「新書大賞2019」発表!大賞から上位10タイトルの内容紹介と著者情報を一挙紹介!

新書大賞2019結果発表!1位は吉田裕『日本軍兵士』に

こんにちはブクログ通信です。

今年で12回目を迎える「新書大賞2019」が決定しました!「新書大賞」は、中央公論新社が主催する1年間に刊行されたすべての新書から、その年「最高の一冊」を選ぶ賞です。今回の「新書大賞2019」では、2017年12月~2018年11月に刊行された新書を対象に、有識者、書店員、各社新書編集部、新聞記者など新書に造詣の深い111人の方々が投票。結果、吉田裕さん『日本軍兵士』(中公新書)が 大賞に輝きました! おめでとうございます!

それでは10位まで内容・著者情報を一挙紹介いたします。2018年話題の新書が目白押しです。未読のものがあったら是非これを機会に手にとってみてください!20位までのランキングと54人の目利きによる講評は、2019年2月8日発売の『中央公論』3月号に掲載されています。

中央公論 2019年 03 月号 [雑誌]
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なお目利きの講評全文は、3月下旬発売予定の電子書籍<中央公論 Digital Digest>『新書大賞2019』に掲載されるとのこと。是非こちらもチェックしてみてください。

新書大賞2019

大賞受賞作 吉田裕さん『日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実』(中公新書)

内容紹介

310万人に及ぶ犠牲者を出した先の大戦。実はその9割が1944年以降と推算される。本書は「兵士の目線・立ち位置」から、特に敗色濃厚になった時期以降のアジア・太平洋戦争の実態を追う。異常に高率の餓死、30万人を超えた海没死、戦場での自殺・「処置」、特攻、劣悪化していく補充兵、靴に鮫皮まで使用した物資欠乏……。勇猛と語られる日本兵たちが、特異な軍事思想の下、凄惨な体験をせざるを得なかった現実を描く。

著者:吉田裕(よしだ・ゆたか)さんについて

1954(昭和29)年生まれ。77年東京教育大学文学部卒。83年一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。83年一橋大学社会学部助手、助教授を経て、96年より一橋大学社会学部教授。2000年より一橋大学院社会学研究科教授。専攻・日本近現代軍事史。2018年『日本軍兵士-アジア・太平洋戦争の現実』でアジア・太平洋賞特別賞、2019年同作で新書大賞2019大賞を受賞。

吉田裕さんの作品一覧

第2位 隠岐さや香さん『文系と理系はなぜ分かれたのか』(星海社新書)

内容紹介

永遠の「文系・理系」論争、ついに現れた基本書にして決定版!

「文系」と「理系」という学問上の区分けは、進路選択や就職など私たちの人生を大きく左右するのみならず、産業や国家のあり方とも密接に関わる枢要なものです。ところが現実には、印象論にすぎないレッテル貼りが横行し、議論の妨げになるばかり。そこで本書では、そもそも文系と理系というカテゴリーがいつどのようにして生まれたのか、西欧における近代諸学問の成立や、日本の近代化の過程にまで遡って確かめるところから始めます。その上で、受験や就活、ジェンダー、研究の学際化といったアクチュアルな問題に深く分け入っていくことを目論みます。さあ、本書から、文系・理系をめぐる議論を一段上へと進めましょう。

著者:隠岐さや香(おき・さやか)さんについて

1975年生まれの研究者。名古屋大学大学院経済学研究科教授。専攻は18世紀フランス科学史、科学技術史/技術論。
東京大学大学院総合文化研究科博士課程満期退学。フランスの社会科学高等研究院(EHESS)留学後、日本学術振興会特別研究員(PD)、広島大学大学院総合科学研究科准教授などを経て、現職。
代表作に、日本学士院学術奨励賞・日本学術振興会賞・山崎賞・サントリー学芸賞(思想・歴史部門)・パピルス賞をそれぞれ受賞した、『科学アカデミーと 「有用な科学」』。科学史・社会史・思想史を横断する力作として、極めて高い評価を各所から受けている。単著二作目として、2018年8月『文系と理系はなぜ分かれたのか』を刊行。

隠岐さや香さんの作品一覧

第3位 呉座勇一さん『陰謀の日本中世史』(角川新書)

内容紹介

ベストセラー『応仁の乱』の著者、構想三年の書き下ろし!本能寺の変に黒幕あり?関ヶ原は家康の陰謀?義経は陰謀の犠牲者?俗説、一蹴!
『応仁の乱』の著者が史上有名な“陰謀”をたどりつつ、“陰謀論”を徹底論破する。

著者:呉座勇一(ござ・ゆういち)さんについて

1980年、東京都生まれの研究者。国際日本文化研究センター助教。専門は日本中世史。
東京大学文学部国史学科卒業、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。「日本中世の地域社会における集団統合原理の研究 領主の一揆を中心として」で博士(文学)。
代表作に、『応仁の乱』(中公新書)があり、30万部を超えるベストセラーとなった。その他の著書に『一揆の原理』(ちくま学芸文庫)『戦争の日本中世史』(新潮選書)、『陰謀の日本中世史』(角川新書)など。2014年、角川財団学芸賞を受賞している。

呉座勇一さんの作品一覧

第4位 堤未果さん『日本が売られる』(幻冬舎新書)

内容紹介

水と安全はタダ同然、医療と介護は世界トップ。そんな日本に今、とんでもない魔の手が伸びているのを知っているだろうか?法律が次々と変えられ、米国や中国、EUなどのハゲタカどもが、我々の資産を買いあさっている。水やコメ、海や森や農地、国民皆保険に公教育に食の安全に個人情報など、日本が誇る貴重な資産に値札がつけられ、叩き売りされているのだ。マスコミが報道しない衝撃の舞台裏と反撃の戦略を、気鋭の国際ジャーナリストが、緻密な現場取材と膨大な資料をもとに暴き出す!

著者:堤未果(つつみ・みか)さんについて

国際ジャーナリスト。東京生まれ。ニューヨーク州立大学国際関係論学科卒。ニューヨーク市立大学大学院国際関係論学科修士号。国連、米国野村證券などを経て、米国の政治、経済、医療、教育、農政、公共政策、エネルギーなどをテーマに、現場取材と公文書による調査報道で活躍中。講演・各種メディアに出演。多数の著書は海外でも翻訳されている。『報道が教えてくれないアメリカ弱者革命』で黒田清・日本ジャーナリスト会議新人賞、『ルポ 貧困大国アメリカ』(三部作、岩波新書)で中央公論新書大賞、日本エッセイストクラブ賞受賞。『沈みゆく大国アメリカ』(二部作、集英社新書)、『政府は必ず嘘をつく』(二部作、角川新書)、『核大国ニッポン』(小学館新書)、『社会の真実の見つけかた』(岩波ジュニア新書)、『アメリカから〈自由〉が消える』(扶桑社新書)他著書多数。夫は参議院議員の川田龍平氏。

堤未果さんの作品一覧

第5位 梯久美子さん『原民喜 死と愛と孤独の肖像』(岩波新書)

内容紹介

『夏の花』で知られる作家・詩人、原民喜(1905-1951)。死の想念にとらわれた幼少年期。妻の愛情に包まれて暮らした青年期。被爆を経て孤独の中で作品を紡ぎ、年少の友人・遠藤周作が「何てきれいなんだ」と表した、その死―。生き難さを抱え、傷ついてもなお純粋さをつらぬいた稀有な生涯を描く。

著者:梯久美子(かけはし・くみこ)さんについて

ノンフィクション作家。1961(昭和36)年、熊本市生まれ。北海道大学文学部卒業後、編集者を経て文筆業に。2005年のデビュー作『散るぞ悲しき―硫黄島総指揮官・栗林忠道』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。同書は米、英、仏、伊など世界8か国で翻訳出版されている。著書に『狂うひと―「死の棘」の妻・島尾ミホ』(読売文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞、講談社ノンフィクション賞受賞)などがある。

梯久美子さんの作品一覧

第6位 保阪正康さん『昭和の怪物 七つの謎』(講談社現代新書)

内容紹介

昭和史研究の第一人者が出会った「戦争の目撃者たち」。東條英機、石原莞爾、犬養毅、渡辺和子、瀬島龍三、吉田茂が残した「歴史の闇」に迫る。

著者:保阪正康(ほさか・まさやす)さんについて

1939年、北海道生まれ。現代史研究家、ノンフィクション作家。同志社大学文学部卒。1972年『死なう団事件』で作家デビュー。2004年個人誌『昭和史講座』の刊行により菊池寛賞受賞。2017年『ナショナリズムの昭和』で和辻哲郎文化賞を受賞。近現代史の実証的研究をつづけ、これまで約4000人から証言を得ている。『陸軍省軍務局と日米開戦』『あの戦争は何だったのか』『昭和史の大河を往く』シリーズなど著書多数。

保阪正康さんの作品一覧

第7位 橘玲さん『朝日ぎらい』(朝日新書)

内容紹介

朝日新聞に代表される戦後民主主義は、なぜ嫌われるのか。今、日本の「リベラル」は世界基準のリベラリズムから脱落しつつある。再び希望を取り戻すには、どうしたらいいのか?若者が自民党を支持するワケからネトウヨの実態、リベラルの未来像まで、世界の大潮流から読み解く、再生のための愛の劇薬処方箋!

著者:橘玲(たちばな・あきら)さんについて

作家。1959年生まれ。2002年国際金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。2006年『永遠の旅行者』が第19回山本周五郎賞候補となる。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部を超えるベストセラー、『言ってはいけない残酷すぎる真実』(新潮新書)が48万部を超え新書大賞2017に。著書多数。

橘玲さんの作品一覧

第8位 白井聡さん『国体論 菊と星条旗』(集英社新書)

内容紹介

自発的な対米従属を、戦後70年あまり続ける、不思議の国・日本。この呪縛の謎を解くカギは、「国体」にあった! 「戦前の国体=天皇」から「戦後の国体=アメリカ」へ。気鋭の政治学者が、この国の深層を切り裂き、未来への扉を開く!

著者:白井聡(しらい・さとし)さんについて

政治学者。1977年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位修得退学。博士(社会学)。専門は社会思想、政治学。京都精華大学人文学部専任講師。おもな著作に『永続敗戦論―戦後日本の核心』太田出版・石橋湛山賞、角川財団学芸賞受賞)など。

白井聡さんの作品一覧

第9位 森本あんりさん『異端の時代』(岩波新書)

内容紹介

世界に蔓延するポピュリズム。はたしてそれは民主主義の異端なのか?古代中世の神学史、丸山眞男らの議論を手がかりに、宗教・政治・文化に通底する「異端発生のメカニズム」を解明し、混迷する時代の深層に迫る。著者が十年来抱えたテーマがここに結実、「異端好みの日本人」に、現代の「正統」の所在を問いかける―。

著者:森本あんり(もりもと・あんり)さんについて

1956年神奈川県生まれ。プリンストン神学大学院博士課程修了(Ph.D.)。現在―国際基督教大学(ICU)学務副学長、同教授。専攻―神学・宗教学。

森本あんりさんの作品一覧

第10位 松沢裕作さん『生きづらい明治社会―不安と競争の時代』(岩波ジュニア新書)

内容紹介

日本が近代化に向けて大きな一歩を踏み出した明治時代は、実はとても厳しい社会でした。社会が大きく変化する中、人々は必死に働き、頑張りました。厳しい競争のなかで結果を出せず敗れた人々…、そんな人々にとって明治とはどんな社会だったのでしょうか?不安と競争をキーワードに明治社会を読み解きます。

著者:松沢裕作さん(まつざわ・ゆうさく)さんについて

1976年東京都生まれ。1999年東京大学文学部卒業、2002年同大学院人文社会系研究科博士課程中途退学。東京大学史料編纂所助教、専修大学経済学部准教授を経て、慶應義塾大学経済学部准教授。専門は日本近代史。

松沢裕作さんの作品一覧

同位 藤岡換太郎さん『フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体』(講談社ブルーバックス)

内容紹介

日本列島を人間の身体にたとえたなら、背骨のど真ん中にある巨大地溝がフォッサマグナだ。1500万年前に生まれた深さ6000m以上の「怪物」は、数々の火山や堆積物に覆われながら、現在もなお、日本列島に大きな影響を与えつづけている。それはなぜできたのか?なぜ世界唯一の地形なのか?長年の謎が、いまようやく解き明かされてきた!

著者:藤岡換太郎さん(ふじおか・かんたろう)さんについて

1946年京都市生まれ。東京大学理学系大学院修士課程修了。理学博士。専門は地球科学。東京大学海洋研究所助手、海洋科学技術センター深海研究部研究主幹、グローバル・オーシャン・ディベロップメント観測研究部部長、海洋研究開発機構特任上席研究員を歴任。現在は神奈川大学などで非常勤講師。潜水調査船「しんかい6500」に51回乗船し、太平洋、大西洋、インド洋の三大洋人類初潜航を達成。海底地形名小委員会における長年の功績から2012年に海上保安庁長官表彰。

藤岡換太郎さんの作品一覧


新書大賞(しんしょたいしょう)とは

2008年に創設された中央公論新社が主催する新書に関する賞。1年間に刊行されたすべての新書から、その年「最高の一冊」を選ぶ賞です。 今回で第12回を数える同賞は、第1回に福岡伸一さん『生物と無生物のあいだ』、第2回は堤未果さん『ルポ 貧困大国アメリカ』、第3回は内田樹さん『日本辺境論』を大賞に選出し出版界に大きな反響を呼ぶ。2019年は吉田裕さんの『日本軍兵士』(中公新書)が大賞に輝く。
https://www.chuko.co.jp/special/shinsho_award/

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