担当者さんが好意的とはいえ、当の宿野かほるさんご自身はこのパクっ……インスパイア企画に怒っていないのか?まさかパクっ……インスパイアされた相手から届く手紙を快く思うのか?……一抹の不安を残しつつも、蘇部さんと小学館の担当編集さんにこの企画をお伝えしてみました。お二人はいつもの調子で快諾され、そして昨日、蘇部さんからの宿野さんにあてたお手紙が届きました。

蘇部健一さんから宿野かほるさんへ第一信 2017年12月22日

宿野かほる様

 突然のメッセージで驚かれたことと思います。失礼をお許しください。
『ルビンの壺が割れた』の大ヒット、おめでとうございます。
 それにしても、発売前に、全文無料公開という試み、まさに目から鱗の素晴らしい企画でした。
 新人作家さんがデビューしても、初版三千部があたりまえの時代に、一万人以上の人に無料で全文を読んでもらい、そのおもしろさを口コミでまわりの人に伝えてもらうだなんて、とんでもなく頭のいい人にしか思いつかない発想です。
 そして、その試みは見事に成功し、『ルビンの壺が割れた』は大ヒットしました。
 となれば、私の新作の刊行時期も偶然重なったので、その素晴らしい企画をやらない手はありません。
 ぐずぐずしていたら、他社に先を越されてしまいますし、この企画は、回を追うごとに読者にあきられてしまう危険性があります。
 もちろん、『ルビンの壺が割れた』のように帯のコピーを募集するわけにはいかないので、タイトルを公募する形にしました。
 すると、私どもの企画も、『ルビンの壺が割れた』ほどではありませんが、一万四千ダウンロード、一二六一通の応募という、かなりの成果をあげることができました。
 だからといって、これから発売される本がヒットする保証はありませんが、まずは上々のスタートを切ることができました。
 まるで運命かのように、ちょうど私の新作の刊行時期に、進むべき道を示してくださった宿野かほる様に、心より感謝しております。
 お返事はもちろんないものと承知しております。覆面作家の方からの返事はあるはずもありませんから。
 私の住んでいる町では、クリスマスのイルミネーションがとてもきれいです。
 貴方(もしくは貴女) の町ではどうでしょう。

蘇部健一

『ルビンの壺が割れた』を読んでいる読者ならニヤリとする第一信から始まりましたが、宿野かほるさんのお返事は果たして本当に届くのか?!乞うご期待!

『小説X』著者・蘇部健一さんとは?

1961年東京都生まれ。早稲田大学教育学部英語英文学科卒業。1997年『六枚のとんかつ』にて第三回メフィスト賞受賞デビュー。「バカミス」(※日本国内における推理小説の分類のひとつ。「おバカなミステリー」もしくは「バカバカしいミステリー」の略語)の代表作である『六枚のとんかつ』はその「ばかばかしさ」で賛否割れるものの絶賛の声も多い。「ミステリー界の異才」「異能作家」とも呼ばれる。デビュー作の系列に属するアイデア重視の推理短編の他、さまざまなジャンルを執筆刊行している。

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