「新書大賞2018」ついに発表!大賞から上位10タイトルの内容紹介と著者情報を一挙紹介!

こんにちはブクログ通信です。

今年で11回目を迎える「新書大賞2018」が決定しました!「新書大賞」は、中央公論新社が主催する1年間に刊行されたすべての新書から、その年「最高の一冊」を選ぶ賞です。今回の「新書大賞2018」では、2016年12月~2017年11月に刊行された1600点以上の新書を対象に、有識者、書店員、各社新書編集部、新聞記者など新書に造詣の深い方々86人に投票していただいた結果、前野ウルド浩太郎さん『バッタを倒しにアフリカへ』(光文社新書)が 大賞に輝きました! おめでとうございます!

それでは10位まで内容紹介・著者情報を一挙紹介いたします。どれも2017年話題の新書が目白押し。未読のものがあったら是非これを機会に手にとってみてください!また20位までのランキングと講評など詳細は2018年2月9日発売の『中央公論』3月号に掲載されています。是非こちらもチェックしてみてください。

2月9日発売!『中央公論』3月号にて発表!

また今回主催の中央公論新社「新書大賞」担当の工藤尚彦さんにインタビューを実施しました。「新書」の歴史から「新書大賞」創設の経緯、そして今回の「新書大賞2018」の意外な舞台裏までさまざまにお伺いしました。読めば「新書大賞」がよりわかる(!?)インタビューになっております。こちらもお見逃しなく!

[2018年2月9日]「新書大賞2018」の舞台裏!時代を映しながら時代を超える「新書」の魅力を歴史から振り返る――「新書大賞」担当工藤尚彦さん独占インタビュー!

新書大賞2018年

第1位 前野ウルド浩太郎さん『バッタを倒しにアフリカへ』(光文社新書)

内容紹介

バッタ被害を食い止めるため、バッタ博士は単身、モーリタニアへと旅立った。
それが、修羅への道とも知らずに……。
『孤独なバッタが群れるとき』の著者が贈る科学冒険ノンフィクション! 毎日出版文化賞受賞!

【本文より】
バッタの群れは海岸沿いを飛翔し続けていた。
夕方、日の光に赤みが増した頃、風向きが変わり、大群が進路を変え、
低空飛行で真正面から我々に向かって飛んできた。
大群の渦の中に車もろとも巻き込まれる。
翅音は悲鳴のように重苦しく大気を振るわせ、耳元を不気味な轟音がかすめていく。
このときを待っていた。
群れの暴走を食い止めるため、今こそ秘密兵器を繰り出すときだ。
さっそうと作業着を脱ぎ捨て、緑色の全身タイツに着替え、大群の前に躍り出る。
「さぁ、むさぼり喰うがよい」

著者:前野ウルド浩太郎(まえの・うるど・こうたろう)さんについて

昆虫学者(通称:バッタ博士)。1980年秋田県生まれ。国立研究開発法人国際農林水産業研究センター研究員。神戸大学大学院自然科学研究科博士課程修了。博士(農学)。京都大学白眉センター特定助教を経て、現職。アフリカで大発生し、農作物を食い荒らすサバクトビバッタの防除技術の開発に従事。モーリタニアでの研究活動が認められ、現地のミドルネーム「ウルド(○○の子孫の意)」を授かる。著書に、第4回いける本大賞を受賞した『孤独なバッタが群れるとき――サバクトビバッタの相変異と大発生』(東海大学出版部)がある。2017年『バッタを倒しにアフリカへ』で毎日出版文化賞受賞。

前野ウルド浩太郎さんの作品一覧

第2位!河合雅司さん『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(講談社現代新書)

内容紹介

日本が人口減少社会にあることは「常識」。だが、その実態を正確に知る人はどのくらいいるだろうか?
人口減少に関する日々の変化というのは、極めてわずか。ゆえに人々を無関心にする。だが、それこそがこの問題の真の危機、「静かなる有事」である。
書店には、人口減少・少子高齢社会の課題を論じた書物が数多く並ぶ。しかし、テーマを絞って論じるにとどまり、恐るべき日本の未来図を時系列に沿って、かつ体系的に解き明かす書物はこれまでなかった。それを明確にしておかなければ、講ずべき適切な対策とは何なのかを判断できず、日本の行く末を変えることは叶わないはずなのに、である。
本書が、その画期的な役目を担おう。
第1部は「人口減少カレンダー」とし、年代順に何が起こるのかを時系列に沿って、かつ体系的に示した。未来の現実をデータで示した「基礎編」である。第2部では、第1部で取り上げた問題への対策を「10の処方箋」として提示した。こちらは、全国の公務員・政策決定者にも向けた「応用編」と言える。
これからの日本社会・日本経済を真摯に考えるうえでの必読書!

著者:河合雅司(かわい・まさし)さんについて

1963年愛知県生まれ。産経新聞社論説委員、大正大学客員教授(専門は人口政策、社会保障政策)。中央大学卒業。内閣官房有識者会議委員、厚労省検討会委員、農水省第三者委員会委員、拓殖大学客員教授など歴任。2014年、「ファイザー医学記事賞」大賞を受賞。主な著作に『日本の少子化 百年の迷走』(新潮社)、『地方消滅と東京老化』(共著、ビジネス社)、『中国人国家ニッポンの誕生』(共著、ビジネス社)、『医療百論』(共著、東京法規出版)などがある。

河合雅司さんの作品一覧

第3位 三谷太一郎さん『日本の近代とは何であったか――問題史的考察』(岩波新書)

内容紹介

政党政治を生み出し、資本主義を構築し、植民地帝国を出現させ、天皇制を精神的枠組みとした日本の近代。バジョットが提示したヨーロッパの「近代」概念に照らしながら、これら四つの成り立ちについて論理的に解き明かしていく。学界をリードしてきた政治史家が、日本近代とはいかなる経験であったのかを総括する堂々たる一冊。

著者:三谷太一郎(みたに・たいちろう)さんについて

1936年岡山県生まれ。1955年千葉県立千葉第一高等学校卒業。1960年東京大学法学部政治学科卒業。1973年東京大学法学部教授。1994年東京大学法学部長・大学院法学政治学研究科長(-1996年)。1997年成蹊大学法学部教授、東京大学名誉教授。2005年成蹊大学退職。1983年文部省大学設置審議会委員(-1988年)1993年日本政治学会理事長(-1995年)。1994年日本学術会議第16・17期会員(-2000年)。2002年日本学士院会員。2002年日韓歴史共同研究委員会日本側座長(第1期)。2002年司法改革国民会議運営委員。2006年宮内庁参与(天皇家の相談役)21世紀臨調特別顧問。1974年 吉野作造賞。2005年文化功労者。2011年文化勲章。日本学士院会員。専門は日本政治外交史、特に大正デモクラシー期の日本政治史研究で知られる。

三谷太一郎さんの作品一覧

第4位 水島治郎さん『ポピュリズムとは何か – 民主主義の敵か、改革の希望か』(中公新書)

内容紹介

いま世界中でポピュリズムが猛威を振るっています。
「大衆迎合主義」とも訳され、民主主義を蝕む悪しき存在と見なされがちなポピュリズム。しかし、ラテンアメリカでは少数のエリートによる支配から人民を解放する力となりました。
またヨーロッパでは、ポピュリズム政党の躍進が既成政党に緊張感を与え、その改革を促す効果も指摘されています。現代のポピュリズム政党は、リベラルな価値、民主主義のルールを前提としたうえで、既成政治を批判し、イスラム移民の排除を訴えており、ポピュリズムの理解は一筋縄ではいきません。
本書は各国のポピュリズム政党・政治家の姿を描き、「デモクラシーの影」ともいわれるその本質に迫ります。

著者:水島治郎(みずしま・じろう)さんについて

1967年東京都生まれ。東京大学教養学部卒業。ライデン大学留学(1994年 – 1995年)、1999年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。日本学術振興会特別研究員、甲南大学法学部助教授を経て、千葉大学法政経学部教授。専攻はオランダ政治史、ヨーロッパ政治史、比較政治。2017年、『ポピュリズムとは何か 民主主義の敵か、改革の希望か』で第38回石橋湛山賞受章。

水島治郎さんの作品一覧

第5位 楠木新さん『定年後』(中公新書)

内容紹介

自営業などを除けば誰もがいつか迎える定年。社会と密接に関わってきた人も、組織を離れてしまうと、仕事や仲間を失って孤立しかねない。お金や健康、時間のゆとりだけでは問題は解決しない。家族や地域社会との良好な関係も重要だ。第二の人生をどう充実させたらよいか。シニア社員、定年退職者、地域で活動する人たちへの取材を通じ、定年後に待ち受ける「現実」を明らかにし、真に豊かに生きるためのヒントを提示する。

著者:楠木新(くすのき あらた)さんについて

1963年愛知県生まれ。産経新聞社論説委員、大正大学客員教授(専門は人口政策、社会保障政策)。中央大学卒業。内閣官房有識者会議委員、厚労省検討会委員、農水省第三者委員会委員、拓殖大学客員教授など歴任。2014年、「ファイザー医学記事賞」大賞を受賞。主な著作に『日本の少子化 百年の迷走』(新潮社)、『地方消滅と東京老化』(共著、ビジネス社)、『中国人国家ニッポンの誕生』(共著、ビジネス社)、『医療百論』(共著、東京法規出版)などがある。

楠木新さんの作品一覧

第6位 伊藤公一朗さん『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』(光文社新書)

内容紹介

ビッグデータ+人間の判断力=真実が明らかに! 最先端のパワフルな手法を、数式を使わず、わかりやすく解説!
ビッグデータが存在するだけでは、「因果関係」の見極めはできない。データの扱い、分析、解釈においては、人間の判断が重要な役割を担う――。
本書では「広告が売り上げに影響したのか?」「ある政策を行ったことが本当に良い影響をもたらしたのか?」といった、因果関係分析に焦点を当てたデータ分析の入門を展開していきます。
序章では、なぜ因果関係を見極めることがビジネスや政策の成功の鍵を握るのか、様々な実例を使いながら解説します。
第2章以降では、ランダム化比較試験、RDデザイン、パネル・データ分析など、因果関係に迫る最先端のデータ分析手法について、数式を使わず、具体例とビジュアルな描写を用いて解説していきます。

著者:伊藤公一朗(いとう・こういちろう)さんについて

1982年宮城県生まれ。京都大学経済学部卒。シカゴ大学公共政策大学院ハリススクール助教授。カリフォルニア大学バークレー校博士課程修了(Ph.D.)。スタンフォード大学経済政策研究所研究員、ボストン大学ビジネススクール助教授を経て、二〇一五年より現職。専門は環境エネルギー経済学、産業組織論、応用計量経済学。全米経済研究所(NBER)研究員、経済産業研究所(RIETI)研究員を兼任、シカゴ大学では、環境政策・エネルギー政策の実証研究を行う傍ら、データ分析の理論と応用について大学院生向けの講義を行う。『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』(光文社新書)で2017年サントリー学芸賞政治・経済部門受賞、2017年日経・図書文化賞受賞。週刊ダイヤモンド「2017年ベスト経済書」2位。

伊藤公一朗さんの作品一覧

第7位 金成隆一さん『ルポ トランプ王国――もう一つのアメリカを行く』(岩波新書)

内容紹介

なぜトランプなのか?ニューヨークではわからない。アバラチア山脈を越えると状況が一変した。トランプを支持する人々がいた。熱心な人もいれば、ためらいがちな人も。山あいのバー、ダイナー、床屋、時には自宅に上がり込んで、将来を案ずる勤勉な人たちの声を聴く。普段は見えない、見ていない、もう一つのアメリカを見る。

著者:金成隆一(かなり・りゅういち)さんについて

1976年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒、2000年朝日新聞社入社。米ハーバード大学日米関係プログラム研究員。国際報道部などを経てニューヨーク特派員。教育担当時代に「「教育のオープン化」をめぐる一連の報道」で第21回坂田記念ジャーナリズム賞(国際交流・貢献報道)受賞。著書─『ルポ MOOC革命 無料オンライン授業の衝撃』(岩波書店)、『今、地方で何が起こっているのか』(共著、公人の友社)。

金成隆一さんの作品一覧

第8位 藤原辰史さん『トラクターの世界史 – 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち』(中公新書)

内容紹介

1892年にアメリカで発明されたトラクターは、直接土を耕す苦役から人類を解放し、穀物の大量生産を可能にした。文明のシンボルともなったトラクターは、アメリカでは量産によって、ソ連・ナチ・ドイツ、中国では国策によって広まり、世界中に普及する。だが、化学肥料の使用、土地の圧縮、多額のローンなど新たな問題を生み出す。本書は、一つの農業用の”機械”が、人類に何をもたらしたのか、日本での特異な発展にも触れながら、農民、国家、社会を通して描く。

著者:藤原辰史(ふじはら・たつし)さんについて

1976年北海道生まれ。1999年京都大学総合人間学部卒業。2002年京都大学人間・環境学研究科中途退学。京都大学人文科学研究所助手、東京大学農学生命科学研究科講師を経て、2013年京都大学人文科学研究所准教授。専攻・農業史。『ナチス・ドイツの有機農業』(柏書房2005年)、『カブラの冬』(人文書院2011年)、『ナチスのキッチン』(水声社2012年)河合隼雄学芸賞。『稲の大東亜共栄圏』(吉川弘文館2012年)『食べること考えること』(共和国2014年)など。

藤原辰史さんの作品一覧

同第9位 磯田道史さん『日本史の内幕 – 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで』(中公新書)

内容紹介

豊臣秀吉と徳川家康が転機を迎えた「史上最強のパワースポット」とは。秀頼は本当に秀吉の子なのか。著者が発見した龍馬や西郷の書状の中身は。「昭和天皇を育てた男」の和歌集に秘められた思い――。当代随一の人気歴史家が、日本史の謎の数々に迫る。古文書の中から見えてくる、本当の歴史の面白さがここに!

著者:磯田道史(いそだ・みちふみ)さんについて

1970年岡山県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(史学)。茨城大学准教授、静岡文化芸術大学教授などを経て、2016年4月より国際日本文化研究センター准教授。『武士の家計簿』(新潮新書、新潮ドキュメント賞受賞)、『無私の日本人』(文春文庫)、『天災から日本史を読みなおす』(中公新書、日本エッセイストクラブ賞受賞)など著書多数。

磯田道史さんの作品一覧

同第9位 亀田俊和さん『観応の擾乱 – 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い』(中公新書)

内容紹介

観応の擾乱は、征夷大将軍・足利尊氏と、幕政を主導していた弟の直義との対立から起きた全国規模の内乱である。本書は、戦乱前夜の動きも踏まえて一三五〇年から五二年にかけての内乱を読み解く。一族、執事をも巻き込んだ争いは、日本の中世に何をもたらしたのか。その全貌を描き出す。

著者:亀田俊和(かめい・としたか)さんについて

1973年秋田県生まれ。1997年、京都大学文学部史学科国史学専攻卒業。2003年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程歴史文化学専攻(日本史学)研究指導認定退学。2006年、京都大学博士(文学)。現在、京都大学文学部非常勤講師。2017年8月より国立台湾大学日本語文学系助理教授。

亀田俊和さんの作品一覧


新書大賞(しんしょたいしょう)とは

2008年に創設された中央公論新社が主催する新書に関する賞。1年間に刊行されたすべての新書から、その年「最高の一冊」を選ぶ賞です。 今回で第11回を数える同賞は、第1回に福岡伸一さん『生物と無生物のあいだ』、第2回は堤未果さん『ルポ 貧困大国アメリカ』、第3回は内田樹さん『日本辺境論』を大賞に選出し出版界に大きな反響を呼ぶ。2018年は前野ウルド浩太郎さんの『バッタを倒しにアフリカへ』(光文社新書)が大賞に輝く。
https://www.chuko.co.jp/special/shinsho_award/

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